インターナショナルスクールのSNSのいじめ対策とは?

こんな人向けの記事です
  • クラスのグループチャットから、子どもだけ外されている
  • SNSに悪口や恥ずかしい写真を投稿された

「学校外で起きたネットトラブルでも、学校は対応してくれる?」

「子どもから“先生には言わないで”と言われたら、どうすればいい?」

スマートフォンやタブレットを学習にも使うインターナショナルスクールでは、学校生活とオンライン上の人間関係を完全に切り離すことはできません。

SNS、メッセージアプリ、オンラインゲーム、学校の学習プラットフォームなどで起きたトラブルが、翌日の教室での無視や仲間外れにつながることもあります。

ユニセフは、サイバーいじめをデジタル技術を使ったいじめと説明し、悪意のあるメッセージ、嘘の拡散、恥ずかしい写真や動画の投稿、なりすましなどを例に挙げています。現在は、生成AIを使った性的嫌がらせや偽画像も対象に含まれます。

先に結論をお伝えすると、サイバーいじめが疑われる場合は、すぐに相手へ反論したり投稿を消したりする前に、次の順番で対応することが大切です。

  1. 子どもの安全と精神状態を確認する
  2. 投稿・アカウント・日時の証拠を保存する
  3. 拡散を止めるためにブロック・通報する
  4. 学校へ事実を時系列で報告する
  5. 被害後の教室内での安全確保を相談する

この記事では、インターナショナルスクールで起きやすいサイバーいじめの例、家庭での初動、学校へ伝える内容、学校選びで確認すべき対策を解説します。

SNSのいじめにはどのような行為が含まれる?

サイバーいじめは、目立つ悪口だけとは限りません。

種類具体例
悪口・脅迫侮辱的なメッセージや脅しを送る
集団での排除グループチャットから一人だけ外す
噂の拡散本人に関する嘘や秘密を投稿する
なりすまし偽アカウントで本人になりすます
無断投稿写真・動画・会話を許可なく公開する
晒し行為個人情報や失敗を大勢へ共有する
投票・ランキング容姿や人気を比較する投票を作る
アカウント侵害パスワードを盗み投稿や削除を行う
ゲーム内いじめチャットで攻撃し、意図的に排除する
AIによる偽造顔写真を使って偽画像・動画を作る

名古屋国際学園のBullying Policyでも、脅迫的なメッセージ、虚偽・私的情報の投稿、侮辱的な画像、ネット投票、パスワードの窃取、なりすましなどをCyber Bullyingの例として挙げています。

対面のいじめと比べ、オンライン上の被害には次の特徴があります。

  • 下校後や休日にも続く
  • 短時間で多くの人へ拡散される
  • 匿名・偽名で行われることがある
  • 一度削除してもコピーが残る可能性がある
  • 被害者が自宅にいても逃げにくい
  • 閲覧や「いいね」をした人まで関係者が広がる

オンライン上の投稿が削除されても、子どもの不安や教室内の人間関係が自動的に元へ戻るわけではありません。

そのため、投稿の削除だけでなく、学校生活へ戻った後の安全まで考える必要があります。

サイバーいじめが疑われるサイン

子どもが被害を受けても、すぐに保護者へ話すとは限りません。

「スマートフォンを取り上げられたくない」「学校でさらに悪化するかもしれない」「自分にも原因があると思われたくない」と考え、隠すことがあります。

次のような変化が重なる場合は、オンライン上で何か起きていないか、落ち着いて確認しましょう。

  • 通知が来るたびに不安そうになる
  • 急にスマートフォンを隠すようになった
  • SNSやゲームのアカウントを削除した
  • 以前は仲のよかった友達の話をしなくなった
  • 登校やスクールバスを嫌がる
  • 頭痛や腹痛を訴えることが増えた
  • 睡眠時間が短くなった
  • 食欲や集中力が低下した
  • 成績や課題提出の状況が急に変わった
  • 自分を責める発言が増えた

