「転勤で年度途中に転校する場合、残りの授業料は返金される?」
「“Refundable”と書かれていない費用は、すべて返金されないの?」
インターナショナルスクールでは、出願から入学までにApplication Fee、Registration Fee、Enrollment Fee、Depositなど、複数の費用を支払うことがあります。
特に注意したいのが「デポジット」という言葉です。
日本語では「預かり金」「保証金」のように見えますが、インターナショナルスクールでは、返金される保証金ではなく、座席を確保するための返金不可の費用をDepositと呼ぶ場合があります。
先に結論をお伝えすると、デポジットが返金されるかどうかは、名称だけでは判断できません。
確認すべきなのは、次の3点です。
- その費用が何のために支払われたのか
- いつまでに辞退・退学を伝えたのか
- 学校が定める通知方法を守ったか
この記事では、2026-2027年度に公開されている学校の規定を比較しながら、入学辞退や転校で損をしないための確認方法を解説します。
「デポジット=返金されるお金」とは限らない
インターナショナルスクールで支払う費用は、大きく次のように分けられます。
| 費用の名称 | 主な目的 | 返金の一般的な傾向 |
|---|---|---|
| Application Fee | 出願審査の手数料 | 返金不可が多い |
| Registration・Enrollment Fee | 入学登録、座席の確保 | 返金不可が多い |
| Building・Capital Fee | 校舎や設備の維持・整備 | 返金不可が多い |
| Re-enrollment Deposit | 次年度の座席確保 | 授業料へ充当、または返金不可 |
| Tuition | 授業を受けるための費用 | 辞退時期や未受講期間による |
| Bus・Lunch Fee | 通学、食事サービス | 未利用期間を返金する学校もある |
同じ「デポジット」でも、学校によって扱いは異なります。
たとえば、ASIJはRegistration Feeを生徒の座席を初登校日まで確保するためのDepositと説明していますが、同時に返金不可の費用と定めています。また、在校生が翌年度の座席を確保するRe-Enrollment Feeも返金不可で、最初の授業料へ充当されます。
一方、YISでは翌年度の座席を確保するために30万円のRe-enrollment Depositが必要ですが、退学・返金規定にはデポジットの一部返金が例外として示されています。
つまり、見るべきなのは「Depositと書かれているか」ではなく、規定内にある次の表現です。
- Non-refundable
- Refundable
- Applied to tuition
- Partially refundable
- Refundable before the first day of school
- Forfeited upon withdrawal
「授業料に充当される」のか、「学校がそのまま受け取る費用」なのかも確認しましょう。
入学辞退のタイミングで返金額が変わる
返金可否を考えるときは、入学辞退・退学の時期を3段階に分けると分かりやすくなります。
合格通知を受け取る前
出願料は審査のための手数料なので、合否にかかわらず返金不可としている学校が一般的です。
出願後に家庭の事情が変わった場合でも、すでに審査が始まっていれば返金されない可能性が高いでしょう。
合格後から初登校日前
この期間は、学校による違いが最も大きいタイミングです。
K. International School Tokyoでは、Application FeeとEnrollment Feeは返金されません。一方、初登校日の前までにメールで入学をキャンセルした場合、授業料、Capital Fee、Building Maintenance Feeなどは全額返金すると定めています。
名古屋国際学園では、入学開始日の14日より前に辞退を伝えれば年間授業料が全額返金されます。開始日まで14日以内の辞退では、20万円の事務手数料を差し引いたうえで授業料が返金されます。ただし、Application FeeとRegistration Feeは返金されません。
「入学前だから全額戻る」と考えず、費用ごとに確認する必要があります。
初登校日・学期開始後
登校開始後は、日割りではなく、Quarter、Semester、Term単位で返金額を決める学校が多く見られます。
ASIJでは、指定期限までに書面で退学を通知した場合、生徒が一度も在籍しない学期内のQuarterについて、授業料とバス代の返金対象となります。
BSTでは、退学の際に1学期分以上前の書面通知が必要です。通知期間を満たさない場合は、代わりに1学期分の費用を支払う必要があります。返金が想定されるのも、通知条件を満たし、その学期に一度も在籍していない場合です。
