「インターの国語の授業って週に何時間あるの?公立と比べてどのくらい差があるのか知りたい」「バイリンガル教育って聞こえはいいけど、実際どこまで日本語を学べるの?」
…こういう不安を抱えながらインターを検討している保護者の方、相当多いと思います。インターナショナルスクールに通わせると英語力が伸びることはわかってきたけど、「日本語はどうなるの?」という疑問への答えが意外と出てこないんですよね。
この記事では、インターナショナルスクールの国語・日本語教育の実態——授業時間数の比較・カリキュラムの内容・ダブルリミテッドのリスクと防ぎ方・学校タイプ別の日本語教育の差・保護者の本音まで、現役インター保護者の声をもとに正直に解説します。入学前に読んでおくことで、後悔のない学校選びができる内容になっています。
インターの日本語教育の実態——まず週あたりの授業時間を知っておく
インターナショナルスクールの国語・日本語教育を語るうえで、まず押さえておきたい数字があります。「公立小学校と比べて国語の授業時間がどれくらい違うか」という事実です。
公立小学校では国語の授業が週5コマ以上確保されているのに対し、インターナショナルスクールでは週2〜3コマ程度が一般的です。学校によっては毎日1コマ(週5コマ程度)設ける学校もありますが、それでも英語が1日の大半を占めるインターの環境では、日本語に使える絶対時間はどうしても限られます。
ある現役インター生の保護者の観察によると、日本語の国語の授業はあるものの「インターの学年マイナス3学年くらいのレベル」の内容を学ぶことが多いというのが実感です。つまりインターで5年生に相当するクラスにいる子どもが、日本の公立小学校2年生レベルの国語を学ぶというケースが起きています。授業時間の少なさと英語優先の環境が積み重なると、学年が上がるほどに日本語力の差が開いていきやすい構造になっています。
「国語」と「日本語」は別科目という現実
多くのインターナショナルスクールでは、日本語の授業が2種類に分かれています。日本語が母語の日本人生徒向けの「国語(JLL:Japanese Language and Literature)」と、外国籍生徒向けの「日本語(JAL:Japanese as an Acquisition Language / 外国語としての日本語)」の2タイプです。
CGKインターナショナルスクール(横浜)では、全学年でJLL・JALそれぞれ毎日1コマを設けており、「母語や居住国の言語のサポートは、子どもたちの文化的アイデンティティを深め、認知的・社会的・感情的な発達を促すために非常に重要」と明確に位置づけています。このように両方に力を入れている学校は、日本語教育に対する意識が高い学校といえます。
一方で「日本語の授業はあるが、内容は日常会話と漢字の読みが中心」という学校も少なくありません。作文・文学・敬語・国語表現といった高度な日本語力を伸ばす機会は、学校によって大きな差があります。
ダブルリミテッドのリスク——「英語も日本語も中途半端」は本当に起きる?
インターの保護者が最も恐れる言葉のひとつが「ダブルリミテッド(セミリンガル)」です。英語も日本語も、どちらもネイティブレベルまで達しない中途半端な状態を指すこの現象は、インターに通う日本人の子どもにとって実際のリスクとして存在しています。
インターでは1日の大半を英語で過ごします。学校内では英語を話すよう求められる場合が多く、日本語を使う時間は限定的です。一方で家庭では日本語、街では日本語——という環境で、英語のネイティブレベルに達するには、インターの授業時間だけでは不十分なケースがあります。英語は「ネイティブほどではない」、日本語は「同学年の日本語ネイティブより遅れがある」という状態がダブルリミテッドです。
ただし、ダブルリミテッドが「必ず起きる」わけではありません。日本語の強固な基盤が先に確立されている子どもや、家庭での日本語教育を意識的に続けている家庭では、インターで英語を習得しながら日本語力も保てているケースが多いです。
ダブルリミテッドが起きやすい条件
ダブルリミテッドになりやすいのは、①日本語の基礎がまだ固まっていない早い段階からインターに入れた場合、②家庭での日本語使用が減っていく場合、③学校以外での日本語補習を一切しない場合——これらが重なるときです。
特に2〜3歳というまだ母語が固まっていない時期にフルタイムのインターへ入れた場合、日本語と英語の両方を同時に習得しようとして、どちらも「言語としての深さ」が育まれないリスクが高まります。「インターに入れたら英語は伸びた。でも日本語を話すときに単語が出てこない、漢字が全く書けない」という親の後悔は、実際によく聞かれます。
学校タイプ別に見る日本語教育の違い
インターナショナルスクールといっても学校のタイプによって、日本語教育の位置づけと充実度は大きく異なります。4つのタイプに分けて整理します。
日本語教育の充実度と英語比率のバランスを考えると、学校選びの際にどのタイプを選ぶかは、家庭の教育方針と将来の進路に大きく関わります。
タイプ①:完全英語環境のフルインター
外国人比率が高く、授業も生活もすべて英語が前提のフルインターでは、日本語の授業は週1〜3コマ程度に限られることが多いです。学校によっては「生徒の母語・日本語レベルに関係なく同じクラスで日本語を学ぶ」という構成になっているところも多く、日本人ネイティブの子どもには物足りないレベルになりがちです。英語力は急速に伸びる一方で、日本語力の維持は家庭の努力に大きく依存します。
