英語の語順感覚はどう育つ?日本語との違い・子ども向けトレーニング法を徹底解説

基礎知識
こんな人向けの記事です
  • 子どもの英語、単語は覚えるのに文になると急にわからなくなる
  • 語順がバラバラで意味が伝わりにくい気がする

「私が教えようとしても、日本語との違いをうまく説明できない」「語順の感覚ってどうやって育つの?」
英語の学習を続けていると、親としてこんな戸惑いを抱く瞬間は少なくありません。特に小学生〜中学生くらいの時期は、単語が少しずつわかってきたのに文になると急に難しくなる壁にぶつかりやすいもの。実はその原因の多くが、英語と日本語の語順の違いにあります。

語順のつまずきが起きやすい理由を知り、子どもが自然に語順をつかめるようなトレーニングができれば、英語の読み書きだけでなく話す力まで一気に伸びていきます。ここからは、親が知っておくと子どもに無理なく寄り添える語順の核心を整理していきます。

英語の語順感覚が育たない理由をまず理解する

英語の語順がなかなか身につかないのは、子どもが努力していないからではありません。日本語とは文の組み立て方そのものが違うため、同じ頭の使い方では理解しにくい部分がどうしても出てくるんです。とくに小学生のうちは、耳で覚えた日本語の感覚が強く残っているので、英語の語順とぶつかりやすい時期でもあります。語順はセンスではなく、考え方の土台を知ればだれでも育てられるもの。ここでは、子どもがつまずきやすい背景をやわらかくほどいていきます。

英語が日本語より語順に依存する言語である理由

英語は語順によって意味がほぼ決まる言語です。
たとえば “I play soccer” と “Soccer plays I” は、単語は同じなのに意味はまったく通じません。英語は語順が崩れると伝わらなくなるため、文の並べ方がとても重要です。

日本語は「私が サッカーを する」のように助詞が意味を補ってくれますが、英語にはそのような“印”がほとんどありません。この違いが、子どもが英語の語順に戸惑う大きな理由です。

動詞が中心になる英語の考え方

もうひとつ大切なのは、英語では動詞が文の中心だということです。
動詞が決まらないと、主語・目的語・前置詞の形がすべて決まりません。

・play なら「何を」
・go なら「どこへ」
・want なら「何を欲しいのか」

こうした動詞のあとに広がる世界が英語ではとても大事で、動詞を起点に考える癖ができると語順はぐっと掴みやすくなります。

小学生は語順よりも単語を拾いながら文を理解しようとするため、動詞の重要性に気づきにくい傾向があります。これが文の形がなかなか安定しない原因のひとつです。

語順が崩れると意味が変わるしくみ

英語の語順は、誰が・何を・どうするが必ず順番で並びます。この並び方がずれると、意味が別のものに変わってしまいます。

たとえば、

・I like cats
・Cats like I (×)

違いは語順だけですが、後者は完全に意味不明です。
英語は「順番=文法」なので、順番が変わると文法そのものが崩れてしまいます。

こうした例を見てもわかるように、語順は暗記ではなくルールの理解が必要です。ですが子どもはルールよりもまず耳から入るため、音で覚えた語順とのギャップが生まれやすいのです。

日本語との違いを親が知ると、子どもの理解が早くなる

子どもが英語の語順につまずく背景には、日本語の語順の自由さがあります。普段、私たちは日本語を話すときに語順を意識していません。助詞の力で意味が決まるので、順番が多少前後しても相手に伝わります。

一方、英語は語順そのものがルール。この根本の違いを親が理解しているかどうかで、子どもへの説明のしやすさがぐっと変わります。「英語ってこういう仕組みなんだよ」と言葉にしてあげられるだけで、子どもは安心して英語に向き合えるようになります。

日本語は語順が自由でも意味が成り立つ

日本語は「助詞」が文の役割を示すため、語順が自由でも意味が変わりません。

・私は りんごを 食べる
・りんごを 私は 食べる
・食べる 私は りんごを

どれも意味は同じ。私たちは日常的に語順に意識を向けていないので、英語のように「順番が大事」という発想自体が馴染みません。

そのため、子どもは英語の文を作るとき、日本語の感覚で単語を並べ替えてしまうことがあります。それが語順の乱れにつながり、「合っているのかわからない」という不安を生むんです。

英語は「誰が・何を・どうする」が順番で決まる

英語は、語順が固定されています。

・誰が(主語)
・どうする(動詞)
・何を(目的語)

という並びが崩れると、意味が成立しません。
この順番は、英語の文を作るときの“骨組み”です。

例を出すと、

・I eat apples.
・Apples eat I.(意味が変わる)

この違いが、英語の語順が大切にされる理由。
日本語と違って助詞が意味を補ってくれないので、順番そのものが文法の役割を担っています。

子どもにとってはこのルールが新鮮でもあり、難点でもあります。
最初にここを理解すると、語順への抵抗が少しずつ薄れていきます。

子どもが混乱しやすいポイント

日本語と英語の違いがそのまま子どもがつまずく箇所になります。

よくあるのは:

・英語を日本語の語順で並べようとする
・動詞を後ろに置きたくなる(日本語の影響)
・主語を省きたくなる(日本語では自然)
・長い文になると語順の軸が消えてしまう

といった混乱です。

これは子どもが英語に向いていないのではなく、
日本語が得意だから起きているだけ。

日本語の感覚はむしろ誇っていい部分です。
その上で、英語は仕組みが違うと知るだけで、子どもは驚くほど理解しやすくなります。

語順で苦労している子ほど、親が少し仕組みを理解して声をかけてあげるだけで変化が出やすいところです。

語順感覚を育てる子ども向けトレーニング法

語順は「センス」ではなく、正しく触れる回数で育っていく感覚です。
大人が文法の知識から理解しようとするのに対して、子どもはまず音やリズムから語順を吸収します。ここを踏まえると、どんな練習が効果的なのか自然と見えてきます。大切なのは、難しいルールを押しつけることではなく、短い文の並び方や型を体に染み込ませること。そのための練習は、家でも負担なくできますし、むしろ楽しんで取り組めるものばかりです。

