「アメリカ系インターと迷ってるんだけど、どっちが子どもに向いてるのかな」「イギリス系のインターに通わせた後、日本の大学にも進めるの?」
イギリス系のインターナショナルスクールを調べ始めると、IGCSEだのAレベルだのKey Stageだのと、聞き慣れない言葉が次々出てきて混乱しますよね。
この記事では、ブリティッシュスクールとはどんな学校なのか、独自のカリキュラムの仕組みはどうなっているのか、アメリカ系インターとは何が違うのか、そして卒業後の進路はどうなるかまで、できるだけわかりやすく整理していきます。学校選びの判断材料として役立てていただければと思います。
ブリティッシュスクールってどんな学校?基本から整理しよう

ブリティッシュスクールとは、イギリスのナショナルカリキュラム(英国国定カリキュラム)に基づいて授業を行うインターナショナルスクールのことです。イギリス本国と同じ教育内容を海外でも提供することを目的として設立された学校が多く、日本を含む世界各地に存在しています。英国式カリキュラムは世界160か国以上、約1万校のインターナショナルスクールで採用されており、世界で英語で授業を行うインターナショナルスクールの45%が英国式カリキュラムを導入しているというデータもあります。これだけ広く普及しているカリキュラムなので、世界中どこに転校しても同じ仕組みで学習を続けられるという連続性の高さが、駐在員ファミリーに特に支持されている理由のひとつです。
日本にも英国式カリキュラムを提供するインターが存在しており、中でもブリティッシュ・スクール・イン・東京(BST)は1989年にサッチャー元英国首相の開校に関わった歴史ある学校として知られています。3歳から18歳まで一貫して英国ナショナルカリキュラムに基づいた授業を受けられ、60以上の国籍を持つ生徒が在籍しています。こうした学校を見ると、ブリティッシュスクールが特定のエリート向けというよりも、もともと国際的な家庭に向けて設計された実用的な選択肢であることがよくわかります。
アメリカ系インターとの一番の違いは何か
ブリティッシュスクールと並んでよく比較されるのが、アメリカ系インターナショナルスクールです。両者の最も大きな違いは、カリキュラムの体系と卒業時に取得できる資格です。アメリカ系インターではAP(アドバンスト・プレイスメント)という大学レベルの先取り科目と、SATやACTといった標準化テストを使ってアメリカの大学へ進学するルートが中心です。一方ブリティッシュスクールでは、後述するIGCSEとAレベルという2段階の国際資格取得を通じて、イギリスをはじめとする世界各国の大学への進学を目指す仕組みになっています。
学年の呼び方も異なります。アメリカ系ではGrade1からGrade12というK-12の体系が使われますが、イギリス系ではYear1からYear13という呼び方が一般的で、日本の学年とは1年のズレが生じます。また、アメリカ系は8月に新学年が始まるのに対し、イギリス系は9月スタートが基本です。どちらが優れているという話ではなく、将来の大学進学先をどの国に想定しているかによって、どちらが自分の家庭に合っているかが変わります。
カリキュラムの仕組み、Key StageからAレベルまでの流れ

イギリス系インターのカリキュラムを理解するうえで、まず全体の流れをつかんでおくことが大切です。イギリスのナショナルカリキュラムはKey Stageという段階に分かれており、子どもの年齢と学習内容がこのKey Stageの区分に従って進んでいきます。大まかな流れとしては、幼児期の基礎教育から始まり、14歳ごろからIGCSEと呼ばれる国際資格の準備に入り、16歳以降のシックスフォームという課程でAレベルを取得して大学進学へとつながる、という段階的な構成になっています。この流れ全体をあらかじめ把握しておくと、子どもが今どのフェーズにいて、次に何が必要なのかがわかりやすくなります。
具体的に見ていくと、Year1〜Year6(5歳〜11歳)がKey Stage1・2に相当する小学校段階で、国語・算数・理科・社会・芸術・体育・ICTなどを幅広く学びます。Year7〜Year9(11歳〜14歳)がKey Stage3で、中等教育の前半部分にあたります。この段階では13科目を学びながら、次のIGCSEに向けた基礎固めを行います。そしてYear10・Year11(14歳〜16歳)がIGCSEのカリキュラムを履修する2年間で、この期間の学習と最終試験の成績が、その後の大学進学への道を大きく左右します。
IGCSEとは、日本の中学卒業試験との違い
IGCSEはInternational General Certificate of Secondary Educationの略で、イギリスの義務教育修了資格をインターナショナルスクール向けに展開したものです。イギリス国内ではGCSEと呼ばれていますが、海外のインターナショナルスクールではIGCSEが使われています。現在130か国以上で教えられており、世界で最も普及している中等教育の国際資格のひとつといえます。
IGCSEのカリキュラムは30種類の言語を含む70以上の科目から構成されており、英語・数学・サイエンス(理科)が必修科目です。サイエンスについては物理・化学・生物の単独科目を選ぶほか、Combined ScienceやCo-ordinated Scienceといった複合科目を選ぶ方法もあります。必修以外に選択科目を加えて合計8〜11科目を2年間かけて学び、最終的に国際試験を受けて資格を取得します。成績はA*(最高)からGまでの段階で評価され、Aレベルや大学進学での選択肢に直接影響します。
日本の中学3年生にあたる年齢からIGCSEが始まることを考えると、日本の中学校の卒業試験より専門性が高く、科目の選択がその後の進路に大きく影響する点でよりシビアな制度といえます。ここで選んだ科目が後のAレベルでも継続する傾向が強いため、Year9(日本の中学2年相当)の段階で、子どもの将来の進路をある程度意識した科目選びをする必要があります。これはイギリス式教育の大きな特徴であり、日本の教育文化に慣れた保護者にとっては驚く部分のひとつです。
📋 イギリス系インターのカリキュラム、流れを整理するチェックリスト
- Year1〜Year6(5〜11歳):Key Stage1・2、小学校相当、幅広い教科を学ぶ
- Year7〜Year9(11〜14歳):Key Stage3、中学前半、13科目を学びIGCSEの準備
- Year10・Year11(14〜16歳):IGCSEの2年間、英語・数学・サイエンスが必修
- Year12・Year13(16〜18歳):シックスフォーム、Aレベルを3〜4科目に絞って専門的に学ぶ
- Aレベル取得で世界の大学へ出願可能(日本の大学入学資格としても認められる)
- IGCSEでの科目選択がAレベル・大学進学に影響するため、Year9から意識が必要
Aレベルとシックスフォーム、大学進学への直結ルート