タイプ②:日英バイリンガル型インター
日本語と英語を授業の50〜55%ずつ程度で使い分けるバイリンガル型インターは、日本語力と英語力を並行して育てる仕組みを持っています。関西国際学園(さくらインターナショナルスクール)では、日本の学習指導要領の指針を取り入れながら漢字・文法・読み書きをIB探究学習と関連させて学ばせており、「作家の時間」という独自プログラムで日本語の表現力を養っています。このタイプは公立小学校への転校・日本語能力の維持の面でも安心感があります。
タイプ③:IB認定校の日本語授業
IB(国際バカロレア)認定校では、「自分の言語と文化(Language A)」として母語での文学作品の読解・論述・表現を高いレベルで求められます。セント・メリーズ・インターナショナルスクールのような学校では、毎日1時間の日本語の授業の中で漢字・作文・夏目漱石の文学作品の感想文・寸劇といった本格的な国語教育が行われており、「限られた授業時間に一般的な国語教育を凝縮している」という卒業生の声があります。IBの枠組みが日本語教育を高いレベルで担保している側面があります。
タイプ④:一条校認定インター(日英バイリンガル一条校)
同志社国際学院初等部のように、日本の一条校として認定されながらバイリンガル教育を実施している学校では、学習指導要領に基づいた国語教育が担保されています。日英の比率は学校によって異なりますが、国語の授業時間数が公立小学校に近い水準で確保されているため、「日本語力を落としたくない・公立中学への転校可能性も残したい」という家庭に向いています。
保護者の本音——日本語教育についてわかったこと
ここからは複数の保護者のヒアリングや体験談をもとに、編集部が独自にまとめた内容です(特定個人の発言の転載ではありません)。
「国語は公立と同じ教科書を使っているから安心していたら、時間が全然違った」
現役インター生の保護者からよく聞かれる声が「公立と同じ教科書を使っているから大丈夫と思っていたのに、週の授業コマ数が全然違って、実態としての学習量に大きな差があった」というものです。同じ教材を使っていても、週5コマと週2コマでは年間の学習量は2.5倍の差があります。「学年が上がるにつれて漢字の遅れが目立つようになってきた」という声は、この時間的なギャップを反映しています。
「子どもに日本語で難しい話をしても伝わりにくくなってきた」
インターに通い始めて3〜4年経つと「日本語で細かいニュアンスや抽象的な話をしても、子どもに伝わりにくいと感じるようになった」という保護者の声があります。英語での思考が優勢になっていき、「感情を英語でしか表現できない」という状態に近づくケースです。「英語で言いたいことは言えるけど、日本語で深い話ができない」というギャップが大きくなる前に、家庭での日本語読書や会話量を意識的に増やすことが重要だという実感が保護者間で共有されています。
「補習校・家庭学習の組み合わせで対応している家庭が多い」
インターに通わせながら日本語力も維持したい家庭がとっている現実的な対応として、最も多いのが「週末の日本語補習校への通学」「公文や塾での国語補強」「家庭での日本語読書習慣の維持」の組み合わせです。インターの英語授業と補習校の日本語教育を並行させることで「英語力も日本語力も育てる」という戦略は、現実的かつ有効です。ただし子どもの負担が大きくなるため、学年が上がるにつれて継続が難しくなるという声もあります。
編集部の視点——日本語教育は「学校任せ」にしない方がいい
インターの日本語教育を全体的に見たとき、正直に言うと「学校任せにするには限界がある」というのが率直な感想です。英語が主言語の環境で日本語も公立と同じレベルまで育てるには、授業時間が構造的に足りません。
「インターに通わせているから日本語は大丈夫」という安心感は危険で、少なくとも小学校年代の間は家庭での日本語読書・書き取り・会話量を意識的に保つことが不可欠です。英語と日本語、両方を本物のレベルで育てるには「学校×家庭の協働」という意識が必要です。
一方で、インターの日本語教育の質は近年上がっています。CGKのようにJLL・JALを毎日1コマずつ設けている学校や、IBの言語Aとして本格的な日本語文学を扱う学校が増えており、「インターの日本語教育はどうせ薄い」という古いイメージは更新されつつあります。学校を選ぶ際に「日本語教育の時間数と内容」を比較する視点を持つことで、後悔のない選択ができます。
まとめ:バイリンガル教育を成功させる3つのポイント
インターナショナルスクールでの国語・日本語教育の実態をまとめると、学校によって週2コマから毎日1コマまで差があり、その質と量は選ぶ学校によって大きく変わります。ダブルリミテッドのリスクは「ゼロではないが、防げる」ものです。
バイリンガル教育を成功させるためのポイントは3つです。まず学校の日本語教育の時間数と内容を入学前に確認すること。次に家庭での日本語使用・読書・会話を意識的に継続すること。そして必要に応じて補習校・塾・家庭学習で日本語力を補強することです。
英語力と日本語力は「どちらかを選ぶ」ものではなく、両方育てることができます。ただしそれには意識的な設計と継続的な努力が必要——このことを理解したうえでインターを選ぶことが、長期的な後悔を防ぐ最大の鍵です。
このサイトでは、インターナショナルスクールの選び方・カリキュラム情報を随時更新しています。日本語教育に力を入れている学校の詳細は、各学校の紹介記事もあわせてチェックしてみてください。

