「うちの子、国語と算数はコツコツやってきたけど、英語も受験科目ってどうすればいいの…?」
そんなふうに戸惑う声が、この数年でぐっと増えています。
実際、私立中学の中には、入試に英語を取り入れる学校が年々増加中。
でも一方で、「英語入試って、結局何を見ているの?」「帰国子女向けなのでは?」と疑問を感じる方も多いでしょう。
この記事では、なぜ英語が導入されるのか、どんな力が求められているのか、家庭でできる準備方法
にふれながら、“英語受験のある学校”の本質に迫っていきます。
私立中に英語入試が増えている理由とは

近年、大学入試改革で「英語4技能(読む・聞く・話す・書く)」が重視されるようになった流れは、中学受験にも影響しています。
2020年前後から、広尾学園、三田国際、かえつ有明などの“先進的な教育”に取り組む私立中学が、英語入試を本格導入。
その後、開智、栄東などの進学校でも導入が進み、2025年現在では“英語がある受験”は特別なものではなくなりつつあります。
背景にあるのは、グローバル教育や探究学習を柱としたカリキュラムの広がりです。
英語は「教科の1つ」ではなく、「これからの学びに欠かせない“道具”」として捉えられてきています。
また、帰国子女枠だけでなく、国内生でも「英語に積極的に取り組みたい」という家庭ニーズが高まっていることも、導入の後押しになっています。
英語入試を導入している学校の特徴とは
英語を入試科目にしている学校には、明確な教育的ビジョンがあります。
単なる語学教育ではなく、「英語を使って何を学ぶか」「どう考えるか」を重視するスタイルが共通点です。
代表的な学校とその特徴は以下の通りです。
広尾学園
- 英語で探究学習を行う「グローバルリーダーズコース」
- プレゼン・ディスカッション重視の授業スタイル
三田国際学園
- 英語・ICT・探究の融合型教育
- ネイティブ教員による思考型授業が中心
かえつ有明中
- 「思考力入試」の一環で英語入試を実施
- 英語で“探究プロジェクト”に取り組む中高一貫型カリキュラム
いずれも共通するのは、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」への移行を目指している点。
つまり、英語を“手段”としてとらえ、自分の考えを他者に伝える力を伸ばしていこうという教育です。
英語がある中学が“本当に”求めている力とは
英語入試と聞くと、「英検◯級が必要なの?」「スピーキングが得意じゃないとダメ?」と心配されることも多いですが、
実際のところ、求められているのは“言語運用能力”というより“思考と言語のリンク”です。
たとえば、出題形式には以下のような特徴があります。
- 英文の内容を要約する
- 自分の考えを英語で表現する
- 英語での図表読み取り/意見述べ
つまり、単語や文法の知識量よりも、「読んで、理解して、考える力」が試される構成です。
これは、まさに国語の読解力や作文力と地続きの力でもあります。
英語力=英会話力ではありません。
受験英語において大切なのは、“ことばを使って何を考え、どう伝えるか”という点です。
どんな準備が必要?家庭でできる英語学習の工夫

「じゃあ、どうやってその“考える力”を育てればいいの?」という声もあるでしょう。
ここでは、家庭でできる具体的なアプローチを紹介します。
英語絵本で“考える素材”を増やす
読んだ内容を、日本語でも英語でも「どういう話だった?」と話し合う習慣をつけると、
英語でも“文脈でとらえる力”が身につきます。
短くても大丈夫です。大切なのは、「ことばを使って意味をつかもうとする姿勢」です。
意見をもつ→表現する練習を日常に
日記や作文を通して、「自分はどう思ったのか」「なぜそう思ったのか」を日本語で書く習慣は、
そのまま英語でのエッセイやスピーチの下地になります。
慣れてきたら、簡単な英語でも言い換えてみることに挑戦してみましょう。
(例:I think 〜 because 〜)
親子の会話でも「なぜ?」を大切に
「なんでそれ好きなの?」「どうしてそう思った?」といった日常の対話が、考える力のベースになります。
日本語・英語を問わず、“自分の視点をもつ”という姿勢が、中学英語入試でも求められているのです。
英語受験校はどんな子を求めているのか

入試で英語を課している中学が、単に「英語ができる子」を求めているわけではありません。
むしろ、英語を通じて“自分らしく学び続けられる子”を探しているともいえるでしょう。
こうした学校が大切にしている力には、次のようなものがあります。
- 自分の考えをもつ力
- 他人の意見を聞き、理解する姿勢
- ことばを使って深めていく力(探究的姿勢)
そしてその先には、英語でディスカッションやプロジェクトを進める中高の学びが待っています。
入試は、あくまでその入口にすぎません。
学校は「どんな力を持った子に、どんな教育を提供したいか」を見ているのです。
「英語がある学校=難しそう」「うちの子にはまだ早いかも」
そんなふうに構えてしまう気持ちもわかります。
でも、英語受験を導入している中学校が本当に見ているのは、
“今どれだけ話せるか”ではなく、“これからどんな力を育てていきたいか”です。
英語で学ぶ授業、英語での発表、グローバルな視野
そのすべての出発点にあるのは、「ことばを使って考える姿勢」。
無理に英語漬けにする必要はありません。
けれど、そういった力を自然に育てられる環境やカリキュラムを持つ学校を、選択肢のひとつとして知っておくことは、きっと親子の進路選びの幅を広げてくれるはずです。