「都市派か大自然派かで選ぶ、って言うけどもっと具体的な判断基準を知りたい」 「2025年に出た初のAレベル実績とか、最新情報込みで比較してほしい」
こういった疑問を持って調べているあなたへ。この記事では、日本国内に2022年・2023年に相次いで開校した英国系全寮制ボーディングスクールの2校──ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(ハロウ安比)とRugby School Japan(RSJ・ラグビースクールジャパン)──を、6つの視点で徹底比較します。
2校ともに「英国ザ・ナインの名門校の日本校」「英国式IGCSE→Aレベルカリキュラム」「中高一貫の全寮制」という共通点を持ちながら、立地・寮制度・学費・課外活動・最新実績で明確な差があります。「どちらが優れているか」ではなく「どちらがあなたの家庭に合っているか」を見つけるために、以下の情報をまとめました。
2校の基本プロフィールをまず確認する
比較を始める前に、2校の基本的なプロフィールを押さえておきましょう。どちらも英国「ザ・ナイン(The Nine)」に名を連ねる歴史的な名門校の日本校として開校した点では共通していますが、運営の仕組みや在学できる年数、最大収容人数に違いがあります。
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(ハロウ安比)
ハロウ安比は1572年創立・450年の歴史を持つ英国ハロウスクールのブランドを冠し、AISL(Asia International School Limited)が運営する学校です。岩手県八幡平市の安比高原スキーリゾートに隣接した約9万平米の敷地に2022年8月29日開校。Year 7〜13(11〜18歳)対象で最大920名収容、100%全寮制という設計です。日本人生徒の割合は約45%で、27カ国以上から生徒が集まっています。
Rugby School Japan(RSJ・ラグビースクールジャパン)
RSJは1567年創立・456年の歴史を持つ英国ラグビー校の姉妹校として、2023年9月に千葉県柏市の「柏の葉キャンパス」エリアに開校しました。Year 7〜13(11〜18歳)対象、15カ国以上から生徒が集まり、約40名の英国出身教師が在籍。ハロウ安比と異なり、デイ(通学)・ウィークリーボーダー・フルボーダーの3種類の在籍形態から選択できます。2025年9月に寮棟を2棟増設し6棟体制になりました。
2校の共通点と異なる出発点
| 項目 | ハロウ安比 | Rugby School Japan |
|---|---|---|
| 英国本校 | ハロウスクール(1572年) | ラグビー校(1567年) |
| 日本開校 | 2022年8月 | 2023年9月 |
| 所在地 | 岩手県八幡平市(安比高原) | 千葉県柏市(柏の葉) |
| 寮制度 | 100%全寮制のみ | デイ・週5寮・全寮から選択 |
| 収容定員 | 最大920名 | 拡張中(現在6棟体制) |
| 在籍国籍 | 27カ国以上 | 15カ国以上 |
| 教育哲学 | 「全人教育」寮文化が核 | 「Whole Person Whole Point」 |
視点①:立地と環境──「大自然没入型」vs「都市型アクセス」
2校を分ける最も直感的な差が「立地」です。これは単なる住所の話ではなく、子どもが過ごす7年間の日常環境そのものの違いです。
ハロウ安比:日本最大級スキーリゾートの中の「隔絶された学び場」
ハロウ安比は岩手県安比高原という「東北の山の中のリゾート地」に位置します。安比高原は国内最大級のスキーリゾートとして知られ、学校の敷地に隣接して36ホールのゴルフ場・18面のテニスコートが広がっています。「学校の外に出ると別の世界がある」のではなく、「学校の中にスキーリゾートがある」という感覚です。
天文学の授業で満天の星空を観察し、生物の授業で夜の川辺でホタルを見る、冬は毎日のようにゲレンデで滑る。こうした体験が「正規カリキュラムの一部」として機能するのは、安比高原という環境なしには成立しない教育です。
また、ハロウ安比は最寄りの鉄道駅から距離があるため、家族の面会には東北新幹線からのアクセスが必要になります。「週末に都内から会いに行ける」という距離感ではなく、「せっかく来るならスキーやゴルフも楽しんでいく」という保護者の週末利用が自然と生まれています。
RSJ:東京から30分・柏の葉スマートシティというイノベーションの街
RSJは千葉県柏市の「柏の葉国際キャンパスタウン」エリアにあります。つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅から徒歩圏で、東京(秋葉原)から直通約30分という首都圏の利便性を持つ立地です。