年度途中の転校では、デポジットよりも、通知期限を過ぎたことで発生する1学期分の授業料の方が大きな負担になる可能性があります。
2026-2027年度の学校別返金規定を比較
主要校の公開情報を比較すると、同じインターナショナルスクールでも返金の考え方が大きく異なります。
| 学校 | 入学・登録費 | 授業料の主な返金条件 |
|---|---|---|
| ASIJ | 登録料などは返金不可 | 指定期限までに通知した未在籍Quarterが対象 |
| YIS | 出願料・登録料は返金不可 | 原則返金なし。デポジットの一部や学期開始後5日未満などに例外 |
| KIST | 出願料・入学登録料は返金不可 | 初登校日前にメールで辞退すれば授業料などを全額返金 |
| BST | 費用ごとの規定を確認 | 1学期前の通知が必要。未在籍学期を中心に判断 |
| NIS | 出願料・登録料は返金不可 | 入学開始14日前までなら授業料全額、直前は事務手数料を控除 |
比較の視点
編集部が注目したいのは、「返金される学校か、返金されない学校か」という二択ではありません。
比較すべきなのは、次の4点です。
- 返金不可になる費用の範囲
- 入学前と入学後の境界日
- 返金を受けるために必要な通知期間
- Quarter・Semester・Termのどの単位で精算されるか
特にKISTは、Enrollment Feeを除き、初登校日前なら授業料や施設関連費を返金することを明記しています。一方、YISは授業料を原則返金しない方針を示しています。
これは学校の教育内容や良し悪しではなく、座席確保や年間予算をどの時点で確定させるかという運営方針の違いです。
学校選びでは学費総額だけでなく、家庭の転勤可能性と返金規定の相性まで比較しましょう。
2026年に確認したい最新の動き
2026-2027年度の学費ページでは、返金規定をWeb上で詳しく公開する学校が増えています。
たとえばNISは、新入生・再入学生・在校生の再登録について、それぞれ異なる返金条件を掲載しています。ASIJやYISも2026-2027年度のFee Scheduleを公開しており、出願前に最新年度の条件を確認できます。
また、消費者庁では2026年も解約料のルールについて検討が続いています。現行の消費者契約法では、契約解除によって事業者に生じる平均的な損害を超える解約料は、超えた部分が無効になるとされています。ただし、実際に平均的な損害を判断・立証することは簡単ではありません。
「Non-refundableと書いてあるから絶対に返金されない」「入学前だから必ず返金される」と、どちらかに決めつけないことが重要です。
実際に返金が認められたインターナショナルスクールの事例
国民生活センターは、幼児向けインターナショナルスクールとの契約を解除した保護者について、授業料などの返還請求が一部認められた裁判例を紹介しています。
この事例では、保護者が登録費、年間授業料、制服代、給食費、バス代など、合計約337万円を支払っていました。しかし、子どもはクリスマス会を除いて一度も通園せず、制服や教材なども受け取っていませんでした。
裁判では、提供されていない授業、制服、給食、バスサービスに相当する費用の返金が認められました。一方、在籍によって施設を利用できる立場を得ていたとして、校舎維持費の返金は認められませんでした。
ただし、この判決をもって、すべての学校で未受講分が返金されるとは限りません。
この事例では、不返還特約がなかったこと、通園開始時期が未定だったこと、学校側が具体的な教材発注などをしていなかったことなど、個別の事情が考慮されています。国民生活センターも、幼児教育型インターナショナルスクールは費用が高額で、外国語による契約も多いため、消費者トラブルが起きやすい領域だと指摘しています。
返金額が高額になる場合や、学校と見解が大きく異なる場合は、消費生活センターや法律の専門家へ相談しましょう。
入学辞退・転校が決まったら行うこと
返金を受けられる可能性を下げないためには、口頭連絡だけで終わらせないことが大切です。
返金規定の原本を保存する
学校のWebサイトは年度ごとに更新されることがあります。
支払いを決めた時点の次の資料を保存しましょう。
- Fee Schedule
- Financial Regulations
- Enrollment Agreement
- Parent Handbook
- 請求書
- 支払い証明
- 合格通知
- 学校とのメール
PDFや画面を保存し、どの年度の規定か分かる状態にしておきます。
正式な方法で辞退を通知する
学校によって、メール、Withdrawal Form、保護者ポータルなど、指定方法が異なります。
「担任の先生に話した」「受付へ電話した」だけでは、正式な通知日として扱われない可能性があります。
連絡文には次の内容を入れましょう。
- 子どもの氏名と学年
- 最終登校予定日
- 入学辞退または退学の意思
- 通知日
- 返金対象となる費用の確認
- 返金予定日と振込先
