国際バカロレア認定のインターナショナルスクールをご存知でしょうか。近年では国際バカロレア認定インターナショナルスクールの開校が相次いでいます。そこで、今回は国際バカロレア認定をご紹介します。また、各プログラムの詳細と特徴についても徹底解説します。ぜひご覧ください。
はじめに
インターナショナルスクールを調べるときに必ず出てくる「国際バカロレア」という単語。国際バカロレアとは何なのでしょうか?
国際バカロレア認定スクールはどこが良い?
同じ国際バカロレアでも違いはあるの?
そんな方向けに今回は、国際バカロレア認定について徹底解説します。
前回、PYP(プライマリー イヤーズ プログラム)とMYP(ミドル イヤーズ プログラム)について解説しましたので、今回はCP(キャリア関連プログラム)、DP(ディプロマ プログラム)について解説します。
PYP(プライマリー イヤーズ プログラム)とMYP(ミドル イヤーズ プログラム)につきましては、以下の記事をご覧ください。
まずは各プログラムの特徴とカリキュラムを一覧にまとめてみました。
プログラム名 | 実施される言語 | 科目の数 | 対象年齢 |
---|---|---|---|
PYP (プライマリー イヤーズ プログラム) | 日本語も可 | 6科目(3~5歳児では毎年最低4科目) | 3歳~12歳 |
MYP (ミドル イヤーズ プログラム) | 日本語も可 | 8科目 | 11歳~16歳 |
CP (キャリア関連プログラム) | 一部の科目のみ英語、フランス語またはスペイン語 | 7科目 | 16歳~19歳 |
DP (ディプロマ プログラム) | 「日本語DP」の対象科目以外は、全て英語、フランス語またはスペイン語 | 9科目 | 16歳~19歳 |
IB教育とは
IBは、International Baccalaureate(国際バカロレア)の略称です。IBと略されることが多いです。
国際バカロレアは、1968年にスイスのジュネーブで設立された非営利団体です。教育プログラムや、大学入学資格試験も国際バカロレアと呼ばれます。当初は、様々な国の大学入試制度に対応し、1つの国の制度や内容に偏らない世界共通の大学入学資格および成績証明書を与えるプログラムとして開発されました。2023年1月現在では、世界159以上の国や地域で提供されています。
他の認定機関の詳細はこちらの記事をご覧ください。
IB教育のカリキュラム
国際バカロレアの特徴として、10個「理想の学習者像」が挙げられます。
- Inquirers(探究する者)
- Knowledgeable(知識のある者)
- Thinkers(考える者)
- Communicators(コミュニケーションができる者)
- Principled(信念をもつ者)
- Open-minded(心を開く者)
- Caring(思いやりのある者)
- Risk-takers(挑戦する者)
- Balanced(バランスのとれた者)
- Reflective(振り返りができる者)
これら10の項目に近づけるべく、カリキュラムが提供されます。文部科学省は、グローバル人材育成の観点から、国際バカロレア(IB)の普及・拡大を推進しています。平成30年度に文部科学省IB教育推進コンソーシアムが立ち上がりました。国際バカロレアのプログラムとして、PYP、MYP、DP、CPがあります。
CP(キャリア関連プログラム)
CPは、Career-related Programの略称です。16~19歳までを対象としたキャリア教育・職業教育に関連したプログラムであり、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を重視します(2012年新設)。一部の科目のみ英語、フランス語またはスペイン語で実施されます。
CPのプログラムでは、高校の教育に相当する内容を学ぶことができます。
ディプロマ・プログラム(DP)の一部科目 | CPでは、少なくともDPの科目(グループ1~グループ6)のうち、少なくとも2つ以上を履修(上級レベル、標準レベルの選択・組合せは自由)。日本語DP対象科目を選択することも可能 |
コア科目(4科目) | 学習の方法(Approaches to learning) 批判的・倫理的思考、異文化理解、コミュニケーション能力に焦点を当てた学習を90時間以上。 コミュニティと奉仕活動(Community and service) 教室外で、コミュニティにおける奉仕活動に取り組む。約50時間。 外国語学習(Language Development) 最低50時間以上の外国語学習。 振り返りのプロジェクト(The reflective project) キャリア教育に関連した特定の課題について、倫理的な観点から検討を加え、教室内外で約40時間の個人研究に取り組み、調査やコミュニケーションスキルを育成。 |
キャリア関連学習 | CPは、各学校が行うキャリア関連教育を支援・補完するために開発されたプログラムであり、キャリア教育・職業教育は、各学校がそれぞれ提供。 |
CPのプログラムは、ディプロマ プログラム(DP)の一部科目、コアの科目、キャリア関連学習の3つの枠組みから構成されます。最低7科目以上実施されます。
スクールがそれぞれ提供する職業教育・キャリア教育にできるよう、枠組み自体を提供します。
CPを実施しているスクール
実施しているスクール特集もございますので、以下の記事をご覧ください。
DP(ディプロマ プログラム)
DPは、Diploma Programme(ディプロマ プログラム)の略称です。16歳~19歳までを対象としており、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めた者が、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)を取得できます。
DPのプログラムでは、高校の教育に相当する内容を学ぶことができます。
「日本語DP」の対象科目以外は、全て英語、フランス語またはスペイン語で実施されます。
DPのカリキュラムは、以下の6つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。
グループ1 言語と文学(母国語) | 言語A:文学 言語A:言語と文学 言語A:文学と演劇(Standerd Levelのみ)(※) |
グループ2 言語習得(外国語) | 言語B 古典言語 初級言語(Standerd Levelのみ) |
グループ3 個人と社会 | 地理、歴史、経済、ビジネスと経営、情報テクノロジーとグローバル社会、哲学、デジタル社会、心理学、社会・文化人類学、グローバル政治、世界の宗教(Standerd Levelのみ)、環境システムと社会(※) |
