学費が高いのはわかるけど、授業の中身の差が正直よくわからない…」「そもそもALTって何をしてる人なんだろう?」
…こういう疑問、インタースクール選びを検討し始めた最初のころに、絶対一度は頭をよぎりますよね。
この記事では、ALT(外国語指導助手)とインターナショナルスクールの先生の役割の違いを軸に、授業の構造・英語環境の質・先生に求められる資格など、保護者がリアルに気になるポイントを丁寧に解説します。「なんとなくインターの方がすごそう」という感覚を、ちゃんと言語化できるようになるはずです。
そもそもALT(外国語指導助手)って何をしてる人?
ALTとは「Assistant Language Teacher」の略で、日本の公立・私立の小中高校に配属されている外国語(主に英語)の指導助手のことです。文部科学省が推進する制度で、2023年度の調査では全国の公立学校に約1万8,000人以上が在籍しているとされています。
ポイントは「あくまでも補助」という立場であること。法律上、授業の主導権を持つのは日本人担任や英語担当教員(JTE:Japanese Teacher of English)であり、ALTは彼らのサポート役として動くのが基本的な設計です。
ALTの具体的な仕事内容
ALTが授業でやっていることを具体的に挙げると、大体こんな感じです。
ネイティブの発音を聞かせる・英語での自己紹介や会話の実演・ゲームやロールプレイを通じた会話練習・教材作成の補助・文化の紹介(自国の行事・食べ物など)といったものが中心です。いわば「生きた英語のサンプルを見せる係」と表現すると少し乱暴ですが、そのくらい役割が限定的であることはたしかです。
たとえば、英語の文法説明や成績評価、授業計画の策定は基本的に日本人教員の仕事。ALTは授業中に独自の判断で指導の方向を変えることも、原則としてはできません(業務請負の場合、授業中に日本人教員がALTへ直接指示を出すことさえ制限されるケースもあります)。
ALTの資格・採用条件の実態
ALTになるための条件として一般的に求められるのは「大学卒業以上」であること。ただし、教員免許は必須ではありません。英語圏出身であること・一定のコミュニケーション能力があること、この2点で採用されるケースが多く、指導経験や教育学の知識は問われないことも多いのが実情です。
JETプログラム(国が関わる招致制度)経由のALTはおよそ全体の28%、残りの約34%は民間の派遣会社経由、残りが自治体直接雇用とされており、質のばらつきが出やすい構造になっています。
インターナショナルスクールの「先生」は何が違う?
インターナショナルスクールの先生とALTを並べてみると、その違いは「補助か、主導か」という一言に尽きます。インターの先生は、授業の設計から評価まで**すべてを一人で担う「フルタイムの担任教員」**です。英語で数学を教え、英語で理科を教え、英語でホームルームを回す。英語は「科目」ではなく「授業の言語そのもの」になっています。
ここが根本的な構造の違いで、ALTがいる学校では「英語の授業に英語話者がいる」のに対し、インターでは「あらゆる授業が英語話者によって英語で行われる」という状態です。
インターの先生に求められる資格・バックグラウンド
インターナショナルスクールで教壇に立つためには、一般的に以下が必要とされています。
英語圏の大学・大学院で取得した教員免許(Teaching Credential)、あるいは国際バカロレア(IB)などの国際カリキュラムの指導資格、そして各教科の専門知識。さらにIBワールドスクールの場合は、IBが認定するワークショップを修了していることが採用条件になるケースも多くあります。
ALTと決定的に違うのは「教育のプロとしての資格が前提になっている」点。単に英語が話せるだけでは、インターの先生にはなれません。
授業で使われる英語の「質」と「量」が段違い
ALTがいる授業では、英語に触れる時間は週に数時間。しかも、授業の大半は日本語で進められます。
一方インターでは、登校した瞬間から下校するまで、ほぼ100%英語の環境。算数の授業も、体育の授業も、給食や休み時間の雑談も英語です。これをイマージョン教育と呼び、「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」環境を作ることで、子どもが母語と同じように英語を習得していくプロセスを狙っています。
実際、クラスの人数も違います。インターは1クラス平均15〜20人以下のところが多く、教師が一人ひとりの発話量や理解度を見ながら授業を進められる体制になっています。日本の公立校が1クラス30〜35人前後であることと比べると、密度の差は明らかです。
授業の「中身」を5つの視点で比較してみた
ここまでの話を整理する意味で、具体的な比較軸で両者を並べてみます。
①英語を使う時間の割合
ALTありの授業:英語に触れるのは週3〜5時間程度。授業の大半は日本語進行。英語は「授業の一部」に過ぎない。
