子どもの時間管理力ってどう育てる?タイムマネジメント教育のコツ

基礎知識
こんな人向けの記事です
  • 子どもが時間を守れないことが多い、、、
  • 子どもの時間管理力を養いたい!

「朝、いつもバタバタで支度が終わらない」 「宿題を始めるまでに時間がかかってしまう」 「習い事と遊びのバランスが難しい」

こうした日常のちょっとした時間のもつれに、頭を悩ませている親御さんは多いのではないでしょうか。大人でも難しい“時間の使い方”というテーマを、子どもにどう伝えるかは、なかなか明確な正解がないものです。

けれど実は、「時間管理力=タイムマネジメント力」は、これからの時代を生きるうえで欠かせないスキルの一つ。将来の学び方・働き方が大きく変わる今、子どものうちから時間をどう使うかを考える力を育てることは、社会的にも注目され始めています。

そんな時代背景の中で、家庭ではどんな関わり方ができるのでしょうか。 無理をせず、子どものリズムに合わせながら、少しずつ育んでいく視点を、一緒に探っていきましょう。

時間管理力が求められる時代背景とは

これまでの社会では、「決められた時間に、決められたことをこなす力」が重視されてきました。しかし今、働き方改革やリモートワーク、フレックス制の広がりとともに、「自分で時間を設計し、使いこなす力」が求められる時代になっています。

それは大人に限らず、子どもにも同じことが言えます。実際、文部科学省の新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、子ども自身が学ぶ時間をどう使うかを意識する姿勢が求められるようになりました。

つまり、時間の扱い方は「スケジュール管理」だけでなく、「自分をどうマネジメントするか」の土台なのです。

近年、教育界で注目されている“非認知能力”という言葉。これは、テストで測れない力。

たとえば「集中力」「自己抑制」「やり抜く力」などを指します。

実はタイムマネジメント力は、この非認知能力と密接に関わっています。自分の感情や行動をコントロールし、「今、何を優先すべきか」を判断する力は、時間の使い方と直結しています。

「早くしなさい!」ではなく、「どうやったらスムーズに動けるかな?」という問いかけに変えるだけで、子どもは自分で考え、行動しようとするようになります。

家庭でできる“時間感覚”の育て方

家庭でできる時間感覚の育て方のポイントを3つにまとめて解説していきます。

  • 習慣は、声かけと“見える化”で生まれる
  • 子どもに合ったリズムを知る
  • 完璧を目指さず、「やり直せる安心感」をつくる

それぞれ解説していきます。

習慣は、声かけと見える化で生まれる

時間の流れを感じる力は、子どもの中で自然に育つものではありません。だからこそ、小さな“工夫”と“声かけ”が大切です。

たとえば「ご飯まであと10分だよ」と伝えるとき、ただ言葉で伝えるよりも、キッチンタイマーをセットして一緒に見ることで、「時間の感覚」を実感として覚えるようになります。

「15分で支度をしよう」と決めて一緒に動いてみたり、時間割を壁に貼って一緒に確認するだけでも、子どもは時間を区切るという感覚を身につけていきます。

子どもに合ったリズムを知る

全ての子どもに同じ時間配分が合うとは限りません。朝に強い子、夜に集中できる子、ゆっくり準備したい子。それぞれの個性に合わせた時間の使い方を見つけることが、タイムマネジメント教育の第一歩です。

親御さんが「うちの子は〇〇の後だと集中しやすい」と気づいてあげるだけで、生活全体の流れがスムーズになることもあります。

完璧を目指さず、「やり直せる安心感」をつくる

タイムマネジメント教育で大切なのは、「うまくいかなくてもいい」と伝えること。うっかり忘れても、寝坊しても、「次はどうしようか」と考えるチャンスに変える関わりが、子どもの自立につながります。

「なんでできないの!」ではなく、「じゃあ次はどうしてみる?」という会話で、子どもは自分なりに解決策を考えるようになります。

スクールなど外部環境で育つ時間を扱う力

最近では、時間の使い方を意識させるカリキュラムを組んでいるスクールも増えています。たとえば、探究型学習を導入している学校では、プロジェクト単位での活動が多く、自分たちでスケジュールを立て、役割分担をして動くという機会が日常的にあります。

また、インターナショナルスクールの中には、「今日はどの教科にどれだけ時間をかけたいか」を自分で決めさせる時間設計を導入しているところもあり、子ども自身が時間をどう扱うかを学ぶ機会となって

とはいえ、どんなに素晴らしい教育環境でも、家庭のリズムとつながっていなければ力として定着しにくいのも事実です。

「今日はどんなふうに時間を使ったの?」と問いかけたり、学校で学んだ方法を家でも使ってみることで、子どもの中に時間を意識する姿勢が根づいていきます。

家庭と外部の教育環境が、同じ方向を向いていること。それが、時間管理力を育てるうえで欠かせない要素です。

時間は、目に見えないけれど、確かに存在する人生の大事な資源です。だからこそ、子どものうちにその感覚に触れることは、とても大きな意味を持ちます。

けれど焦る必要はありません。

今日少しだけ早く準備できた。 自分で時計を見て行動できた。 「明日やること」を考えられた。

そんな小さな一歩を積み重ねていくことが、子どもにとっての“タイムマネジメント教育”になっていきます。

そして、何よりも大切なのは、親御さん自身が「時間に振り回されすぎない姿」を見せてあげること。完璧じゃなくて大丈夫。「ちょっとずつできるようになるね」と、子どもと一緒に歩んでいく姿勢が、何よりの学びになると私は思います。