幼児期は「英語習得のゴールデンタイム」といわれます。子どもの脳は小さいうちに言語をどんどん吸収し、発音やリスニングの力も育ちやすいからです。
では実際、英語教育は何歳から始めるのがよいのでしょうか?英語教育をこれから考え始める初心者のパパ・ママに向けて、年齢別の特徴と効果的な学習法をわかりやすく紹介します。
英語教育は何歳から始めるのがいい?

英語を始めるタイミングは早ければ早いほど良いとも言われます。ただし年齢ごとに子どもの発達や適した学習方法があります。ここでは幼児期の前半(0〜3歳), 幼児期の後半(4〜6歳), 小学生以降(7歳〜)に分けて、それぞれの特徴と学び方を見てみましょう。
幼児期(0〜3歳)
0〜3歳は驚くほど言語の吸収力が高い時期です。赤ちゃんや幼児は耳がとても敏感で、聞こえた音をそのまま真似する能力に優れています。
そのため、この時期に英語を聞かせてあげると、ネイティブの発音も遊びの中で自然に身につけやすいです。実際、幼児期から英語を始めれば、英語に対する抵抗感がまったくなく、言われたとおりの発音をできる可能性も高まります。
しかし、この年齢の子どもはまだ自分で勉強することはできません。親のサポートと英語環境の工夫が不可欠です。例えば、赤ちゃんに英語の歌を聞かせたり、簡単な英語で話しかけたりすることで日常的に英語の音に触れさせることができます。親御さん自身が英語を話せなくても、絵本の読み聞かせや英語の童謡を一緒に歌うだけでも十分です。ポイントは無理に「お勉強」させようとせず、遊びやスキンシップの延長で楽しく英語に触れることです。また、日本語の発達も大事な時期なので、母語でのコミュニケーションもしっかり取りつつバランスよく進めましょう。
幼児期(4〜6歳)
4〜6歳になると、子どもは「日本語」と「英語」という別の言葉があることを理解し始めます。少しお兄さん・お姉さんになる分、「英語を習っている」という意識も芽生えてきます。ただしまだまだ遊びが中心の年齢ですので、楽しく学ぶことが何より大切です。
この時期の理想的な学習法は、遊びの中に英語を取り入れることです。例えば、英語の歌やゲーム、カード遊びなどを通じて単語や表現を覚えるといった方法があります。英語教室やプリスクール(英語で行う幼稚園・保育園)に通うのも効果的でしょう。レッスンでは体を動かしたり、歌ったり、工作したりしながら英語に親しめるため、子どもも「勉強している」という感じがせず楽しめます。
家庭でも、たとえば色や数字を英語で言ってみる、簡単な挨拶や名前を英語でマネしてみるなど、ゲーム感覚で取り組めます。4〜6歳は好奇心が旺盛で新しい言葉にも興味を示しやすいので、「できたね!」「すごいね!」とたくさん褒めてあげると英語が大好きになります。このように遊び中心で進めれば、子どもは英語をポジティブに受け入れてくれるでしょう。
小学生以降(7歳〜)
小学生くらいの年齢になると、だんだんと論理的に物事を考えられるようになり、机に向かう学習もできるようになります。英語についても、アルファベットの読み書きや簡単な単語のスペル、基礎的な文法を学び始めることができます。学校でも高学年になれば英語の授業が本格化しますので、この時期から始める場合は読み書きや文法の学習も少しずつ取り入れると良いでしょう。
一方で、小学生以降に初めて英語を始める場合、幼児期に比べて発音習得のハードルは上がります。7〜8歳を過ぎると幼児ほど柔軟に音を吸収できなくなるため、ネイティブの発音を身につけるにはより意識的な練習が必要です。ただし、小学生になれば集中力や理解力も発達しているので、発音もルールを教えたり聞き分け練習をしたりすることで十分改善できます。「この音はこう口を動かすんだよ」といったコツを教えてあげると、大人より早く吸収する子も多いです。
また、この年代は意欲が大切です。自分の興味のあることと英語を結び付けると効果的でしょう。例えば、ゲームやアニメが好きなら英語版に触れてみる、本や図鑑が好きなら簡単な英語のものを読んでみるなど、好きな分野で英語を使ってみると学習がぐっと面白くなります。幼児期のようにただ遊ぶだけでは物足りなくなってくるので、目標を作ったり、できたことを記録したりして達成感を味わわせてあげるのも良い方法です。「小学生から始めたから遅い」ということは全くありません。その年齢なりの学び方で、英語の世界を広げていきましょう。
幼児期の英語教育に適したスクール

