「友だち作りは順調かな。教室でひとりになっていないかな」「入学後って何から整えればいいのか、順番が分からない」
入学がゴールではなく、ここからが毎日の始まり。最初の90日は、子どもも親もペースを作る助走期間です。難しいことを一気にやるより、生活と学びを少しずつ噛み合わせていくのがコツ。ここでは、インターナショナルスクール 入学後に押さえておくと安心なポイントを、家庭で再現しやすい順番に並べました。
0〜30日目、毎日を回す「土台」を整える

入学直後の一か月は、情報の波にのまれやすい時期です。
連絡アプリ、宿題の型、持ち物、スクールバスの時間、校内ルール。全部を一度に覚えようとすると息切れします。ここでは、家の中に小さな「仕掛け」を置いて、自然に回る流れを先につくります。根本の狙いは、子どもが安心して学校に向かえること。学力より先に、生活の摩擦を減らすことから始めます。
朝・帰宅・就寝の三つのリズムを固定する
入学後は刺激が多く、体力を消耗します。まずは一日の骨組みを固めて、脳と体の回復を優先。朝の支度、帰宅後の休憩、就寝前の落ち着き。この三点に英語を押し込む必要はありません。とにかく安定させるのが先です。
- 朝は支度ボードを玄関に。持ち物の写真を貼るだけで忘れ物が減ります。
- 帰宅後は10〜15分の無言タイム。おやつと水分、静かな音楽だけ。
- 就寝前は照明を落として、翌日の持ち物を一緒に確認。短い会話で十分です。
学校とのやり取りを迷わない仕組みにする

何よりつまずきやすいのが連絡の流れ。
メール、保護者ポータル、プリント、連絡帳、学級からの一斉メッセージ。入口が多いほど取りこぼしが起きます。
連絡アプリと紙のルートを一本化する
アプリの通知は時刻を固定してまとめて確認。紙は玄関に一時置きトレーを用意して、夜に親が一括チェック。
- 重要な期日だけは、家族カレンダーに即メモ。端末でも壁でもどちらでも。
- 先生への質問は、要点を一つに絞って短く。返答までの目安時間を最初に確認しておくと心が軽くなります。
30〜60日目、学びのスイッチをやさしく入れる

生活の土台が安定してきたら、ここでようやく学習の手触りを整えます。英語の授業、探究活動、算数や理科の専門語、グループワーク。
新しい型に慣れる時期なので「量」より「やり方」を覚えるのが先。家庭では、宿題の質を理解し、手伝い過ぎない距離感をつくります。英語の伸びは焦らなくて大丈夫。授業で使う音や言い回しに耳が慣れてくるだけで、表情が変わります。
宿題の意味を一緒に読む
ワーク量より、先生が何を見たいのかを親子で確認。指示の中にあるキーワードを、子どもが自分の言葉で言い換えられたらOK。
- わからない指示は、丸ごと訳さず「ひとことで言うとこういう宿題だよね」と要約だけ共有。
- 完璧を求めず、手を出し過ぎず。親はタイマーと声かけの係で十分です。
英語の勘を学校の日常とつなげる

帰宅後に英語を増やすより、学校で使った音を家で軽くなぞる方が負担が少ないです。
10分だけ、日常の中で英語に触れる
- 夕食づくりの1工程を英語レシピで確認。読むのは親、合図は子どもが出す。
- 入浴後の着替えタイムに、授業で出てきた歌などを1曲流す。
- 就寝前、今日の楽しかった場面を英語と日本語で一言ずつ。片言で十分。笑って終わることが目的です。
60〜90日目、友だち・先生・自分のペースをつなぐ

2か月が過ぎる頃、疲れがどっと出る子もいれば、生活に馴染んで元気が増す子もいます。どちらも自然な反応。ここからは、人との距離感と自分の力のバランスを整えるフェーズです。授業の役割分担、発表の出番、グループの居場所。家では「うまくいった瞬間」を言語化して、次につなげる土台を作ります。
小さな成功を見える形で残す
評価は成績だけではありません。できた瞬間の表情、先生の一言、友だちと笑った場面。
- 週末に1枚だけ写真や作品を選び、短いキャプションを付ける。
- 次の週の自分へ、メモ書きの応援メッセージを残す。「先週は発表の順番を最後まで待てた」など、具体が効きます。
先生との対話をポジティブに保つ

面談やちょっとした連絡で、質問が多くなるのは自然なこと。ただ、毎回相談ベースだと受け身になりがちです。次に角を立てずに核心へ届く、短い言い回しの型を置いておきます。背景→お願い→理由、の三拍子を意識すると、相手も答えやすくなります。
伝え方のミニテンプレ
- 背景:最近の様子を一行で。「朝、教室に入る前に緊張する様子が続いています」
- お願い:知りたいことを一つ。「朝のルーティンで効果的だった方法があれば教えてください」
- 理由:家庭で合わせたい意図。「家でも同じ合図で支えたいからです」
家のルールを子どもと一緒に作る