ただし、これらの変化だけでサイバーいじめと断定することはできません。

「誰に何をされたの?」と問い詰めるよりも、

「最近、スマートフォンを見た後につらそうだけど、何かあった?」
「今すぐ全部話さなくてもいいけど、困ったときは味方になるよ」

と伝え、子どもが話せる余地をつくりましょう。

被害を知った直後に家庭で行う5つのこと

子どもを責めずに話を聞く

最初に伝えたいのは、「話してくれてありがとう」「あなたが悪いわけではない」という言葉です。

「なぜその写真を送ったの?」「どうしてもっと早く言わなかったの?」と責めると、その後の情報を話さなくなる可能性があります。

事実確認と子どもの気持ちの確認を分けて行いましょう。

証拠を削除する前に保存する

不快な投稿はすぐに消したくなりますが、学校やプラットフォームへ報告するためには証拠が必要です。

保存したい情報は次のとおりです。

  • 投稿やメッセージの画面
  • アカウント名・プロフィール
  • 投稿日時
  • 投稿のURL
  • グループ名
  • 閲覧者や参加者
  • これまでのやり取り
  • 通報後に表示された受付番号
  • 子どもから聞いた内容と日時

スクリーンショットだけでは、日時や前後関係が分からないことがあります。可能であれば、画面録画やURLも保存してください。

性的な画像や子どもの裸を含む可能性がある内容は、必要以上に複製・転送せず、学校や適切な相談先へ対応方法を確認します。

反論・晒し返しをさせない

相手の投稿へ感情的に反論すると、やり取りが拡散したり、被害を受けた側も攻撃したように見えたりする可能性があります。

友人や保護者が相手の氏名・学校名を公開することも避けましょう。

まず証拠を保存し、プラットフォームのブロック・通報機能を使います。

NISも、オンライン上でいじめ返さず、相手をブロックし、信頼できる大人へ伝えることを生徒向けの対応として示しています。

学校へ時系列で報告する

学校へは、感情だけでなく、分かっている事実を整理して伝えます。

報告に含めたい内容は次のとおりです。

  • 子どもの氏名・学年
  • いつ気づいたか
  • どのサービスで起きたか
  • 誰が関わっていると考えられるか
  • どのような投稿・行動があったか
  • 学校生活への影響
  • 保存している証拠
  • 家庭ですでに行った対応
  • 学校へ依頼したいこと

学校へ送る英語例文は次のとおりです。

Subject: Urgent Concern Regarding Cyberbullying

Dear [Teacher / Counselor / Safeguarding Lead],

I am writing to report a cyberbullying concern involving my child, Haru Tanaka in Grade 7. Hurtful messages and an edited image were shared in a group chat involving students from the school. We have saved screenshots and details of the accounts involved.

Haru is currently anxious about returning to school. Could we arrange a meeting to discuss his immediate safety, the school’s investigation process and the support available?

Best regards,
Yuki Tanaka

翌日の学校生活を具体的に相談する

学校への報告だけで安心せず、子どもが次の日にどう過ごすかを確認します。

  • 登校時に誰が迎えるか
  • 相談できる教職員は誰か
  • 相手と同じ授業・バス・活動があるか
  • 休み時間を安全に過ごせるか
  • カウンセラーへ相談できるか
  • 保護者へ次の連絡が来るのはいつか

被害直後に「とりあえず普段どおり登校してください」と言われても、子どもが教室で孤立する状態では問題が解決しません。

投稿削除と、学校内での安全確保は分けて相談しましょう。

学校外で起きたSNSトラブルにも学校は対応する?

サイバーいじめは、夜間や休日、個人のスマートフォンで起きることが多いため、「学校外の問題」と扱われるのではないかと不安になる保護者もいるでしょう。

学校の対応範囲は規定によって異なりますが、学校外で投稿された内容でも、

  • 同じ学校の生徒が関わっている
  • 翌日の授業や人間関係へ影響している
  • 学校の端末やアカウントが使われた
  • 学校名・制服・校内写真が使われた
  • 生徒の安全やウェルビーイングが損なわれている

場合は、学校が確認・対応する可能性があります。

英国政府も、学校外やオンラインで起きた行為を含め、学校生活へ関係するいじめに学校が対応できる考え方を示しています。これは日本のインターナショナルスクールへそのまま適用される法律ではありませんが、英国式学校の方針を理解する参考になります。

