最近、「うちの子、自信なさそうで心配」という親御さんの声をよく耳にします。
小さいうちは元気いっぱいだったのに、小学校に入った途端、
「どうせ無理」「ぼくなんて」と言うようになった。
あるいは、中学受験や習い事で他の子と比べてしまい、
「どうしてあの子はできるのに、自分は…」と自信を失うケースも少なくありません。
この背景には、現代社会特有のプレッシャーや情報過多があります。
子どもたちは、学校だけでなくSNSや周囲の声を通じて、
常に「比較」と「期待」の波にさらされています。
では、どうすれば子どもの自己肯定感を守り、育てられるのでしょうか?
親御さんが家庭で取り入れられる5つの大切な習慣について、
実例を交えながら詳しくご紹介していきます。
自己肯定感とは?そして、なぜ今重視されるのか

自己肯定感とは、自分の存在そのものに対する肯定的な感情を指します。
「何ができるか」ではなく、「できなくても、自分には価値がある」と思える心の土台です。
文部科学省や教育心理学の分野でも、自己肯定感の重要性が強調されています。
近年の子どもたちは、知識やスキル習得が求められる一方で、「ありのままの自分」に満足する機会が減っていると指摘されています。
情報化社会では、子どもたちは常に他人と比較されがちです。
学力、運動、外見、友達の数、そのすべてが可視化され、
「自分はまだ足りない」と感じやすい環境に置かれています。
この状況下で、自己肯定感の低さが「やる気の低下」「不登校」「自己否定的な思考」につながるという研究結果も出ています。
自己肯定感を育てる5つの家庭習慣

では、親御さんはどのように家庭の中で、子どもの自己肯定感を育んでいけばいいのでしょうか?
自己肯定感を育てるために大切な5つの家庭習慣を挙げます。
- 結果より「プロセス」を認める
- 「否定しない」家庭の雰囲気をつくる
- 選択肢を与え、自分で決める経験を増やす
- 失敗を恐れない挑戦を支える
- 「無条件の愛情」を言葉と行動で示す
それぞれ解説します。
結果より「プロセス」を認める
テストで100点を取ったとき、「すごいね!」と褒めるのは自然なこと。
しかし、それ以上に重要なのが、「どうやってそこにたどり着いたか」を認めることです。
「毎日コツコツ勉強したね」
「わからない問題にもあきらめず取り組んだね」
こうした声かけが、子どもの努力や工夫に価値を感じる心を育てます。
これこそが、自己肯定感の根本につながります。
結果が出せなかったときこそ、「挑戦したこと」をしっかり認めることが重要です。
成功も失敗も、プロセスに価値があると感じられる家庭環境が、子どもの心を強くします。
次に意識したいのは、家庭内の「安心できる雰囲気」です。
「否定しない」家庭の雰囲気をつくる
子どもが「これをやってみたい」と言ったとき、
つい「それは難しいんじゃない?」と制止してしまうことはありませんか?
もちろん、安全面や現実的な問題は大切です。
しかし、否定され続けた子どもは、自分の気持ちやアイデアを表現しなくなります。
親御さんが心がけたいのは、まず「一度受け止める」こと。
「なるほど、そう考えたんだね」と気持ちを肯定し、その上で話し合う姿勢が、
子どもに自分の考えや感情を大切にする感覚を育てます。
親が「ごめん、今の言い方きつかったね」「間違えちゃった」と素直に言える家庭では、
子どもも「完璧じゃなくていい」と学びます。
これも、自己肯定感にとって非常に大切なメッセージです。
受け止める環境が整ったら、次は「自主性を尊重する姿勢」がポイントになります。
選択肢を与え、自分で決める経験を増やす
自己肯定感は、「自分で決めた」という経験の積み重ねから育ちます。
たとえば、朝着る服、放課後の過ごし方、習い事の内容。
年齢に応じた範囲で選択肢を与え、「自分で決めさせる」場面を日常的につくることが大切です。
「親が決めてくれるから楽」という状態は一見スムーズに見えますが、
子どもの「決定力」と「自己責任感」を奪ってしまうことにつながります。
選択肢を与えたとき、迷って決められないこともあります。
その際は、「今日は決めなくてもいいよ」と伝えるのも一つの方法。
「自分のペースで考える自由」も、自己肯定感には欠かせない要素です。
自主性と安心感がバランス良く育まれたら、次に意識したいのは「挑戦する環境」です。
失敗を恐れない挑戦を支える
親御さんとしては、子どもに失敗させたくない。
そんな気持ちはごく自然なものです。
しかし、失敗は子どもが「自分にもできる」と思うきっかけでもあります。
「もし間違えても大丈夫。一緒に考えよう」
「挑戦しただけですごいよ」
こうした声かけが、挑戦への恐怖心を和らげます。
失敗を通じて得た学びを認めることで、自己肯定感はより深く育っていきます。
最近では、子どもの探究心や挑戦心を引き出す教育方針を取り入れるスクールや学童が増えています。
インターナショナルスクールや探究型学習の場も、「失敗から学ぶ」機会を大切にしています。
こうした環境も選択肢として自然に取り入れるのは、子どもの成長に大きなプラスとなります。
そして最後に、すべての土台となる「親子の信頼関係」を深めましょう。
「無条件の愛情」を言葉と行動で示す

自己肯定感の根底には、「親がどんな自分でも受け入れてくれる」という確信があります。
「あなたが存在しているだけでうれしいよ」
「結果はどうでもいい。一緒にいてくれてありがとう」
こうした言葉を、日常的に伝えましょう。
特別な場面ではなく、何気ない会話やスキンシップの中で示すことが効果的です。
親御さん自身が「良い親でいなければ」とプレッシャーを感じすぎると、
かえって子どもに「期待に応えなければ」というプレッシャーを与えがちです。
親も完璧ではなくていい。その姿勢こそ、子どもへの最高のメッセージとなります。
自己肯定感は、一朝一夕で育つものではありません。
小さな成功体験や失敗、親子の対話の積み重ねによって、じっくりと根を張っていく心の力です。
焦らず、今日からできることを一つずつ。
親御さん自身も「完璧な子育て」を目指さず、親子で一緒に学び、成長する姿勢を持つことが大切です。
もし子どもに「挑戦する機会」や「異文化理解の経験」を与えたいと感じたら、
探究型学習や英語環境を備えたスクールも選択肢の一つ。
家庭での習慣にプラスする形で、子どもの成長を支える方法として考えてみても良いでしょう。