「うちの子に合うのは、アメリカ式?それともイギリス式?」
インターナショナルスクールを検討しはじめると、まずぶつかるのがこの疑問です。どちらも英語で学ぶという点では共通していますが、学びのスタイルや育まれる価値観はまったく異なります。
英語が話せるようになってほしい。でもそれだけじゃなく、子どもが自分らしく学べる場所を見つけたい。そんな想いを抱く親御さんにとって、アメリカ式とイギリス式の違いを知ることは、後悔しない選択につながります。
最近では、日本国内でも両スタイルを採用するインターナショナルスクールが増えています。ただ、名称だけを見ても実際の教育内容は見えづらいもの。この記事では、アメリカ式とイギリス式、それぞれの学びの雰囲気や求められる力の違いを、わかりやすく解説していきます。
なぜ今、教育スタイルを知ることが大事なのか?

かつては、インターナショナルスクールといえば「駐在員の子どもが通う学校」といったイメージが強くありました。しかし近年、日本国内の親御さんの間でも「英語環境で子育てをしたい」「多文化に触れさせたい」といった声が高まり、インターナショナルスクールを選ぶ家庭が増えています。
この背景には、社会全体の多様性への意識の変化があるといえるでしょう。
- AI化が進む時代に「自分の意見を持つ力」や「柔軟に考える力」が求められていること
- 世界で活躍するために「英語力+異文化理解力」が欠かせないこと
こうした教育ニーズが高まる中、アメリカ式とイギリス式のように異なる教育スタイルが混在する環境では「どちらがより良いか」ではなく、「どちらがわが子に合うか」を見極める視点が大切です。
たとえば、自由に発言しながら学ぶことが得意な子にはアメリカ式が向いているかもしれませんし、論理的に物事を積み上げるのが得意な子にはイギリス式のほうが相性が良いかもしれません。どちらの教育スタイルにも強みがあり、それぞれの良さを知ったうえで選ぶことで、子どもの学びはより深まっていきます。
アメリカ式教育の特徴とその魅力

アメリカ式の教育スタイルは、個性と主体性を尊重する点が大きな特徴です。
特徴的なポイントを以下にまとめます。
- 自由な発言とディスカッション中心の授業
- 評価基準は努力や成長過程にも注目
- 探究心を刺激する選べる学び
自由な発言とディスカッション中心の授業
アメリカ式では、子どもが「自分の考えを言葉にする」ことが非常に重視されます。授業の多くは一方的な講義ではなく、ディスカッション形式で進行。子ども同士が意見を交わし、教員もそのファシリテーターとして関わります。正解を覚えることよりも、自分の視点で物事を考え、伝える力が育まれます。このような学習スタイルは、英語が母語でない子どもにとっても、自分の意見を受け入れてもらえるという安心感を生み出し、自己表現の土台を築いていく手助けになります。間違いを恐れずに発言する文化があることで、「やってみる」姿勢が自然と育つのも大きな魅力です。
評価基準は努力や成長過程にも注目
テストの点数だけではなく、日々の取り組みや姿勢も評価の対象になります。失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を認める文化があり、「失敗=成長の一部」という前向きなマインドが育ちます。
子どもたちが自分のペースで挑戦できる環境は、学力にばらつきがある初期段階において特に重要です。「できる・できない」ではなく、「どう取り組んでいるか」を見てくれる教師の存在が、子どもにとって大きな支えになります。
探究心を刺激する選べる学び
アメリカ式では、早い段階から自分の興味を追求する時間が設けられていることが多く、アートやSTEM(科学・技術・工学・数学)といった領域も豊富。自分でテーマを決めて調べたり、発表したりするプロジェクト型の学習が日常的に行われます。
この探究的な学びは、単なる暗記ではない本質的な理解を促します。子どもが「なぜ?」「どうして?」を大事にしながら、試行錯誤を重ねることで、論理的思考力と表現力の両方が自然と育まれていきます。
イギリス式教育の特徴とその魅力

一方、イギリス式教育の魅力は論理性と基礎力の定着にあります。
特徴的なポイントを以下にまとめます。
- カリキュラムは厳格かつ体系的
- 評価は“客観的な基準”をもとに
- “品格ある振る舞い”を重んじる校風
カリキュラムは厳格かつ体系的
イギリス式では、英国の国家カリキュラム(National Curriculum)やIGCSEなどに基づいた明確な指導内容があります。学年ごとに学ぶべき範囲が定められており、計画的に学習を積み上げるスタイルです。
このような一貫性のある教育は、長期的な視点で学力を着実に伸ばしていきたい家庭にとって大きな魅力です。基礎から丁寧に積み上げることで、「抜け」が少なく、学びが深まる構造になっています。
評価は客観的な基準をもとに
テストや外部試験を通して、生徒の学力や理解度を客観的に評価する仕組みが整っています。その分、親御さんからは「今どれくらいの力がついているか」が見えやすく、安心感があるという声も。
また、進学においてもIGCSEやAレベルといった国際的に通用する資格が得られるため、将来的に海外大学を視野に入れている家庭にとっては、信頼性の高いルートとなります。
品格ある振る舞いを重んじる校風
イギリス式のスクールでは、礼儀・マナー・規律を重視する文化があります。挨拶の仕方や時間の守り方、他者との距離の取り方など、生活全体を通じて社会的スキルが育まれます。
このような品格教育は、学力だけでなく「人としての土台」を育てたいと願う家庭にとって重要なポイントです。落ち着いた雰囲気の中で、丁寧に物事を進めることが当たり前になっていく環境は、内面の成長にもつながります。
家庭でできるサポート

それぞれの教育スタイルに合った関わり方を意識することで、子どもはより安心して学ぶことができるでしょう。
アメリカ式に合う家庭環境:
- 子どもの「どう思う?」を日常的に聞く習慣
- 自由に意見を言える空気づくり
自由な発言や主体性を重視するアメリカ式においては、家庭でも子どもが自分の考えを表現できる場をつくることが重要です。親が「それ、どう思ったの?」と聞き返す習慣をもつだけで、子どもの思考はどんどん言語化されていきます。また、好奇心をくすぐるコンテンツを一緒に楽しむことで、「学ぶって楽しい」という感覚が自然と育まれていきます。
イギリス式に合う家庭環境:
- ルールや時間を守る生活習慣
- 今日学んだことを振り返る再確認の時間
秩序と積み上げ型の学習を大切にするイギリス式では、日々の生活に安定感があることが大切です。学びの復習を家庭でも自然に取り入れることで、学校で得た知識がしっかり定着していきます。読んだ本の感想をまとめるなど、書いて考える時間を意識的に取ることも、イギリス式の教育スタイルとの親和性が高まるポイントです。
スクールの教育方針に家庭の姿勢がリンクすると、子どもも「学校と家で言っていることが違う」と混乱せず、より落ち着いて学べるようになります。
インターナショナルスクールを選ぶとき、英語力だけでなく「どんなスタイルの学び方が、その子らしさを伸ばせるか?」という視点を持つことがとても大切です。
アメリカ式の自由な空気が心地よい子もいれば、イギリス式のきっちりした雰囲気で力を発揮できる子もいます。大事なのは「うちの子にフィットするのはどちらだろう?」という親御さんの視点です。
どちらの教育にも共通しているのは、「子どもを一人の個人として尊重する姿勢」。そのうえで、スタイルの違いを理解し、選択することが、未来を見据えた教育選びの第一歩になるはずです。