最近、「これからはSTEM教育が大事」と聞くけれど、
「具体的にどんな学びが海外では行われているのか分からない」と戸惑う親御さんが増えています。
特に、海外留学を視野に入れているご家庭では、
「どこの国で、どんなSTEM教育が受けられるのか」
「うちの子に合うのか」という不安がつきものです。
STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の略です。
でも、世界の先進的なSTEM教育は、これらの知識を教えるだけでは終わりません。
子ども自身が「問いを立て、考え、実践する力」を養う教育が主流になっています。
STEM教育って日本と海外でどう違うの?

日本でもプログラミング教育やSTEAM教育(STEM+Art)が導入され始めています。
しかし、多くの学校では依然として「正解が一つ」の課題が中心。
それに対して、海外の先進的STEM教育では「正解がない問い」に挑む力が重視されています。
たとえば、
・どうすれば海洋プラスチック問題を解決できるか?
・エネルギー消費を減らせる自動車の設計は?
このような実社会とつながった課題に取り組むスタイルが一般的です。
子どもの「好き」を起点にする海外の教育観
さらに、アメリカやカナダ、イギリスなどでは、
子どもの興味・関心を起点に学びを設計します。
数学が好きならロボット開発に、
科学が好きなら医療テクノロジー研究に、
と個別最適化された探究をサポートする学校も増えています。
では、実際にどのような国や学校で先進的なSTEM教育が行われているのでしょうか?
事例を紹介しながら、その特徴をひも解いていきましょう。
世界のSTEM教育事例から学ぶ最先端の学び方5選

では、実際にどのような国や学校で先進的なSTEM教育が行われているのでしょうか?
事例を紹介しながら、その特徴をひも解いていきましょう。
アメリカ:MITと提携する小中学校の探究型教育
アメリカでは、ボストン周辺を中心にMIT(マサチューセッツ工科大学)と提携した教育プログラムを持つ小中学校があります。
これらの学校では、AIやロボティクス、バイオテクノロジーの分野で大学研究者と子どもたちが共同プロジェクトを行うことも。
学年に応じたレベルで、「失敗を恐れずに試行錯誤する姿勢」を育てています。
こうした学校では、「理系が苦手でも大丈夫」という方針を徹底。
過程を重視し、結果では評価しないカリキュラムが組まれています。
家庭と学校が協力しながら、子どもの挑戦を支える文化が根付いているのも大きな特徴です。
アメリカのような研究機関との連携は、イギリスやカナダでも進んでいます。
イギリス:STEAMハブによる創造的問題解決教育
イギリスの一部のインターナショナルスクールでは、
STEAMハブと呼ばれる最新テクノロジー設備が整った学習スペースが設置されています。
3Dプリンタ、VR機器、プログラミングラボなどを使い、現実世界の課題に挑むプロジェクト型学習を行います。
これらの教育では、「論理的思考」と「創造的思考」の両立が重視されます。
また、異年齢グループでの共同作業が推奨され、
多様な価値観や意見を尊重する力も育てられています。
フィンランド:遊びと探究を融合したSTEM教育
教育先進国として知られるフィンランドでは、遊びと探究が融合したSTEM教育が特徴的。
たとえば、小学校低学年では、
自然観察やものづくりの遊びの中に科学や数学的思考を組み込む授業が行われています。
フィンランドでは、早期の詰め込み教育を避け、子どもが自分で気づく力を尊重します。
先生は「教える人」ではなく、「学びのコーチ」として寄り添います。
シンガポール:国家戦略としてのSTEM教育
シンガポール政府はSTEM教育を国の発展戦略の柱と位置づけ、
小学校から大学までの一貫したSTEMカリキュラムを構築しています。
特に、数学と科学の国際学力調査(PISA)で常に世界トップを維持する教育レベルの高さが注目されています。
シンガポールの学校では、異文化理解や国際協力プロジェクトにも力を入れており、
将来的なグローバルリーダーの育成を視野に入れた教育が行われています。
そして、STEM教育の新しい形を生み出しているのがカナダの教育現場です。
カナダ:社会課題解決型STEM教育
カナダの多くの学校では、社会課題解決型のプロジェクトがSTEM教育の中心に据えられています。
地域の環境問題、エネルギー問題、地域コミュニティの課題など、実社会と直結したテーマに取り組むのが特徴です。
カナダのSTEM教育では、ジェンダーや文化的背景にとらわれず、すべての子どもに公平な挑戦の機会を提供。
失敗を恐れずに挑戦できる安心な環境づくりが、子どもの自主性を育てています。
無理をしない。「子どもの興味」を尊重する選択を

海外の先進的なSTEM教育に共通しているのは、
「正解のない問いに向き合う力」と「失敗を成長と捉える姿勢」を育てることです。
ただ、すべての子どもがすぐにこうした教育スタイルにフィットするとは限りません。
親御さんも、「理想の教育」と「わが子の性格や興味」のバランスを見極めることが大切です。
もし海外留学やインターナショナルスクールに進む場合も、
「理系が得意だから」「英語ができるから」ではなく、
「子どもが自分らしく学べる環境かどうか」を基準に選ぶと良いでしょう。
最近では、探究学習やSTEM型カリキュラムを提供する英語環境のスクールも日本国内に増えています。
そうした場所も視野に入れながら、子どもの「好き」を伸ばす学びを応援していきましょう。