学校へ相談するときは、「投稿が自宅で行われたか」よりも、その行為によって学校生活にどのような影響が出ているかを具体的に伝えましょう。

学校によって異なるサイバーいじめ対策

国内のインターナショナルスクールでも、対策の見せ方には違いがあります。

学校公開情報から確認できる特徴
NISCyber Bullyingの具体例と対応方法をBullying Policyで公開
BSTe-Safety Policyを設け、家庭向けDigital Wellbeing情報を公開
KISTカリキュラム内で写真投稿やCyberbullyingの影響を扱う
ASIJ生徒主体の啓発活動や、Safeguardingの報告体制を整備

NISでは、Digital Citizenshipの取り組みとして、プライバシー、誤情報、サイバーいじめなどを生徒が話し合い、被害を受けた際に声を上げることへの自信を育てる活動を紹介しています。

BSTはe-Safety Policyを学校方針として公開し、保護者向けのDigital Wellbeingサイトも用意しています。家庭ごとにテクノロジー利用の考え方が異なることを前提に、保護者への情報提供を行っています。

比較の視点

「サイバーいじめ禁止」と書かれているだけでは、実際の対応力は判断できません。

学校を比較するときは、次の点を確認しましょう。

  • 具体的な行為の定義があるか
  • 学校外のSNSトラブルも相談できるか
  • 匿名で報告できるか
  • 調査を担当する人が決まっているか
  • 被害者と加害者をすぐに対面させない配慮があるか
  • カウンセリングを受けられるか
  • 保護者へ進捗を知らせる期限があるか
  • 同じクラス・バスでの安全対策があるか
  • デジタルシティズンシップ教育を継続しているか
  • AI偽画像や性的画像への対応手順があるか

処分の厳しさだけでなく、被害を受けた子どもが安心して学校生活へ戻れる体制を比較することが重要です。

AIによる偽画像が新しいサイバーいじめに

近年、子どもの顔写真を加工し、実際には存在しない性的な画像や動画を作る「ディープフェイク被害」が学校現場でも問題になっています。

オーストラリアのeSafety Commissionerは、AIを使った偽の性的画像が生徒間の嫌がらせに利用されているとして、学校向けの対応手順を公開しています。被害者の安全を優先し、内容を必要以上に共有せず、重大な事案は適切な機関へ報告することを求めています。

さらに、学校行事や公式SNSへ掲載した写真も、AIによる加工へ悪用される可能性があるとして、学校が公開する画像の範囲や管理方法を見直す動きがあります。

AI偽画像が作られた場合、「本物ではないから被害は小さい」と考えてはいけません。

本人の尊厳や評判を傷つけ、画像が本物だと信じられることで、教室内のからかいや不登校につながる可能性があります。

学校説明会では、一般的なSNS規定だけでなく、

Does the school have a response procedure for AI-generated fake or sexualised images?

AIで作られた偽画像や性的に加工された画像への対応手順はありますか?

と確認することをおすすめします。

保護者の声から見える対応上の悩み

サイバーいじめに関する保護者の相談では、次のような悩みが見られます。

  • 学校へ伝えても「校外の出来事」と言われた
  • 相手の処分内容を教えてもらえず、対応したか分からない
  • 証拠を保存する前に子どもが投稿を削除した
  • 子どもから学校へ言わないでほしいと頼まれた
  • スマートフォンを取り上げると、相談しなくなりそうで不安
  • 加害側の保護者へ直接連絡すべきか迷う
  • 学校へ報告した後、子どもがさらに孤立しないか心配

保護者向けの報道や相談記事でも、学校への報告内容を記録し、対応が進まない場合は校内の上位責任者へ段階的に相談することの重要性が指摘されています。一方、他の生徒の個人情報があるため、学校が処分内容のすべてを説明できない場合もあります。

学校へは相手への処分だけでなく、次の項目を確認しましょう。

  • 調査を開始したか
  • 自分の子どもの安全をどう確保するか
  • 学校内で誰が支援するか
  • 次回の連絡予定日はいつか
  • 再発時にどこへ連絡するか
  • 欠席や課題への配慮があるか