グループ4 理科 | 生物、化学、物理、コンピュータ科学、デザインテクノロジー、スポーツ・エクササイズ・健康科学、環境システムと社会(※) |
グループ5 数学 | 数学:解析とアプローチ 数学:応用と解釈 |
グループ6 芸術 | 音楽、美術、ダンス、フィルム、演劇、 文学と演劇(Standerd Levelのみ)(※) |
(※)「文学と演劇」はグループ1と6の横断科目。「環境システムと社会」はグループ3と4の横断科目。
これらはどちらかのグループとして選択、登録でる科目です。また、グループ6の芸術は他のグループからの科目に代えることも可能となっています。
生徒は、6つのグループから各1教科ずつ選択し、6科目を2年間で学習します。
また、大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを、大学入学前の段階で準備しておく観点から、6科目のうち、3~4科目を上級レベル(Higher Level、各240時間)、その他を標準レベル(Standerd Level、各150時間)として学習します。
さらに、カリキュラムの中核となる核(コア)として、の3つのコア科目を並行して履修します。
課題論文 (Extended Essay) | 生徒が関心のある研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合8,000字)の論文にまとめる。 |
知の理論 (Theory of Knowledge) | 「知識」の本質とはなにかを学ぶ教科。IBが標榜する構成主義では「知識はいつも人が構成するものである」とする。先人はこの世界をどのような枠組みで理解してきたのか。二項対立に陥いらず実生活に役立ち、物事の本質に切り込む意義ある問いの立て方と、そうした問いにどのように取り組むか等について学ぶ。 |
創造性・活動・奉仕 (Creativity,Activity,Service) | 創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。 |
必修のコア科目として、Theory of Knowledge(TOK、知識の理論)、Extended Essay(EE、課題論文)、Creativity, Activity & Service(CAS、創造性・活動・奉仕)の3科目が配置されています。この3つのコア科目の存在は探求型学習と全人的教育を強調するIB教育の大きな特徴です。
国際バカロレア資格の取得には、DPカリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等)及び内部評価を通じて、45点満点中、原則として24点以上を取得する必要があります。
配点は、6科目につき各7点(計42点)。さらに、必修要件(コア)について、Theory of KnowledgeとExtended Essayの評価結果の組み合わせに応じて最大3点が与えられます(CASは評価対象外)。
国際バカロレア試験は、南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年2回、世界で一斉に実施されます。日本のいわゆる1条校の場合は、原則として3年次の11月に実施され、翌年の1月5日に最終スコアが通知されます。
DPを実施しているスクール
実施しているスクール特集もございますので、以下の記事をご覧ください。
日本語DP(日本語ディプロマ プログラム)
DP(ディプロマ プログラム)の授業・試験は、原則として、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要がありますが、現在、文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、DPの一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開発を進めています。
グループ1 言語と文学(母国語) | 言語A:文学 言語A:言語と文学 |
グループ2 言語習得(外国語) | 英語等で履修することが必要 |
グループ3 個人と社会 | 地理、歴史、経済 |
グループ4 理科 | 生物、化学、物理 |
グループ5 数学 | 数学:解析とアプローチ 数学:応用と解釈 |
グループ6 芸術 | 音楽、美術 |
日本語DPでも、6科目中2科目(通常、グループ2に加えてさらに1科目)は、英語等で履修することが必要です。加えて、コア科目全て(課題論文(Extended Essay)、知の理論(Theory of Knowledge)、創造性・活動・奉仕(Creativity,Activity,Service)も日本語で提供されます。
IB教育認定制度が優れている点
国際バカロレア教育はDPをはじめ、国際バカロレア資格を取得することができます。
国際バカロレア資格は40年以上、世界各国の多くの大学で正規の入学資格や受験資格として認められててきました。このため、海外の大学への進学を考えている方にとっては、いわゆる1条校に進学することで、日本の高校卒業資格と国際バカロレアの両方が取得でき、入学試験で有利でしょう。
スコアで基準を示すことで、欲しい学生を明確化するため活用されているのです。
国際バカロレアの教育を受けた学生のパフォーマンスの高さも評価されています。大学によっては入学後に、上級レベル(Higher Level)科目で一定の成績を収めた学生が、相当する一部科目として単位認定されるケースもあります。
また、国際バカロレア資格を有する者で18歳に達した者は、日本の大学への入学資格が認められています。入試概要は各大学により異なりますが、AO 入試や特別入試、帰国子女枠等の一環として、IB スコアが考慮される場合があります。IB資格の他に、面接や小論文を課される場合もあります。
認定校と認定候補校
国際バカロレアには、認定校と呼ばれるスクールに加えて、認定候補校が存在します。
詳細は省きますが、認定候補校は認定校となるために準備を進めている段階のスクールなので、認定校とカリキュラムが同じであっても国際バカロレア機構の認定を受けていないのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は国際バカロレアのCP、DPについて紹介しました。皆様のスクール選びの参考になれば幸いです。
他の国際認定機関も気になった方はぜひ比較検討してみてください。
子供たちの成長にとって大切な選択であるスクール選び。異文化の交流、多様性の理解、国際的な視野の拡充は、彼らの未来において貴重な経験となるでしょう。これからのスクールライフが、充実した学びと素晴らしい出会いに溢れ、子供たちの未来が輝くものとなることを心よりお祈りしています。