子どもが他人の気持ちを思いやれるようになってほしい。
そう願う親御さんは多いと思います。でも現実は、「うちの子、自分のことばっかり、」「お友達とケンカになることが多くて、、」と、ちょっと心配になる場面もありますよね。
実は、共感力は生まれつきの性格ではなく、環境の中で育てていける“非認知能力”の一つなんです。しかもその土台づくりは、幼少期〜小学生くらいまでがとても重要なんです。
とはいえ、「共感しなさい」と言葉で教えるのは難しいものです。実際に、日常生活や遊びの中で、どんな関わりをすればいいのでしょうか?
今回は、親子で自然に“共感力”を育てるヒントを探っていきます。
なぜ今“共感力”が求められているのか

これまでの学校教育では、「テストで点が取れる力」が重視されてきました。でも今、社会では“正解のない問いに向き合う力”や“人と協働する力”がますます重要になっています。
例えば、小学校の授業でも「みんなで話し合って答えを出す」場面が増えてきました。人の意見を聞く、気持ちを想像する、相手に配慮して伝えること。それが“共感力”の土台になります。
「非認知能力」とは、感情のコントロール、自己肯定感、粘り強さ、そして共感力など、数値で測れないスキルのことです。
特に幼児期〜小学校低学年は、非認知能力の“伸びしろ”が大きく、家庭の関わりが大きな影響を与えるタイミングです。
そしてスマホやSNSで他人の意見や価値観に日々触れる現代です。だからこそ、「相手と違ってもOK」「違いを理解しようとする力」が求められます。
共感力がある子どもは、自分の意見を持ちながらも他人とぶつからずに関係を築くことができます。
これは、ストレスや孤立から身を守ることにもつながっていくのです。
共感力を育てるために、家庭でできる大切なポイント3選

ここでは、共感力を育てるために、大切なポイント3選をご紹介します。
- まずは“親が共感する姿”を見せることから
- 失敗やケンカのあとが“共感”を学ぶチャンス
- “遊び”の中にこそ、共感の芽がある
それぞれ解説していきます。
まずは“親が共感する姿”を見せることから
「痛かったね」「それは嬉しいね」と子どもの感情に寄り添う言葉かけがとても大事になります。
実はこれこそが、共感力の“お手本”になるのです。
子どもは大人の反応を見て、「相手の気持ちに寄り添うとはどういうことか」を自然に学び取っています。
親が怒るよりも、感情に名前をつけてあげるような声かけの方が、子どもの感受性を伸ばしてくれます。
失敗やケンカのあとが“共感”を学ぶチャンス
「お友達に叩かれた」「貸したくなかったから怒った」。そんな出来事の後、「どうしてそうしたのか」「相手はどう感じたか」を一緒に振り返ることで、感情のキャッチボールが生まれます。
ただ「謝りなさい」と言うのではなく、少し立ち止まって対話することが大切です。
子どもにとっては、「自分の気持ちも大事にしながら、相手の気持ちも考える」練習になります。
“遊び”の中にこそ、共感の芽がある
ごっこ遊びやボードゲームは、ただの娯楽ではなく共感力を育むトレーニングの場です。
自分と違うキャラクターになってみたり、相手の気持ちを考えながら動いたりすることで、自然と「他者の視点」を体感できます。
遊び一つ一つも大切に共感力を養っていきましょう。
家庭と外部教育のバランスが大切

最近では、ディスカッションやプレゼンを重視する探究型カリキュラムを導入するスクールが増えています。こうした環境では、他人の意見を尊重する姿勢や「チームで動く力」が自然と身についていきます。
インターナショナルスクールでも、多様な価値観と日常的に触れ合うことで、共感や尊重のスキルが育まれるケースもあります。
共感力は、日常の関わりと社会的な体験の両方で育つものです。
だからこそ、外部の教育機関に任せきりにせず、家庭でも「今日の出来事、どう感じた?」と問いかける時間が重要です。
スクールで得た刺激を、家庭でふり返って“消化”させることで、より深く共感力が育っていきます。
子どもの共感力は、特別な教材や訓練で育つものではありません。
何気ない会話、遊び、振り返り。そういった日々の積み重ねが、他人の気持ちに気づける力を少しずつ育てていくのです。
「完璧な対応をしなきゃ」と気負わず、「今日はこんな気持ちになった?」と問いかけてみるだけでもOKです。
親御さんのやさしさやまなざしが、子どもの心の土台になります。