「うちの子は英語環境が弱いのかな、」「夏の間、どうやって家庭で英語を続ければいいのか分からない、、」
インターナショナルスクールに通っているお子さんを持つ親なら、一度は考えたことがある悩みだと思います。普段は授業や友達との会話で自然に英語に触れていても、長期休暇になると環境がガラッと変わる。気づけば夏が終わるころに「あれ、ちょっと英語を話すスピードが落ちてる?」と感じることも珍しくありません。
この記事では、インターナショナルスクールに通う子どもが夏休みをどう過ごせば、英語力の伸びが停滞せずに維持・発展できるのかを具体的に考えていきます。カリキュラムや家庭での工夫、遊びや旅行の取り入れ方まで、バランスをとりながら安心できる方法を一緒に見ていきましょう。
夏休みに英語が落ちやすい理由

学校がある時期は、授業、友だち、先生とのやり取りで英語が日常になっています。休みに入ると、その「必然の回数」が減る。能力が急に消えるわけではなく、使う場面が薄まって感覚が鈍るイメージです。ここで大事なのは、詰め込みではなく、生活の中に小さな英語のフックを分散させること。毎日少しずつ、でも確かに触れる。これが戻学初日に効いてきます。
英語の「必然」を家庭でどう作るか
学校のような完全英語環境を家で再現する必要はありません。ひとつの行動にひとつの英語スイッチを紐づけるだけで十分です。朝ごはんを作る時だけ英語レシピ、移動中は英語オーディオ、寝る前は短めの英語本。この「場面と英語のひも付け」が、休み中の頼れる習慣になります。
夏休み設計の基本方針

方針が決まると迷いが減ります。ここでは三本柱だけ覚えておけば大丈夫です。毎日完璧を目指すより、崩れても戻しやすい仕組みの方が長続きします。
ちいさな連続(毎日の英語に1つ用途を)
続くかどうかの分かれ目は、時間の長さではなく「同じ場面で同じ英語を使う約束」があるか。朝の10分読書、昼の音声、夜のふりかえり。短くても、用途が決まっていると迷わないので習慣になります。
体験との結びつき(遊びや外出に言葉を乗せる)
ただ勉強するのではなく、キャンプ、科学館、料理、買い物などの体験に英語の言葉をそっと載せる。心が動く体験とセットの言葉は定着しやすく、休み明けのスピーキングが軽くなります。
家族の伴走(親が全部やらない・でも雰囲気はつくる)
保護者が先生役になりすぎると疲れます。役割は「場面のきっかけを置く人」。本人が自走できるしかけ(選べる本棚、聞きやすい再生リスト、すぐ書ける日記帳)を整えて、手は出し過ぎない。声かけは短くやさしく、で十分です。
1日の流れテンプレート

理想論では続きません。ここでは現実的な一日の雛形を置いておきます。学校の宿題がある日もない日も、骨格は同じ。隙間時間に英語の小さな島を置いていく感覚です。
朝の10分は読む時間に
朝は脳が静かで、語彙の吸収に向いています。英語の絵本や短編なら10分で十分。音読は強制しなくてOK。黙読に1フレーズの音読を挟むくらいが軽くて続きます。
読み終わったら、面白かったページを一行メモ。書けなくても、ページ番号だけでもいいです。小さく残すと明日も開きやすいです。
昼の移動・家事タイムは「聞く」
移動中や家事の音に英語オーディオを重ねます。ニュース風は大人向けに偏りやすいので、年齢に合うストーリーやナレーションを。スクリプトがあるものなら、後で数行だけ眺めると耳と目がつながります。聞き流しで十分、と思えたら勝ちです。
夕方は「体験×英語」をひとつだけ
料理なら英語のレシピを見て一緒に作る。工作なら手順を英語で1ステップだけ読む。スポーツなら英語のチュートリアル動画を数分見て真似してみる。集中は長くなくて大丈夫。体と一緒に動くと、単語が体感に結びつきます。
夜は2分のふりかえり
ベッドの横に小さなノート。英語でも日本語でも、今日の英語の瞬間を一言。例えば「listened to a story on the bus」「卵焼きを英語レシピで作った」など。書くのが苦手なら、親子で音声メモでもOK。点ではなく、線になっていく感覚が残ります。
外に出る日の工夫

