「学校で課題が多いのに、さらに塾を追加したら子どもが疲れてしまわない?」「受験を考えると、やっぱり日本式の勉強に触れておくべき?」
インターナショナルスクールは世界基準の教育を受けられる一方、日本の教育制度とは異なる仕組みで成り立っています。そのため「塾を併用すべきかどうか」は多くの家庭が直面する悩みです。本記事では、インターナショナルスクールの教育内容と日本の学習スタイルの違いを踏まえながら、塾を取り入れるメリットとデメリット、必要なケース・不要なケース、家庭でできるサポートの工夫について具体的に解説していきます。読み終えたときには、ご家庭にとって最適な判断ができるよう視点が整理されるはずです。
インターナショナルスクールと日本の学習スタイルの違い

まずは「そもそも教育内容にどんな違いがあるのか」を理解することが大切です。ここを押さえておかないと、塾の必要性を判断する基準が曖昧になってしまいます。
インターナショナルスクールの学びの特徴
インターナショナルスクールでは、探究型の学習が中心です。子ども自身がテーマを設定し、調べ、発表するプロセスを大事にするスタイルで、ディスカッションやプレゼンテーションの機会が多く与えられます。評価も一度のテストではなく、日々の取り組みやプロジェクト成果が重視されます。
この環境では「主体性」「表現力」「国際的な視野」といった力が育ちます。一方で、漢字の書き取りや計算練習のような反復学習は手薄になりやすく、日本の受験を見据えると不安を感じる親御さんが少なくありません。
日本の学校教育の特徴
日本の教育は「基礎学力の徹底」が強みです。漢字の小テスト、九九や計算ドリル、定期試験といった形で、知識を定着させる仕組みが整っています。ただし自由度は低く、創造性や自己表現を伸ばす機会は限られがちです。
つまり、インターナショナルスクールと日本の学校は「得意とする部分」が大きく異なります。このギャップをどう埋めるかが、塾を検討する理由につながるのです。
塾を考える家庭が増えている背景

インターナショナルスクールに通う子どもの親が塾を考える理由は、単なる「勉強の補強」ではありません。教育制度や家庭の心理的な側面が複雑に絡んでいます。
日本の受験制度に備えるため
高校受験や大学受験を日本で考える場合、国語や数学などは避けて通れません。インターナショナルスクールのカリキュラムでは十分にカバーされない部分を塾で補う必要が出てきます。特に漢字や古文、計算問題といった基礎は早めに対応しておいたほうが安心です。
学習習慣を整えるため
自由度の高い環境にいる子どもは、自分から学習を進める力が弱い場合があります。塾は時間を区切り、定期的に課題を出すことで「机に向かう習慣」をつくりやすい場所です。親が勉強を促すより、第三者の指導が効果的に働くこともあります。
家庭の安心感として
「周りの子が通っていると聞くと心配になる」という気持ちは自然なことです。塾に通わせることで、親が安心し、子どもも「自分も受験準備ができている」という自信を持てる場合があります。
塾に通うメリットとデメリット

塾は万能ではありません。子どもの性格や家庭の状況によってメリットにもデメリットにもなり得ます。
メリット
- 日本の基礎学力をしっかり補える
- 模試や過去問で「試験慣れ」できる
- 学校外の友人関係から刺激を受けられる
- 家庭以外の学習リズムを持てる
デメリット
- 学校と塾の両立で負担が増える
- カリキュラムが重複して非効率になることがある
- 費用がかさみ、家庭の負担が大きくなる
- 子どもが学ぶ楽しさを感じにくくなる場合もある
メリットデメリットを踏まえて塾を併用するか考えましょう。
塾が必要なケース・不要なケース

全員に塾が必要なわけではありません。将来の進路や子どものタイプによって最適解は変わります。
塾が必要になるケース
- 日本の中学・高校・大学受験を予定している
- 基礎学力に不安がある
- 勉強習慣が家庭だけでは身につかない
塾が不要なケース
- 海外大学への進学を強く希望している
- 家庭教師や家庭学習で十分に補える
- 子どもが自主的に勉強を進められる
家庭でできるサポートと塾の役割のバランス

塾に行かせるかどうかを問わず、家庭の関わり方は重要です。むしろ「家庭での学び」があることで塾がより効果を発揮します。
家庭でできる工夫
- 毎日10分でも日本語の読書を一緒にする
- 計算ドリルや漢字練習を短時間で習慣化する
- 学校で学んだ内容を親子の会話で振り返る
塾は「補助輪」のような存在です。家庭と学校が基盤となり、そこに塾が加わることで子どもの学びがより安定します。
まとめ

インターナショナルスクールに通う子どもに塾が必要かどうかは、一律に答えられるものではありません。大切なのは「子どもの将来像」と「今の学習状況」を見つめながら判断することです。
塾に通わせることで安心できる家庭もあれば、家庭学習で十分にサポートできる家庭もあります。共通して大事なのは、子どもが無理なく成長できる学びの環境を整えること。塾はその一部にすぎません。親として焦る必要はなく、一歩ずつお子さんに合った学びの形を見つけていくことが、最も確かな道筋になります。