IGCSEを修了した後に進むのが、シックスフォームと呼ばれるYear12・Year13の課程です。シックスフォームはイギリスの高等教育の最終2年間にあたり、この課程でAレベル(GCE Advanced Level)の学習と試験に臨みます。Aレベルは大学入学を直接目指すための資格であり、イギリスの大学進学においては最も標準的なルートです。試験の結果はA*・A・B・C・D・Eの6段階で評価され、難関大学への進学ではA*やAが複数科目で求められることが一般的です。
Aレベルの大きな特徴は、科目数を3〜4科目に絞って深く専門的に学ぶ点です。日本の大学受験のように広い範囲を浅く学ぶスタイルとは根本的に異なり、志望する大学の専攻に関係する科目を選んで集中的に学習します。この専門特化型の学習スタイルが、Aレベル取得者が世界の大学から高く評価される理由のひとつです。イギリス国内の大学はもちろん、Aレベルを認定している大学は世界約800校に及びます。アイビーリーグをはじめとするアメリカの難関大学でもAレベルの認知度は高く、Aレベルの成績を使って出願するルートが確立されています。
Aレベルと日本の大学進学の関係
Aレベルを取得した場合、日本の大学入学資格としても認められています。文部科学省の制度上、ASレベル(1年目のみの資格)は対象外ですが、AレベルはIBディプロマと同様に日本の大学への出願資格として有効です。早慶・ICU・上智などがIBに加えてAレベル保持者向けの入試枠を設けているケースもあるため、将来日本の大学も選択肢に入れておきたい家庭にとってもAレベルは有効なルートになります。ただしAレベルを取得していても、大学によっては日本語での小論文や面接が課されるため、シックスフォームに在籍しながら日本語力の維持も意識しておく必要があります。
また、AレベルとIBの違いについても押さえておきましょう。IBディプロマは6科目を必修とする広域型の資格で、課題論文や課外活動要件なども含まれた総合的なプログラムです。一方Aレベルは3〜4科目に絞った専門特化型で、特定の分野に強みを持つ生徒に向いています。どちらが有利かは志望する大学や専攻によって異なるため、シックスフォームに入る段階でIBとAレベルのどちらを選ぶかを慎重に検討する必要があります。イギリス系インターでもIBを提供している学校は多く、その場合はAレベルかIBかを選べる学校もあります。
アメリカ系との違いを踏まえた、イギリス系が向いている家庭とは

イギリス系インターとアメリカ系インターのどちらを選ぶかは、最終的に子どもをどこの大学に進学させたいかという視点で考えると整理しやすくなります。イギリスやオーストラリア、シンガポールなど英連邦諸国の大学を視野に入れているなら、Aレベルを軸にしたイギリス系インターが最もスムーズなルートです。世界を広く見渡した国際資格として使いたいならIBが汎用性が高いですが、イギリス系インターでもIBを提供している学校は多いため、英国式カリキュラムで基礎を積みながらシックスフォームでIBを選ぶという選択肢もあります。
一方でアメリカの大学を最優先に考えている場合は、SAT対策やAPコースが充実しているアメリカ系インターの方が受験環境として有利です。もっとも、Aレベルでもアメリカの名門大学への出願は十分に可能なため、アメリカ以外にも広く選択肢を持ちたいという家庭ならイギリス系でも問題ありません。転勤が多い駐在員家庭にとっては、英国式カリキュラムが世界1万校以上で採用されているという連続性の強さが、転校をしてもカリキュラムの継続ができるという実用的なメリットになります。
英国式カリキュラムが向いている子どもの特徴
カリキュラムの性質から見ると、英国式は特定の分野を深く掘り下げることを好む子ども、論述や批判的思考が得意な子どもに合いやすい傾向があります。アメリカ式が広い範囲を網羅的に学ぶスタイルなのに対し、英国式はAレベルの段階で3〜4科目に絞り込む専門特化型なので、やりたいことが比較的明確な子どもや、特定の科目に強みを持つ子どもにとっては力を伸ばしやすい環境です。また、年齢に応じた段階的な評価とKey Stage単位での体系的な学習設計は、子どもの学力が着実に積み上がる仕組みになっており、じっくり学ばせたいと考える保護者にも評価されています。
一方で、英国式カリキュラムはIGCSEの段階から科目選択が将来の進路に響いてくるため、子どもが中学2年生相当の年齢で将来の方向性を意識しはじめることが求められます。日本の教育では高校3年生になってから志望学部を考えるケースが多いのと比べると、かなり早い段階での意識が必要です。この点をプレッシャーと感じるか、早い段階から自分の道を考えるいい機会と捉えるかは家庭によって異なりますが、入学前にある程度把握しておくと子どもとの会話がしやすくなります。英語力については、Key Stage3以降の科目学習には一定の英語力が必要で、特に英語での論述や分析問題に対応するための読み書き力は早いうちから育てておくことが大切です。


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