編集部の一言|「スマホ禁止」だけでは解決しない

被害を知った保護者が、最初に子どものスマートフォンを取り上げたくなる気持ちは自然です。

しかし、端末を取り上げるだけでは、すでに投稿された内容や学校内の人間関係は解決しません。

また、子どもが「相談するとスマートフォンを没収される」と感じれば、次の被害を隠す可能性があります。

編集部として重視したいのは、端末の利用時間だけでなく、

  • 困ったときに相談しても罰せられない
  • 証拠の保存方法を知っている
  • ブロック・通報機能を使える
  • 友人の被害を見たときに加担しない
  • 画像を転送することも被害を広げると理解している
  • 学校と家庭の相談先を知っている

状態をつくることです。

既存のデジタルシティズンシップ教育の記事が「安全な使い方を学ぶ予防」に重点を置くのに対し、学校選びでは、実際に被害が起きた後の調査・支援・復帰まで確認しましょう。

家庭で決めておきたいサイバーいじめ対応ルール

問題が起きてから話し合うのではなく、平常時に次のルールを決めておくと安心です。

相談してもすぐに端末を取り上げない

安全上の必要がない限り、まず話を聞きます。

他人の写真を許可なく投稿しない

友達が写った写真や学校名が分かる画像は、本人と家庭の許可を確認します。

グループでの悪口に反応しない

「いいね」、絵文字、画像の転送も、被害を広げる行動になる場合があります。

パスワードを共有しない

親しい友達であっても、アカウントのパスワードは共有しません。

困ったときの連絡先を決める

保護者、担任、カウンセラー、Safeguarding担当者など、相談できる大人を複数決めます。

学校以外へ相談したい場合は、文部科学省や法務省が、SNS上の悪口やいじめを含む子どもの相談窓口を案内しています。

よくある質問

グループチャットから外されただけでも、いじめになりますか?

1回のグループ変更だけでは判断できません。

ただし、特定の子どもを傷つける目的で繰り返し排除したり、別のグループで悪口を共有したりしている場合は、サイバーいじめとして学校へ相談する必要があります。

子どもが学校へ言わないでほしいと言っています

理由を確認し、どの情報を誰へ伝えるか一緒に決めましょう。

ただし、脅迫、性的画像、自傷のおそれ、身体的な危険などがある場合は、子どもの希望だけで抱え込まず、安全を優先して大人や学校へ相談してください。

加害側の保護者へ直接連絡してもよいですか?

感情的な対立や証拠の削除につながる可能性があります。

まず学校の担当者へ報告し、学校を通じた連絡が可能か確認する方が安全です。

匿名アカウントでも学校へ相談できますか?

相談できます。

発信者が特定できていなくても、投稿内容、アカウント、URL、日時、学校生活への影響を報告しましょう。

学校が対応してくれない場合は?

報告した日時と内容を記録し、担任、学年責任者、カウンセラー、Safeguarding Lead、校長など、学校の苦情申立て手順に沿って段階的に相談します。

脅迫、性的画像、個人情報の公開など、安全や犯罪に関わる可能性がある場合は、学校外の適切な相談機関へも相談してください。

おわりに

インターナショナルスクールのサイバーいじめは、SNS上の悪口だけではありません。

グループからの排除、なりすまし、写真の無断投稿、パスワードの窃取、ゲーム内の嫌がらせ、AIによる偽画像など、さまざまな形があります。

被害が疑われる場合は、次の順番で対応しましょう。

  1. 子どもの話を責めずに聞く
  2. 投稿・日時・アカウントの証拠を保存する
  3. 相手へ反論せずブロック・通報する
  4. 学校へ時系列で報告する
  5. 翌日以降の学校内での安全を相談する
  6. 調査と支援の進捗を記録する

学校選びでは、「サイバーいじめ禁止」という言葉だけでなく、学校外でのトラブルへの対応範囲、相談窓口、調査手順、カウンセリング、AI偽画像への対策まで確認することが大切です。

オンライン上の投稿を消すことだけをゴールにせず、子どもが安心して教室へ戻れる状態まで、学校と家庭で支援しましょう。

皆さんのスクール選びと学校生活の参考になれば幸いです!