さらに柏の葉エリアには千葉大学と東京大学のサテライトキャンパスが存在し、「イノベーションに取り組む街」というコンセプトで開発が進んでいる特殊な地域です。「英国式の全寮制教育を受けながら、周辺には最先端の研究機関が隣接している」という環境は、知的刺激という観点でも評価できます。
通学(デイ)が選択できるため、柏の葉周辺在住の家庭は自宅から通わせることも可能。全寮制が絶対ではなく、段階的に寮生活に移行するという選択もできます。面会・緊急時の対応のしやすさは、RSJが圧倒的に有利です。
視点②:寮生活の設計──「全員が同じ文化」vs「選べる柔軟性」
寮制度の設計は2校で根本的に異なります。この違いを理解することが、どちらを選ぶかの核心に近づきます。
ハロウ安比:全12校のハロウ系列校で唯一の「完全全寮制」
世界に12校あるハロウインターナショナルスクールの中で、100%全寮制を採用しているのはロンドンの本校と安比校だけです。これが意味するのは「ハウスシステム(縦割りの生活共同体制度)が全校生徒に適用されている」という点です。
ハロウの「ハウス」とは、学年を超えて生徒が共に生活する小さなコミュニティです。ハウスマスター・ハウスミストレス・ハウスペアレンツが24時間体制で常駐し、学業・課外活動・メンタルヘルスまでサポートします。「学校全体が一つの寮文化で成り立っている」という状態は、週5日通学でも週末だけ帰宅でもない、「7年間を一つの家族コミュニティで育つ」という体験を作ります。
RSJ:「デイ・ウィークリー・フルボーダー」から選べる入学ハードルの低さ
RSJはフルボーダー(全寮)・ウィークリーボーダー(週5日寮)・デイ(通学)の3種類から選択できます。「全寮制への踏み込みに迷っている」「まず通学で様子を見たい」という家庭にとって、このオプションの存在は心理的なハードルを大きく下げます。
RSJのハウスは1棟60名で6棟(2025年9月より増設)、ハウスマスター3名+ハウスアシスタント+毎日来訪するチューターという体制です。ダイニングでの食事は「ハリー・ポッターさながら」と評されるスタイルで、学年・国籍を超えた交流が自然と生まれる設計になっています。
視点③:学費の実態──「全込み1000万円/年」vs「通学制で抑えられる可能性」
どちらも高額ですが、費用の構造は大きく異なります。
ハロウ安比の学費構造
ハロウ安比の年間授業料は学年によってYear 7〜8が849万円、Year 9〜11が882万円、Year 12〜13が927万円(2022/23年度)。この授業料には寮費・課外活動費・遠足・交通費などが含まれています。つまり「授業料=ほぼ全込み」という設計で、追加でかかる費用は制服・個人レッスン・遠征費・サマースクール(別途100万円程度)などです。
7年間(Year 7〜13)通うと総額で約7,000万円という試算が一般的に語られています。入学金77万2,000円・入学保証金42万5,000円(卒業時返金)が入学時に必要です。
奨学金は強力で、シックス・フォーム(Year 12〜13)の全額奨学金(学費・寮費・受験料2年分、総額約2,000万円相当)を毎年9名に提供しています。
RSJの学費構造
RSJの年間授業料は学年・プログラムによって500〜820万円(2025年時点の情報)。ここに全寮制を選ぶ場合は寮費200〜260万円が別途かかります。通学(デイ)を選べばこの寮費部分がなくなるため、年間500〜820万円の授業料のみで済む可能性があります。
年間費用の概算:フルボーダーで700〜1,080万円台、デイ(通学)で500〜820万円台という幅があります。早期一括払いで5%割引、2〜4人の兄弟割引(5〜30%の段階的割引)も設けられています。
視点④:カリキュラムと最新実績──「IGCSE→Aレベルの共通構造」内の差
どちらも英国式の同じ資格(IGCSE・Aレベル)を目指す構造ですが、最新の実績には差が出始めています。
2025年:RSJの初Aレベル結果が出た
2023年9月開校のRSJは、2025年8月に初のAレベル試験結果を公表しました。55%の成績がA*/A(83%がA*-B)という水準で、1名がオックスフォードAQAの「Aレベル化学 日本最高得点賞」を受賞しています。初の卒業生はUCL・ヨーク大学・グラスゴー大学・早稲田大学などへ進学しており、「開校2年での成果」として評価できます。
ハロウ安比:2024年シックス・フォーム開始、2025年以降が最初の卒業実績
ハロウ安比は2022年8月開校で、2024年秋にシックス・フォーム(Year 12〜13・Aレベルコース)が新たに始まりました。そのためAレベルでの初の卒業生が出るのは2026年以降の見込みです。つまり現時点では「IGCSEまでの実績しかない」という状態で、Aレベルの進学実績の比較はRSJに一歩先を越された形です。
課外活動の違い
ハロウ安比の課外活動は自然環境を活かした内容が中心。毎学期70以上のプログラムの中にスキー・スノーボード・ゴルフ・テニス・マウンテンバイク・ラグビーが含まれ、スキーは「正規カリキュラム」として機能します。天文学授業での星空観察・ホタル観察も他には代替できない体験です。
