「実際に両立してる家庭ってどうやって回してるんだろう」「続けてよかったのか、やめてよかったのか、先輩ママのホンネが知りたい!」
海外赴任や移住で子育てをしていると、学校選びの悩みは尽きませんよね。
インターナショナルスクールを選んだはいいけど、日本語教育どうしよう、やっぱり補習校も通わせたほうがいいんじゃないか…と揺れている方も多いはず。
この記事では、実際に補習校とインターの両立を経験したファミリーの声をもとに、リアルなしんどさ・よかったこと・うまくいくコツをまとめています。これから決断しようとしている方や、今まさに両立中で限界を感じている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
そもそも海外の補習校って何をするところ?

補習校(日本語補習校)は、外務省が関与するかたちで世界各地に設立されている日本語・日本文化教育の場で、2024年時点で世界約50か国、200校以上に存在しています。基本的には土曜日のみ開校し、国語・算数・数学・理科・社会など、日本の学習指導要領に沿った授業を受けることができます。
補習校の目的は「日本語力の維持」だけじゃない
多くの親御さんが最初に思い描くのは、日本語を忘れさせたくない、漢字が読めなくなるのが怖い、という気持ちだと思います。実際それは正しい動機なのですが、補習校の役割はそれだけにとどまりません。日本の教育スタイルへの慣れ、将来帰国した際のスムーズな編入、そして日本人としてのアイデンティティをある程度保つこと、そういった複合的な目的が含まれています。
特に帰国子女として日本の中学・高校に進学するルートを考えているご家庭にとっては、補習校で日本式の学習ペースに慣れておくことが大きなアドバンテージになります。帰国後に漢字が読めない、算数の筆算の書き方が違う、という場面で困る子が多いのも事実で、補習校経験者とそうでない子の差はけっこうリアルに出ます。
インターに通いながら補習校に行く子は多い?
アジア圏(シンガポール、タイ、インドネシア)や北米・欧州の主要都市では、インター通いながら補習校にも籍を置く日本人家庭が珍しくありません。たとえばシンガポール日本人学校補習校は在籍者が1,000人を超えており、そのうちの相当数がインターに通っています。アメリカのロサンゼルスや東海岸のコミュニティでも、土曜補習校に通うインター生の家庭はコミュニティのなかで珍しい存在ではなくなっています。
つまり両立自体は珍しいことではなく、むしろ海外在住日本人の間ではひとつのスタンダードな選択肢になってきているということ。とはいえ、スタンダードだからといって楽かというと、全然そんなことはない。それが実態です。
正直しんどい。両立の「リアルなきつさ」

ここはオブラートに包まずに書きます。補習校とインターを両立させるのは、子どもにとっても親にとっても、それなりに負荷がかかります。
子どもの1週間のスケジュールが詰まりすぎる
インターナショナルスクールはプロジェクト型の課題や英語でのレポート提出が多く、平日の放課後や週末も宿題に時間をとられることがあります。そこに土曜日まるっと補習校が入ると、子どもの休息日がゼロになるケースも。特に小学校中学年〜高学年になってくると、インターの課題量が増える一方で、補習校でも漢字テストや算数の宿題が課される。両方をこなそうとすると、土日が実質ほぼ学習デーになってしまうことがあります。
実際に両立経験者のあるお母さんは、子どもが週末に泣きながら補習校の宿題をやっていた時期があったと振り返ります。楽しそうに通っている子もいれば、補習校の日曜前の夜が憂鬱になってしまう子もいる。その差は年齢、性格、インターの負荷量によってかなり異なるようです。
親のサポートコストが思ったより大きい
補習校の授業は日本語で行われますが、宿題の確認・漢字の練習サポート・プリントの管理など、親が一定関与しないと成立しない場面が多いです。両親ともに仕事をしているご家庭では、平日に補習校の宿題まで見る余裕がないという声もよく聞かれます。また補習校のPTA活動やボランティア当番が存在する学校も多く、地域によっては保護者の参加頻度が日本の小学校並みに高いケースも。
さらに交通面も侮れません。補習校が自宅やインターから遠い場合、土曜日の送迎だけで午前中が潰れることも。車社会の地域ならまだしも、公共交通機関が不便な都市では、この送迎負担が長期的に親の体力を削っていきます。
言語の切り替えで子どもが混乱することがある
インターでは英語で考え、補習校では日本語で学ぶ。この切り替えを週単位で繰り返すことで、子どもによっては思考の言語が定まりにくくなる時期があります。英語で話すのが楽になってきた頃に日本語で算数を解かされる、その認知的な負荷は大人が想像するより大きいことがあります。
国立国語研究所の調査でも、バイリンガル環境の子どもは7〜9歳ごろに言語の優位性が入れ替わりやすい時期があるとされています。この時期に2言語で学習負荷をかけすぎると、どちらの言語も中途半端になるセミリンガルのリスクが出てきます。これは脅しではなく、補習校の量と質を見極めるうえで知っておいてほしい視点です。
✅ 補習校を始める前に確認したい6つのポイント
- 子どもの現在の英語・日本語バランスはどのくらいか
- インターの平日・週末の課題量はどれくらいか
- 土曜日の補習校への送迎は無理なく続けられるか
- 補習校の宿題を見るための親の時間・余裕はあるか
- 子ども本人は補習校に対してどんな気持ちか(強制ではないか)
- 補習校に通う目的(帰国予定の有無・日本語維持の優先度)が明確か
続けてよかった。両立がもたらす本当のメリット