短い英文の型に触れる習慣

語順を身につけるために一番効果があるのは、短い英文のパターンに慣れること。
例えば、I like〜 や I want to〜 など、日常でよく使う型にたくさん触れておくと、文を作るときの“土台”が自然と安定してきます。

英語は「型」さえ分かれば応用がきく言語です。
たとえば I like cats. が言えれば、I like pizza. もすぐに言えるようになります。

子どもは細かい文法を覚えなくても、繰り返し触れる中で語順の流れをつかんでいきます。これは、スポーツでフォームを身につけるのと似ています。何度か繰り返すだけで、自然と口が動くようになっていきます。

カードを並べ替える語順アクティビティ

語順の定着に、とても効果的なのが語順カード。
主語・動詞・目的語のカードをバラバラにしておき、それを正しい順番に並べるだけのシンプルな活動です。

たとえば:

・I
・play
・soccer

この3枚を並べ替える練習だけでも、語順の理解は大きく進みます。
慣れてきたら形容詞や副詞などを追加すると、文の組み立てがさらに上手になります。

子どもはパズル感覚で取り組めるので、「勉強をしている」という負担が少なく、遊びの延長で英語の基礎が固まるのがこの方法の魅力です。

動詞中心の英文づくりゲーム

語順を理解するうえで動詞が中心という感覚は非常に大切です。
そこで役に立つのが、動詞を起点に文を作るゲームです。

・go
・eat
・play
・have

などの動詞カードを1枚引き、その動詞に合う主語や目的語を考えて文を作るというもの。
例えば、eat のカードを引いたら「I eat apples.」のように文を作るだけです。

この活動のいいところは、“文を作るときは動詞が先にある”という発想が自然と身につく点です。
語順の理解が弱い子ほど、動詞を後ろに置きたくなる傾向があるので、こうした動詞中心の練習はとても効果があります。

また、慣れてくると子ども自身が「もっと難しい文を作りたい」と言い始めることもあります。
自分で作りたい文が出てくると、語順は一気に定着していきます。

親が気になる英語語順の疑問

語順の話をしていると、親としてどうしても気になるポイントがいくつか出てきます。とくに「教え方が合っているのか心配」「文法を先に教えたほうがいいの?」といった迷いは、多くの家庭で同じように起きています。ここでは、そんなちょっと聞きにくい疑問に寄り添いながら、子どもに無理がない形で進められるヒントをまとめています。

文法より語順から教えたほうが良い?

結論としては、文法の前に語順を体で感じておくほうが失敗しにくいです。
理由は、文法の説明だけでは子どもが文を作れないため。文法は「理解」のための道具ですが、語順は「使う」ための骨組みです。

たとえば、三単現の説明をしても、語順が安定していない子にはピンときません。先に “I play”“You play”“He plays” のような語順の型に触れておくと、文法の説明が後からすっと馴染むようになります。

子どもにとっては、ルールよりも慣れのほうが入りやすい。だからこそ、語順のパターンを先に育てることが実はとても合理的です。

小学生から語順練習は早くない?

むしろ早いほうが負担が少ない取り組みです。
小学生は、語順を理屈ではなく“音の並び”として覚えられる時期。大人よりも素直に英語のリズムに入っていけるため、語順の定着が速いことが多いです。

また、英語に触れている時間が長くなるほど、日本語の語順のクセが強くなり、英語とのギャップが大きく感じられます。
だから「早すぎる」というより早いほうがラク。英語の語順を自然に吸収できる時期を活かしてあげるのは、とても効果的です。

もちろん、難しい文法を無理に押しこむ必要はありません。
音・リズム・短い文。この3つに触れていれば十分です。

語順が身につかない時の見直しポイント

語順に苦戦している子には、共通するパターンがあります。
それは、単語だけで理解しようとしていること。
単語→単語→単語…と意味を拾おうとすると、日本語と同じように考えてしまい、語順が安定しません。

そういう時は、次のような見直しが効果的です。

・文全体を“かたまり”で聞く
・動詞を先に見つけてから文を読む
・短い文に戻って型を確認する

とくに「動詞を探す」習慣はかなり効果が高く、中学生以降の英文読解でも役に立ちます。
語順に悩んでいる子は、文の中の動詞を理解できていないことがほとんど。
動詞が見えるようになると、語順の軸が一気に安定します。

語順感覚を育てるためのまとめ

英語の語順は、センスでも才能でもなく、正しい順番に触れた回数で育つ感覚です。
日本語は助詞が意味を作り、語順が自由。それに対して英語は語順そのものが意味を運びます。この違いを親が理解しているだけで、子どもへの声かけがずっと優しく、的確になります。

語順を育てるために特別な教材は必要ありません。
短い英文を繰り返し聞くこと。
カードを並べ替えて遊ぶこと。
動詞から文を作るゲームをすること。

こうした小さな積み重ねが、子どもの中で英語の順番の感覚を少しずつ育てていきます。

語順がわかるようになると、英語の読み・書き・話す力すべてが安定します。
そして何より英語が分かったという感覚が自信につながり、子どもが自然と英語に前向きになれます。

大切なのは、焦らず、比べず、少しずつ。
英語の語順は、親子でゆっくり積み上げていけるものです。
今日からでもできる小さな習慣が、未来の大きな伸びにつながっていきます。