英語を習得するには家庭での働きかけに加えて、専門のスクールを活用するのも効果的です。ここでは幼児期の子どもに向いた代表的な英語学習の場を3つ紹介します。それぞれ特色が異なるので、家庭の状況やお子さんの性格に合わせて選んでみてください。
- バイリンガル幼稚園・インターナショナルスクール
- 英会話教室・オンライン英会話
- 家庭でできるおうち英語
それぞれ解説します。
バイリンガル幼稚園・インターナショナルスクール
バイリンガル幼稚園やインターナショナルスクールは、生活の中で英語を使いながら学べる環境です。園や学校での会話や遊び、指導が基本的に英語で行われるため、子どもは日常生活の中で自然に英語を身につけていきます。まさに英語にどっぷり浸かることができるので、言語習得には理想的な環境と言えるでしょう。幼児期から日常的に英語が飛び交う環境にいれば、英語も日本語と同じように当たり前の言葉として吸収できます。
こうした環境で育った子どもは、小学生になる頃にはかなり英語を聞き取ったり話したりできるようになるケースもあります。ただし、インターナショナルスクールなどは学費が高額になりやすく、誰でも気軽に通わせられるものではありません。また、家庭での会話が日本語中心だと、せっかく身につけた英語も家では使わず忘れてしまう可能性があります。そのため、家庭内でもなるべく英語で話しかける、一緒に英語の映画を観るなど、フォローが必要です。
さらに、日本の一般的な幼稚園・保育園とは教育方針や文化が異なる場合もあります。カリキュラムが国際的だったり、行事も外国の文化に合わせたりすることも多いです。そうした違いをポジティブに捉えられるご家庭には向いていますが、「やっぱり日本の幼児教育も大事にしたい」という場合はバイリンガル幼稚園ではなく通常の幼稚園+課外の英語教室という選択肢もあります。いずれにせよ、費用面・送迎面など現実的な条件と、お子さんの適性を踏まえて検討すると良いでしょう。
英会話教室・オンライン英会話
週1回から気軽に始められる方法として、子ども向け英会話教室やオンライン英会話があります。地域の英会話スクールでは、歌やゲームを交えたグループレッスンで楽しく英語に親しめます。オンライン英会話なら、自宅にいながらネイティブ講師やバイリンガル講師とマンツーマンで話せるので、忙しい家庭でも取り入れやすいですね。
英会話教室のメリットは、プロの先生から直接英語を学べることです。発音指導や、同年代の子ども同士で英語でやりとりする体験は貴重です。一方で、週に1回数十分程度レッスンを受けるだけでは、どうしても英語に触れる時間が限られます。「スクールに通わせているから安心」ではなく、家庭でのサポートが重要です。実際、専門家の指摘では「英会話スクールだけでは効果が薄いため、バイリンガルを目指すなら家庭でも日常的に英語環境を用意する必要がある」とされています。
レッスンで習った歌をおうちでも一緒に歌う、先生に習ったフレーズを家でも使ってみる、といったフォローでレッスン効果がぐっと高まります。
オンライン英会話は低価格で毎日レッスンできるサービスもあり、活用すれば英語に触れる頻度を増やせます。画面越しとはいえ、外国人の先生と直接話す経験は子どもの度胸も育ててくれるでしょう。小さい頃からオンラインに慣れておけば、将来オンライン授業や国際交流にも抵抗がなくなる副次的なメリットもあります。ただ、幼児がオンライン英会話を行う場合は親の付き添いがほぼ必須です。レッスン中に子どもが集中できるようサポートしたり、トラブルに対処したりするためです。親子で二人三脚で続けるくらいの気持ちで取り組むと良いでしょう。
家庭でできるおうち英語

英語教室に通わなくても、家庭内の工夫で幼児に英語を触れさせる方法はたくさんあります。いわゆる「おうち英語」と呼ばれる取り組みで、費用をかけず親子で楽しくできるのが魅力です。例えば、英語の絵本を読み聞かせるのは定番です。絵を見せながら簡単な英単語やフレーズを聞かせることで、子どもは物語を楽しみつつ英語の音に慣れていきます。親の発音が完璧でなくても問題ありません。大事なのは、英語の本を読む時間を親子で楽しむことです。
また、英語の歌や動画を積極的に活用しましょう。子ども向けの英語の童謡(Nursery Rhyme)やアニメはインターネットで簡単に見つかります。アルファベットの歌や色・数字をテーマにした動画など、ゲーム感覚で学べるコンテンツも豊富です。子どもは繰り返し同じ動画を見るのが大好きなので、お気に入りを見つけてあげると効果抜群です。歌に合わせて一緒に歌ったり踊ったりすれば、自然と簡単な単語を口ずさむようになるでしょう。
日常生活の中でも、ちょっとした声がけを英語に置き換えてみることができます。例えば、散歩中に「あれは車だね」と言う代わりに「Look, a car!」と言ってみる、おやつの時間に「Here you are. Thank you!」とやり取りしてみるなど、遊び半分で構いません。子どもはゲームのように楽しんでくれるでしょう。
おうち英語の良いところは、親が一緒に成長できることです。英語が苦手な親御さんでも、子どもと一緒に英単語を覚えたり発音練習したりするうちに、自分自身も英語に詳しくなっていきます。その姿を見せること自体が、子どもにとって「パパやママも頑張ってるんだ」と良い刺激になります。また、おうち英語なら子どものペースに合わせて柔軟に進められるので、嫌がるときは無理せず、興味を示したときにたっぷりやる、といった調整ができます。費用もほとんどかからないため、家計にやさしく気長に続けられるのもメリットですね。