しんどいことを正直に書いてきましたが、それでも続けてよかったという声が多いのも事実です。ここからは、両立の先にある話をしたいと思います。
帰国後のギャップが圧倒的に小さくなる
補習校に通い続けた子どもが帰国したとき、一番差が出るのは国語力と計算の手順です。補習校を経験していない帰国子女の場合、日本語での読解に苦労したり、算数・数学の解き方が違うために授業についていけない、ということが起こります。一方で補習校経験者は、たとえ多少のブランクがあっても、日本語の文章を読む土台が残っていることが多いと言われています。
実際に小5で帰国した子のケースでは、補習校経験がある場合と全くない場合とでは、帰国後1年間の学習への慣れ方にはっきり差が出たという報告があります。特に漢字は積み上げ式なので、途中で止まると穴が開いた状態になりやすく、補習校での継続学習がそのまま貯金になります。
日本語が母国語としての地位を保てる
インター生活が長くなると、家でも英語で話したがる、日本語より英語の方が楽、という状態になってくることがあります。それ自体は自然なことですが、親子間のコミュニケーションが英語主体になってくると、日本語での細かいニュアンスや感情表現が育ちにくくなります。補習校で毎週日本語の授業を受け続けることは、母国語としての日本語を維持するひとつの仕組みになります。
言語習得の研究では、母語の基盤がしっかりしている子どもの方が外国語の習得も早いという知見(言語転移)があります。日本語力を維持することは、英語力を犠牲にするのではなく、むしろ長期的に両言語を強化することにつながるという考え方です。
日本人コミュニティという居場所ができる
インターではインターナショナルな環境の中にいるわけですが、子どもによっては日本語で話せる友達がいる場所の安心感を強く求めることがあります。補習校は週に1度しか行かないけれど、日本人の友達と日本語でワイワイできる場というのは、精神的な意味でかなり大きいようです。特に低学年のうちは、インターでの英語コミュニケーションに疲れている子にとって、補習校が週1の充電スポットになっているケースもあります。
また補習校のコミュニティは親世代にとっても貴重です。同じ海外在住日本人として、子育てや帰国後の進路について情報交換できるネットワークができる。これを両立のメリットとして挙げるご家庭は意外と多く、子ども以上に親が補習校のコミュニティに助けられているというケースも少なくありません。
うまく両立しているご家庭がやっていること