RSJの課外活動は、国際規格のラグビー場「Webb Ellis」・25m×6レーン室内温水プール・レコーディングスタジオ・演劇室という都市型の充実した施設を中心に展開。音楽カリキュラムでは毎週大勢の前で発表する機会が設けられ、演劇も正規カリキュラムの一部になっています。
視点⑤:保護者・専門家の評価──それぞれへの声
2校に対する外部評価と保護者コミュニティからの声を整理します。
ハロウ安比への評価
「環境が文字通り別格」という声が最も多く出てきます。自然没入型の全寮制という体験は他のどのインターにも代替できないという点で、「唯一性の満足度」が高い学校です。開校3年で27カ国以上に国際化が進んでいることも、「当初は中国系が多い」と言われていた初期の懸念を上回る評価につながっています。
一方、「岩手の山中に子どもを預けることへの不安」という声もあります。面会に東北新幹線が必要な距離感や、「緊急時にすぐ駆けつけられない」という心理的なハードルを感じる保護者は一定数います。
RSJへの評価
「パストラルケア(生徒の精神的・生活的サポート)が突出している」という評価が特に高く、Good Schools Guide(英国の教育評価機関)のレポートでも「英国の独立校に慣れた保護者でも、ここでは生徒が多大な注目を受けていると感じている」と記されています。RSJは公式に「Beacon Status(模範的なパストラルケア学校)」として認定を受けています。
「2024年1月にCarfax Educationによる世界私立校トップ25に日本初選出」という実績も、開校間もない学校としての信頼性を高めています。「国籍の多様性が期待より少ない」という声は一部にありますが、これはハロウ安比も同様の課題を持っており、立地と学費から避けられない面があります。
視点⑥:こんな家庭にはどちらが向いている?
ここまでの比較を踏まえて、「どちらを選ぶべきか」の判断基準を整理します。
ハロウ安比が向いている家庭
まず「全員が同じ文化の中で育つ『完全全寮制』の体験に価値を見出している」家庭。ハウスシステムが全校生徒に適用され、学校全体が一つの寮文化で成り立つという体験はロンドン本校と安比校だけが提供できます。次に「大自然の中での人格形成を優先したい」家庭。スキー・星空・ホタルという安比高原固有の体験は、都市型インターには不可能なものです。また「英国・欧州の大学進学を最終目標に置いており、2026年以降のAレベル実績の蓄積を待てる」家庭にとっても、安比の豊かな環境は選択に値します。
RSJが向いている家庭
まず「全寮制の体験に踏み込む前に、まずデイ(通学)か週5日寮を試したい」という段階的なアプローチを取りたい家庭。次に「東京から30分のアクセスで、緊急時の対応や定期的な面会がしやすい環境を重視したい」家庭。「2025年の初Aレベル実績がすでに出ており、UCL・グラスゴー大への進学実績を確認してから入学を決めたい」という実績重視の家庭にも向いています。RSJの周辺に千葉大・東大のサテライトがある「イノベーションの街・柏の葉」という環境に価値を見出す家庭とも相性が良いです。
編集部の一言:「どちらが優れているか」ではなく「どちらが合っているか」で選ぶ
ハロウ安比とRSJの比較をしてきて、編集部として言えることははっきりしています。この2校を「優劣」で比べるのは本質的に間違っていて、「家庭の教育観とライフスタイルへの適合度」で選ぶべきです。
「子どもを大自然の中に完全に没入させたい。距離は関係ない。世界12校のハロウ系列校で唯一の全寮制文化を体験させたい。」→ ハロウ安比一択です。
「英国式教育の質はどちらも信頼できる。首都圏からのアクセスを確保したい。全寮制への段階的な移行オプションが欲しい。2025年にすでに初の実績が出た学校を選びたい。」→ RSJが向いています。
学費で見ると、全寮制同士の比較ではハロウ安比が年間849〜927万円(ほぼ全込み)、RSJがフルボーダーで700〜1,080万円台。ただしRSJはデイ(通学)なら500〜820万円台に抑えられる点で柔軟性があります。
どちらに決めるにせよ、まずは両校のオープンデー・キャンパスツアーに参加し、子ども本人が「ここで7年間過ごしたい」と感じるかどうかを確認してください。学費・実績・ブランドの前に、子どもの直感が一番正直な判断基準です。
おわりに
今回はハロウ安比とRSJを、立地・寮制度・学費・カリキュラム実績・保護者評価・家庭別の適合性という6つの視点で徹底比較しました。
どちらも2022〜2023年に開校したばかりの新しい学校ですが、すでに「Aレベルの実績」「世界トップ25選出」「Beacon Status取得」という形で評価が積み上がってきています。日本国内で英国式の全寮制ボーディングスクールを選ぶという選択肢は、これからの5〜10年でさらに注目を集めるでしょう。
皆さんのスクール選びの参考になれば幸いです!

