「子どもには将来、グローバルに活躍してほしい」。
そんな願いを持つ親御さんは多いものの、実際に何をどのように育めばいいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
英語ができれば良い? 海外経験が必要?
それとも、日本的な価値観もしっかり持たせるべき?
情報があふれる今、正解を探そうとすればするほど混乱してしまいます。
ですが、ご安心ください。
グローバル人材を育てるために、特別な環境や完璧な教育方針が絶対に必要なわけではありません。
まずは、親御さん自身が「これからのグローバル人材に求められる力」と「家庭でできること」を知ることから始めましょう。
グローバル人材に必要な力とは?

今までは、「グローバル人材」と言えば、英語が流暢で海外で働ける人、というイメージが一般的でした。
しかし、現代ではその定義が大きく変わってきています。
グローバル化が進んだ現在、多様な文化や価値観の中で協働し、柔軟に問題を解決できる力が重視されています。
さらにAI時代を迎え、単純な知識や語学力だけではなく、人間にしかできない「創造性」や「共感力」も求められるようになりました。
例えば、世界経済フォーラム(WEF)やOECD(経済協力開発機構)なども、今後必要な人材スキルを次のように示しています。
- 異文化理解と共感力
- 創造的な問題解決力
- 多様な価値観と協働する力
これらは学校教育だけでは十分に育みにくい力でもあります。
親ができる3つのアプローチ

では、こうした力を家庭でどのように伸ばしていけば良いのでしょうか。
次のセクションでは、親御さんが担うべき具体的な役割と関わり方について掘り下げていきましょう。
- 異文化や多様性を「身近なこと」として経験させる
- 自分の意見を持ち、発信する力を育む
- チームで協力し、違いを活かす経験を増やす
それぞれ解説します。
異文化や多様性を「身近なこと」として経験させる
グローバル人材にとって「違いを受け入れる力」は欠かせません。
しかし、「異文化」というと、どうしても海外旅行や留学といった大きな体験を思い浮かべがちです。
実際には、日常の中でも多様性に触れる機会はたくさんあります。
たとえば、地域のお祭りで外国文化に触れたり、多国籍のレストランを訪れることも立派な経験です。
また、自宅で外国の絵本を読んだり、異文化を題材にした映画を一緒に観るのも効果的です。
最近では、英語環境を取り入れたスクールや、国際バカロレア(IB)カリキュラムを導入している学校も増えています。
こうした選択肢を検討するご家庭も増えており、無理のない範囲で生活に組み込むことがポイントです。
海外渡航が難しい家庭も多いですが、多様性教育の本質は「どこで育ったか」よりも「どのような価値観に触れたか」です。
親御さんの姿勢一つで、十分にカバーできるのです。
異文化理解を土台にしたら、次に育てたいのが「自分の考えを持ち、行動できる力」です。
自分の意見を持ち、発信する力を育む
グローバルな場面では、自分の意見をしっかりと持ち、相手に伝える力が不可欠です。
しかし、日本の教育では依然として「空気を読む」「周囲と合わせる」ことが重視されがちです。
そこで、親御さんに意識していただきたいのが、家庭内での「対話」の質を高めること。
子どもが質問をしてきたとき、すぐに答えを教えるのではなく、
「あなたはどう思う?」と返して、自分なりの考えを言語化する習慣を作ります。
また、家族の中で社会の出来事やニュースについて話すことも有効です。
「それについてどう思う?」と問いかけ、子どもの意見を引き出す練習を重ねていきましょう。
英語学習でも、単語や文法の習得に偏らず、意見を述べる機会を持たせることが重要です。
最近では、英語探究型の学習を導入しているインターナショナルスクールや、ディスカッションを重視した英会話教室も登場しています。
家庭の方針やお子さんの性格に合わせて、「学んだ言語を使う場」を自然に作ることが、グローバル人材育成には効果的です。
異文化理解と自己表現が育まれたら、最後に身につけたいのは「協働する力」。これが世界のどこでも通じるスキルです。
チームで協力し、違いを活かす経験を増やす
グローバル社会では、違う価値観を持つ人々とチームを組み、目標を達成する力が非常に重要です。
これは、学校の成績や個人の能力以上に重視されることも多いスキルです。
協働力は、家庭内でも育むことが可能です。
兄弟や友達と一緒に遊ぶ中での「ルール作り」や「問題解決」を通じて、自然とチームワークの大切さを学びます。
さらに、近年注目されているプロジェクト型学習や、地域のボランティア活動に親子で参加するのも効果的です。
複数の視点を持ち、多様なメンバーと協力する経験は、将来の国際舞台での協働の基礎となります。
学校やスクールを選ぶ際は、「どんな成績が取れるか」よりも、協働や探究の機会があるかを基準にすると、グローバル人材育成に適した環境を選べます。
最近では、英語を使ってプロジェクト学習を行うスクールや、多様なバックグラウンドの子どもたちが集まるインターナショナルスクールも増えています。
このように、親御さんが意識的に関わることで、グローバル人材に必要な力は確実に家庭でも伸ばせます。
しかし、「すべて完璧にやらなければ」と気負う必要はありません。
無理をせず、親子で成長することが何より大切

グローバル人材育成に「正解」はありません。
情報が溢れる時代だからこそ、親御さん自身も迷うことがあって当然です。
大切なのは、子どもと一緒に学び、試行錯誤しながら成長していくこと。
異文化理解、自分の意見を持つ力、そして協働力。
これらを少しずつ、無理のない範囲で日常生活に取り入れていきましょう。
時には教育機関のサポートを受けるのも良い選択です。
最近では、英語環境や探究型学習を重視したスクールが選択肢として広がっています。
すべてを家庭で抱え込むのではなく、親子で「学びのパートナー」として歩む姿勢が、何よりの教育になるはずです。