補習校とインターを長期的に両立できているご家庭には、いくつかの共通点が見えてきます。これはノウハウというより、考え方の軸の話に近いかもしれません。
目的を明確にして、量より質で判断している
補習校に通わせている目的が明確なご家庭は、揺らぎにくいです。帰国の予定があって日本の学校への編入を見据えているのか、それとも海外永住を視野に入れながら日本語のルーツだけ残したいのか、この2つではアプローチがかなり変わってきます。前者なら補習校の授業内容をしっかり追っていく必要がありますが、後者なら補習校の授業は国語・読書中心で十分という判断もできます。
補習校の全科目を完璧にやろうとすると、インターの子どもにはオーバーロードになりやすい。学校によっては科目を絞って受講できたり、低学年のみ参加してあとは自宅学習に切り替えるという柔軟な使い方をしている家庭もあります。補習校をフル活用しなければいけないという思い込みを外すだけで、ぐっと楽になることがあります。
子どもの状態を親がちゃんと見ている
当たり前に聞こえるかもしれませんが、これが一番難しくて一番大事なことです。子どもが補習校に対して明らかに嫌悪感や疲弊感を持っているのに、親の都合や方針で強制し続けると、日本語そのものが嫌いになるリスクがあります。逆に嫌がりながらも通い続けて、5年後に日本語で友達と話せることへの感謝を口にする子もいる。
ポイントは、子どもが嫌がっているときに理由を丁寧に聞くことです。インターの宿題が多すぎて物理的に無理なのか、補習校で友達ができていなくて孤独なのか、単純に疲れているだけなのか、によって対応は全然違います。一律にやめる・続けるで判断するのではなく、季節ごとに子どもの状態を確認しながら微調整していくスタンスが、長期的な両立を支えているようです。
家庭内での日本語環境も同時に作っている
補習校に週1通わせているだけで安心、というわけにはいかないのが現実です。補習校の効果を最大化するには、家庭内でも日本語に触れる時間を意識的に作ることが必要です。日本語の本を読む習慣、親と日本語で会話する時間、日本のテレビやYouTubeを見る時間など、日常的なインプット量が補習校の効果を大きく左右します。
補習校でどれだけ良い先生に習っても、週1時間の授業だけでは語彙の定着はほぼ難しいとされています。週に1回の補習校を核にして、残りの6日間で家庭内日本語環境をどう整えるかがセットで考えられているご家庭が、長期的に子どもの日本語力を維持できています。—
やめたご家庭、続けたご家庭それぞれのホンネ

最終的に補習校を途中でやめた選択も、続けた選択も、どちらも間違いではありません。それぞれの背景と、そこから見えてくるリアルをまとめてみます。
やめた理由で多いのはこの3パターン
補習校をやめた理由として最も多く聞かれるのが、子どもの疲労・ストレスの限界です。インターのプロジェクト課題が重い時期と補習校の試験が重なり、子どもが体調を崩したことをきっかけにやめた、という家庭は少なくありません。次に多いのが、現地への永住が確定して帰国の見通しがなくなったケース。帰国を前提に始めた補習校だったが、ビザの事情や夫の転職で予定が変わり、続ける必要性を見直した、という判断です。3つめは、子ども本人が英語アイデンティティに強くなってきて、日本語の学習に意欲を持てなくなったケース。これは特に10代に入ってから起きやすく、親がどれだけ頑張っても子ども自身のモチベーションが伴わないと難しいという現実があります。
続けてよかったという声の共通点
一方、続けてよかったという声の多くに共通しているのは、帰国後に子ども自身が補習校に通っていてよかったと言った、というエピソードです。通っている最中はしんどかったし、やめたいと言ったこともあったけれど、帰国して日本の学校に入ったときに、他の帰国子女よりスムーズに溶け込めた。国語の授業についていけた。そういう実感が子ども本人にあったとき、親は続けて正解だったと感じることが多いようです。
また日本に帰らなかった場合でも、大学進学や就職で日本語が必要になったとき、あのとき補習校で積み上げた力が活きたという声もあります。子育て中は出口が見えにくいですが、10年後の子どもの言葉のベースラインを作っているという意識を持てたご家庭が、長続きしやすい傾向があります。—
まとめ

補習校とインターの両立は、しんどいのは本当です。週7日のスケジュールを2言語・2カリキュラムで回すのは、子どもにとっても親にとっても決して軽い話ではない。それでも多くのご家庭が続けているのは、その先にある子どもの日本語力や帰国後の適応力という具体的なメリットを、時間をかけて実感しているからだと思います。
大切なのは、なんとなく続けるでも、なんとなくやめるでもなく、目的・子どもの状態・家庭の余力の3つを定期的に見直しながら判断し続けることです。補習校は手段であって、ゴールではありません。子どもが日本語に親しみを持ち続けられること、日本とのつながりを将来選べる状態でいられること、そのための手段として補習校がフィットしているかを問い続けることが、海外在住ファミリーにとっての本当の正解への近道だと思います。


