スマートフォンやAI、自動運転にロボット。技術の進化によって、私たちの暮らしは大きく変わってきました。
そして今の子どもたちは、こうしたテクノロジーと共に生きる社会の中を生きていくことになります。
このような時代背景のなか、注目されているのが幼児期からのプログラミング教育です。
「まだそんなに小さいのに必要なの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際のところ、幼児向けのプログラミングは難しいコードを覚えることではなく、“考え方”や“工夫する力”を育てることが目的になっています。
この記事では、幼児期からプログラミングを学ぶことにどんな意味があるのか、5つの理由に分けてお伝えします。
そもそも幼児にプログラミング教育は早い?

そもそも、「幼児にプログラミング教育って早くない?」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、いま話題になっている幼児期のプログラミング教育は、いわゆる“パソコンでコードを書く”ようなものとはまったく違います。
子ども向けのプログラミング教育で重視されているのは、
- 順序立てて考える力(論理的思考)
- 試行錯誤する力(問題解決力)
- 表現しようとする力(創造力)
といった“思考の土台”を、遊びの中で自然に育てること。
実際に文部科学省も、「プログラミング教育=プログラマーを育てることではない」と明言しており、全ての子どもに必要な“考える力”を育てる基礎教育として位置づけています。
使用する教材も、ブロックを並べてキャラクターを動かすようなビジュアル型が中心で、言語的なハードルもありません。
幼児プログラミング教育の意味

では幼児にプログラミング・IT教育を行うことの意味について解説します。
- 論理的に考える習慣が自然と身につく
- 試行錯誤しながら「やり直す力」が育っていく
- 自分のアイデアを“カタチ”にする力が育つ
- ITにふれるハードルが自然と下がる
- 社会の仕組みを理解する視点が育つ
それぞれ解説します。
論理的に考える習慣が自然と身につく
プログラミングは、「思い通りの動き」を作るために、何をどの順番で行うかを考える学びです。
たとえばキャラクターをゴールまで動かすには、「何歩進むか」「どこで曲がるか」などを一つひとつ組み立てる必要があります。
このような体験を通して、子どもたちは順序立てて物事を考える=論理的思考力を自然と身につけていきます。
文部科学省も、小学校でプログラミング教育を導入する目的のひとつとして、この論理的思考力の育成を挙げています。
これは、将来的に算数や国語といった教科の学びにもつながっていく「思考の土台」となるものです。
試行錯誤しながら「やり直す力」が育っていく
プログラミングでは、何度も「うまくいかない」場面に出会います。
動かしたはずのキャラクターが動かない。予定していた音が鳴らない。
でも、その失敗こそが大切な経験になります。
「どこが間違っていたんだろう?」
「別のやり方を試してみようかな」
そうした試行錯誤を重ねる中で、何度でも挑戦し直す力=リトライ力が育っていきます。
この“やり直す力”は、近年教育現場でも注目されている非認知能力のひとつであり、学力では測れない「生きる力」として重要視されています。
自分のアイデアを“カタチ”にする力が育つ
プログラミングには、自由に発想し、それを画面上で“表現”できる楽しさがあります。
たとえば、キャラクターを自分の思い通りに動かしたり、オリジナルのストーリーを組み立てたり。
こうした体験を通じて、自分の中にあるイメージを具体的に表現する力=創造力が育っていきます。
また、「こうしたい」と思ったことを一つひとつ操作に落とし込んでいく過程では、表現力と論理的思考力が両方必要になるという点も、プログラミングの特長です。
ITにふれるハードルが自然と下がる
現在、プログラミング教育は小学校で必修となり、中学校や高校でも内容がさらに高度になっています。
高校では「情報Ⅰ」という科目が大学入試に含まれるようになり、ITリテラシーはすでに“持っていて当然”の力になりつつあります。
だからこそ、小さいうちから自然にふれておくことで、ITに対する苦手意識が生まれにくくなります。
「プログラミングって難しそう」という印象を持つ前に、「やってみたら楽しかった」と感じられる経験が、将来の選択肢を広げるきっかけになるはずです。
社会の仕組みを理解する視点が育つ
今後、AIやデータ活用が進む社会においては、「なぜこの仕組みで動くのか?」「どうやって動いているのか?」といった視点を持つことが大切になります。
プログラミングを通じて、子どもたちは「動作の裏側には設計がある」という感覚を少しずつ身につけていきます。
これは、単なる“使う側”ではなく、社会の仕組みそのものを理解し、活用する側になるための大切な視点です。
プログラミング教育というと、「何か高度なことを身につける特別な学び」と思われがちかもしれません。
でも実際には、子どもたちにとっては「遊びの中で考えてみる」「工夫してみる」そんな体験の積み重ねなんです。
最近では、こうした学びができるプログラミング教室や探究型のスクールも増えてきています。
家庭だけでがんばろうとせずに、子どもの興味や好奇心を伸ばすための“ふれるきっかけ”をつくってあげるという考え方も、選択肢のひとつとして広がっています。