インターナショナルスクール:1日6〜8時間、すべての授業が英語。英語に浸かっている時間が圧倒的に長く、年間で比べると差は数十倍に上る計算になります。
②先生が「主役」かどうか
ALT:授業の主役は日本人教員。ALTはサポーター。「ALTに話しかけてみよう」という場面が設けられることが多い。
インター:ネイティブ教師が授業全体を設計・進行・評価する。子どもは授業中ずっとネイティブと向き合い続ける。
③教科横断の学び
ALTありの学校:英語は英語の授業でしか使わない。算数は算数、国語は国語と科目が完全に分離している。
インター:IBカリキュラムなどでは、テーマ別の「統合学習」が一般的。英語で環境問題を調べ、英語でプレゼンし、英語でレポートを書く、という横断的な学び方が基本になっています。
④評価の方法
ALTありの学校:定期テスト・ペーパー試験が主体。文法や単語の正確さが評価の中心になりがち。
インター:ルーブリック評価・ポートフォリオ・口頭発表・グループプロジェクトなど、多角的な評価方法が用いられる。「話せるか」「伝えられるか」が重要視される。
⑤先生との距離感
ALTありの学校:ALTは週数回しか来ない場合も多く、継続的な関係が作りにくいという現場の声もあります(自治体の契約形態によって年度ごとに担当が変わることもある)。
インター:担任がフルタイムで毎日いるため、一人ひとりの性格や学習ペースを把握したうえでの指導が可能。保護者との面談も英語で行われ、密なコミュニケーション体制が整っている。
保護者の本音——実際に通わせてみてどうだった?
ここからは、複数の保護者の声を編集部でまとめた内容です(特定個人の発言の転載ではなく、複数の口コミや体験談を編集部が独自に要約したものです)。
「英語の吸収スピードが想像以上だった」
英語ゼロの状態で年少から入園した子どもが、半年も経たないうちに英語で簡単なやり取りができるようになった、という声は複数の保護者から聞かれます。「教科書の挨拶を暗記している感じではなく、本当に会話している」という言葉が印象的で、イマージョン環境の効果を実感している様子が伝わってきます。
一方で「宿題を英語で聞かれても教えられない」「学校からのお便りが全部英語でついていくのが大変」という声も正直多いです。インターに入れる=子どもだけでなく親も英語環境に放り込まれる、と覚悟しておいた方がいいかもしれません。
「ALTのいる学校との差を実感したのは3年後だった」
ALT環境からインターに転校した子を持つ保護者からは、「話す度胸が全然違う」という声が多く聞かれます。ALTとの会話はどこか「イベント感」があり、普段の英語使用とつながりにくい側面があるようです。一方インターでは英語が「日常」なので、英語で話すことに対する心理的なハードルが低い子どもが育ちやすいという話は、現場でよく聞かれます。
編集部の視点——「ALTがいる=英語教育が充実している」は誤解かもしれない
少し厳しめに言いますが、「うちの子の学校にもALTが来てるから大丈夫」という認識は、少し見直した方がいいかもしれません。
ALTは制度設計上「補助」であり、週に数時間・しかも大半を日本語で進める授業の中では、英語を「本当に使う」機会は限定的です。英語の「発音の正しさ」を聞かせる効果はある一方で、子ども自身が英語を産出する(話す・書く・考える)練習量は、インターの環境とは桁が違います。
とはいえ、インターが「絶対正解」というわけでもありません。年間200〜300万円超の学費・日本語教育の不足・日本の高校受験との接続問題など、現実的な課題も多い。どちらが合うかは、家庭の教育方針・将来像・経済状況によって変わります。
編集部が見てきた中で言うと、「英語力を本気でつけさせたいなら、ALTに頼るだけでは限界がある」というのが正直な感想です。週に数時間のALT授業だけで英語が身につくなら、日本の英語教育の課題はとっくに解決されているはずですから。
2024〜2025年にかけて、国内では新しいインターナショナルスクールの開校が相次いでいます。都市部だけでなく地方都市への展開も増えており、選択肢が以前より広がってきているのは事実。「うちの地域にはインターなんてない」という状況は、少しずつ変わりつつあります。
まとめ:ALTとインターの先生、結局どこが一番違う?
ここまで読んでいただいてありがとうございました。最後に要点を整理します。
ALTは「英語を教える補助者」であり、授業の主役は日本人教員。英語に触れる時間は限られており、先生に教員免許は必須ではありません。インターナショナルスクールの先生は「英語で全教科を教えるプロ」であり、子どもは毎日フルタイムで英語環境に浸ります。授業の構造・英語使用量・評価方法、すべての面で設計が根本から異なります。
学校選びで悩んでいるなら、「ALTがいる=英語教育が充実」という図式を一度疑ってみることが大切です。何を目的に英語を学ばせたいのか、将来どんな進路を想定しているか、そこを整理した上で学校を比べてみてください。
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