出かける日は「英語の場面」を先に一つ決めておくと、帰ってからの復習がすっと入ります。完璧なバイリンガル旅行でなくていい。ひと場面で十分です。
近場おでかけのミニ英語
水族館や博物館なら、展示の英語キャプションを親子で一つ選んでゆっくり読む。読めなかった単語は帰りにスマホのメモに。公園なら遊具の名前や遊び方動画を英語でひとつ検索。無理に全部英語にすると疲れるので「一点主義」で。
旅行や帰省のときは「記録」が味方
写真を撮るだけで終わらせず、夜に3枚だけ選んでキャプションを一言。英語でも日本語でも構いません。翌日、その中の一枚を英語で短く言い直してみると、単語が自分のものになっていきます。
友だちを巻き込むオンライン時間
クラスの友だちとオンラインで一緒に動画を見たり、同じゲームで協力プレイをしたり。「遊ぶために英語を使う」時間は、モチベーションの源。約束の曜日と時間だけ決めて、親は口出し少なめで見守るのがコツです。
家の中の英語の置き場所

学習が続く家は、英語がすぐ手に取れる位置にあります。特別な教材を増やすより、手が伸びる距離に用意するだけで回りだします。
本棚:選びやすく、しまいやすく
背伸び本ばかりだと開かれません。易しい本7割、少し難しい本3割くらい。表紙が見える面置きがあると、手が伸びやすいです。読んだ印として小さな付せんを一枚。目に見える進捗は、次の一冊へのブースター。
端末:入り口は1タップで
オーディオや動画は、アプリのホームに年齢に合う再生リストを固定。親のスマホではなく、子の端末か共有タブレットに置くと自立しやすいです。イヤホンだけでなく小さなスピーカーもあると、家族で一緒に聞く場面が作れます。
声かけ:短く、やさしく、選択肢を
長い説得より、短い選択肢の提示が効きます。
「朝読書、今日はこれとこれ、どっちにする?」
「バスの中、音声流す?それとも帰ってから見る?」
決めるのは本人。親は雰囲気の係、くらいがちょうどいいです。
つまずいた日のリカバリー

毎日きっちりは現実的ではありません。大事なのは、崩れた翌日に戻しやすいこと。ルールはシンプルに三つ。
スモールリセットの合図を持つ
「今日は2分だけ英語の本を開く」「一曲だけ英語の歌を流す」。それで終わりでOKにしておく。完璧主義を遠ざけると、習慣は戻ります。
ごほうびは行動に結ぶ
ごほうびは「英語の行動が増える形」に。例えば、読んだ本シールが5枚たまったら、新しい英語の絵本を1冊選べる、など。物ではなく選択の自由が、次につながります。
比較しない、昨日の自分とだけ比べる
友だちや兄弟と比べると、続ける気持ちが削られます。昨日の自分より一歩でも前に進んだら、それで十分。親のうれしそうな表情が、一番のごほうびです。
夏の終わりに差が出るミニ課題例

やるのは一日ひとつで十分。達成できたらカレンダーに小さな丸を。丸が並ぶと、子どもは誇らしげになります。
- Day1:英語本の音読を1ページ。面白かった一文を付せんで残す。
- Day2:料理の手順を英語で一工程だけ読む。写真を一枚撮ってキャプションをひと言。
- Day3:移動中に英語オーディオを10分。帰宅したら聞き取れた単語を三つメモ。
- Day4:友だちとオンラインで15分。ゲームでも動画でも、英語のやり取りを1回入れる。
- Day5:近場の博物館や公園で、英語の単語を一つ現地で探す。帰宅後に絵と一緒にノートへ。
- Day6:好きなスポーツや工作の英語チュートリアルを5分見て、真似した様子を一言日記。
- Day7:一週間を写真3枚でふりかえり。英語でも日本語でもOK。翌日に1枚だけ英語で言い直す。
よくある不安にそっと答える

「親の英語が得意じゃない」「兄弟でレベルが違う」「宿題が重い」。どれもよくある相談です。ポイントだけ押さえておきましょう。
親の英語が得意でなくても大丈夫
必要なのは完璧な指導ではなく、英語に触れる場面を置くこと。読み上げは端末に任せてもいい。親は「一緒に開く」「一緒に聞く」存在で十分です。
兄弟のレベル差は「別の時間・別の棚」で調整
同時にやろうとすると待ち時間がストレスに。棚を分け、時間帯も少しずらすと平和に回ります。上の子が下の子に読み聞かせるのは、双方にメリットが大きい王道の形です。
宿題が重い時期は「用途固定だけ残す」
全部やろうとせず、朝読書の5分だけ、移動の音声だけ、など用途固定の一か所を守る。ゼロにしないことが、再起動の早道です。
インターナショナルスクールの英語は、短距離ではなく長距離です。
夏休みは、呼吸を整えつつペースを落とし過ぎない期間です。毎日完璧にやる必要はありません。場面と英語をひも付ける。体験に言葉を乗せる。親は雰囲気づくり。これだけで、休み明けの一週間が驚くほど軽くなります。