入学後は、スクリーンタイム、就寝時間、ゲームやSNSの扱いなど、生活の線引きがぼやけやすい時期。線を親が一方的に引くと反発しやすく、守られません。次では、子どもと共作するためのシンプルな手順を置きます。守る感覚ではなく、暮らしやすくする道具としてのルール。これが長続きのコツです。
ルールづくりの三手順
- 事実を一緒に確認:現状の睡眠時間、宿題時間、自由時間を書き出す。
- 優先順位を決める:今期は睡眠と宿題を優先、など季節ごとに変えてOK。
- ルールを見える化:壁に貼るか、端末のロック画面に入れる。週末に見直す余白を残します。
日本語と英語、どっちをどう支えるか

二言語のバランスは家庭ごとに違います。低学年で英語を急に増やすより、母語での自己表現を支えた方が結果的に英語が伸びる子も多い。ここでは、家での言葉の支え方を分かりやすく分けて考えます。目標は「思いを伝える体験を増やす」こと。言語は道具、体験が先です。
家の中でできる言葉の支え
- 日本語:読書の読み合い、自由研究の記録、家族への手紙。思考の土台を育てます。
- 英語:短いメモ、ラベル、メッセージカード。小さな用途を増やすと、自動的に語彙が増えます。
- どちらでも:写真にキャプション、週末の出来事の朗読。言葉の切り替えの練習にもなります。
30・60・90日のチェックポイント

点検は細かくしない。続けられるシンプルさが命です。3つの節目に、家族で5分ふり返るだけでも効果があります。質問は同じで構いません。変化が見えると、本人の自信になります。
家族ミーティングの質問メモ
- どんな時にわくわくした?
- どんな時に困った?次はどうしてみたい?
- 家で手伝ってほしいことは?
- 先生に伝えたいことは一つある?
よくあるつまずきと、軽やかな戻し方

完璧に回る家庭はありません。崩れたら、戻せばいい。ここでは、入学後によくある三つのつまずきを取り上げ、翌日からできる軽いリセット案を置いておきます。必要なのは根性ではなく、摩擦の少ない仕組みです。
朝の不機嫌が続く
前夜の支度を親子で2分だけ一緒に。翌朝の選択肢を減らすと、出発が軽くなります。朝食は咀嚼しやすいものを定番化。味の冒険は週末に回します。
宿題で毎回けんか
時間を短く切る。15分×2回に分割し、間に体を動かす3分を挟む。終わりを先に知らせると、今に集中できます。正解探しより、手順を声に出す練習を。
友だち関係のもやもや
事実と気持ちを分けて聞く練習を親が先導。「起きたこと」「どう感じたか」「次にどうしたいか」を三つの箱に入れる。先生へ伝える際も、そのままの箱で短く送ると伝わりやすいです。
学校別の色合いを理解して、期待を揃える

同じインターナショナルスクールでも、教育の色合いはさまざま。入学後の最初の90日は、その学校の空気に体を馴染ませる時間でもあります。ここでは代表的なスタイルをやわらかく整理。どれが良い悪いではなく、子どもの性格と噛み合うかを見ます。
アメリカ系
発表やプロジェクトが多め。家では話す練習より「材料集め」を支えると成果が出やすいです。週末に写真やメモを貯めておくと、プレゼン準備が軽くなります。
イギリス系
段階的で基礎を重視。宿題は丁寧さを評価されやすいので、時間を前倒しで確保。提出物のフォーマットや見本を家に貼っておくと迷いが減ります。
IB(国際バカロレア)系
探究中心。正解より問いを立てることを大切にします。家では「なぜそう思った?」と理由を一緒に探す会話を増やすと、授業への接続が良くなります。
バイリンガル型
日本語と英語の切り替えが多い。家ではどちらの言語でもいいので、内容の充実を優先。翻訳に時間を取られない仕組み(写真+短い説明など)が効きます。
入学後、親が頑張り過ぎると、子どもは自分のペースを見失いがち。逆に任せ切りでも不安が積み重なります。ちょうどいい距離は「環境づくりは親、やるのは子」。見守るとは、何もしないことではなく、やりやすい場を準備すること。うまくいかなかった日は、責めずにリセット。うまくいった日は、言葉で残す。これだけで十分です。
今日からできる一歩メモ
- 玄関に持ち物ボード
- 一時置きトレーで紙を一括管理
- 夕食前の10分タイマー(宿題の手を出し過ぎない合図)
- 週末の家族ミーティングで写真1枚のふり返り
まとめ

0〜30日は生活の土台を整える。30〜60日は学び方に慣れる。60〜90日は人と自分のペースをつなぐ。どの期間も、合言葉は同じです。焦らず、小さく、具体に。インターナショナルスクール 入学後の道のりは長距離走。肩の力を抜いて、昨日より一歩だけ前へ。家の空気がやさしければ、学校での挑戦は自然と増えていきます。
もし「うちの時間割でこのテンプレを微調整したい」「英語が苦手めの子に寄せた90日版が欲しい」という場合は、今の生活リズムと好きなことを二つだけ教えてください。家の中で無理なく回る設計に、そっと作り替えます。