通知期限が近い場合は、先にメールで明確な意思を伝え、必要なフォームを続けて提出すると記録を残しやすくなります。
費用を項目別に確認する
「支払った300万円を返してください」とまとめて請求するのではなく、次のように分けて確認しましょう。
| 費用 | 返金可否 | 理由・規定 |
|---|---|---|
| Application Fee | ||
| Registration Fee | ||
| Tuition | ||
| Building Fee | ||
| Bus Fee | ||
| Lunch Fee | ||
| Deposit |
学校側にも、「どの費用が、どの規定によって返金対象外になるのか」を明確にしてもらいます。
口コミ・評判から見える保護者の悩み
国内外の保護者による体験談では、返金規定について次のような悩みが見られます。
- 返金可能なデポジットなのに、退学後なかなか入金されない
- 担当者の変更で、以前のやり取りが引き継がれていない
- 入学前と入学後でキャンセル規定が違うことを知らなかった
- 複数校から合格を受け、返金期限までに進学先を決められなかった
- 口頭説明と契約書の内容が異なって見える
海外のインターナショナルスクールへ通わせた保護者の体験談では、約34万円のデポジットが退学から半年後も返金されず、学校の担当者変更もあって繰り返し確認が必要になったケースが紹介されています。
また、入学前の辞退に必要な通知期間が契約書上分かりにくく、返金不可と言われて戸惑ったという保護者相談もあります。
これらは個別の事例であり、日本のすべての学校に当てはまるわけではありません。
ただし、「返金されるか」だけでなく、返金申請の方法、処理期間、振込先、担当部署まで確認しておく必要があることが分かります。
編集部の一言
インターナショナルスクールの返金規定で最も怖いのは、デポジットの金額そのものではありません。
見落としやすいのは、退学通知が数日遅れただけで、次の学期分まで支払い義務が発生する可能性があることです。
転勤の可能性がある家庭、海外赴任の終了時期が未定の家庭、日本の学校への転校を検討している家庭は、入学前に次の質問を学校へ伝えてみましょう。
If we need to withdraw due to relocation, which fees are refundable, and how much notice is required?
転居によって退学する場合、どの費用が返金され、どの程度前までの通知が必要ですか?
Is the deposit refundable, or will it be applied to tuition?
デポジットは返金されますか。それとも授業料へ充当されますか?
How long does the refund process usually take?
通常、返金手続きにはどのくらいかかりますか?
返金規定について質問することは、入学意思が弱いという意味ではありません。
年間数百万円の教育費を支払うからこそ、契約条件を理解してから申し込むことが、安心して学校生活を始めるための準備になります。
よくある質問
入学前に辞退すれば、授業料は全額返金されますか?
学校によって異なります。
初登校日前なら授業料を全額返金する学校もあれば、原則として返金しない学校もあります。辞退日ではなく、学校が通知を受領した日を基準にする場合があるため、書面で早めに連絡しましょう。
デポジットは退学時に必ず返金されますか?
必ずしも返金されません。
座席確保のための返金不可費用、授業料へ充当される前払金、退学時に返金される保証金など、学校によって性質が異なります。
転勤や病気なら特別に返金されますか?
学校によっては、国外転居、保護者の転勤、医療上の事情などを例外として検討する場合があります。
ただし、自動的に認められるわけではないため、必要な証明書と申請期限を確認してください。
返金されないことに納得できない場合はどうすればよいですか?
まず、返金不可とする根拠となる規定と費用の内訳を書面で確認します。
解決しない場合は、消費者ホットライン「188」から地域の消費生活センターへ相談する方法があります。高額なケースでは、弁護士など専門家への相談も検討しましょう。
おわりに
インターナショナルスクールのデポジットは、名称だけでは返金されるか判断できません。
契約前には、次の項目を確認しましょう。
- 返金不可の費用はどれか
- デポジットは授業料へ充当されるか
- 初登校日前の辞退では何が返金されるか
- 途中退学は何日前までに通知する必要があるか
- 学期の途中でも返金されるか
- 返金手続きにどの程度かかるか
- 指定された通知方法は何か
特に転校や転勤の可能性がある家庭は、学費の安さだけでなく、返金規定の柔軟性も学校比較の項目に加えることをおすすめします。
契約書やFee Scheduleを保存し、不明点は支払い前に学校へ書面で確認しましょう。
皆さんのスクール選びの参考になれば幸いです!



