「3校とも神戸・大阪エリアにあるのに学費や特色がそれぞれ全然違うって本当?」 「子どもをどこに入れるか迷っている。実際の進学実績や保護者の声を踏まえて比べてほしい」
こういった疑問を持っている方に向けて、今回は関西エリアのIB校3校──OIS(関西学院大阪インターナショナルスクール)・カナディアンアカデミー・NLCS Kobe(ノースロンドン・カレジエイト・スクール神戸)──を徹底比較します。
この3校はすべて「IBのDPが取れる関西のインター」という共通点を持ちながら、歴史・学費・カリキュラム設計・進学実績・入学のしやすさ・保護者への英語力要求など、あらゆる面で異なる学校です。「どこが優れているか」ではなく「あなたの家庭にどこが合うか」を見つけるために、5つの比較軸で整理しました。
まず3校のプロフィールを確認する
比較の前に、3校の基本情報を一覧で押さえましょう。特に「歴史と実績の重み」「学費の水準」「IB認定の状況」が3校でまったく異なります。
3校の基本比較表
| 項目 | OIS(関学大阪IS) | カナディアンアカデミー | NLCS Kobe |
|---|---|---|---|
| 所在地 | 大阪府箕面市(彩都) | 神戸市東灘区(六甲アイランド) | 神戸市東灘区(六甲アイランド→2028年六甲山) |
| 設立 | 1991年 | 1913年 | 2025年9月 |
| IB認定状況 | PYP・MYP・DP(三認定) | PYP・MYP・DP(三認定) | 申請予定(現時点では未認定) |
| 在籍生徒数 | 約250名 | 約675名 | 初年度約70名(拡大中) |
| 年間学費目安 | 非公開(問い合わせ要) | 約260万円〜 | 280〜310万円(2024/25年度) |
| 日本語教育 | あり(バイリンガル対応) | あり(必修) | あり(独自カリキュラム) |
| 保護者英語力 | 求められる | 求められる | 不要(サポート体制あり) |
| 寮 | なし | あり(Gloucester House) | 2028年六甲山新校舎から寮設置予定 |
3校とも六甲アイランド・大阪西部という関西の国際拠点エリアに位置し、駅からのアクセスも比較的良好です。ただし学費水準・IB認定の有無・生徒数の規模という3点で大きな差があることがわかります。
比較①:歴史と実績──「積み重ねの重み」で見る3校
関西のIB校を選ぶうえで、「歴史と実績の積み重ね」は外せない判断基準です。3校の立場はこの点で明確に異なります。
カナディアンアカデミー:110年の歴史と積み重ねた進学実績
カナディアンアカデミーは1913年創立、関西で最も歴史の長いインターのひとつです。2024年のIBDP取得者は40名、平均スコア33.8点(世界平均30.32点超)、最高点45点、合格率91%という数字が出ており、卒業生の進学先にはスタンフォード大学・コロンビア大学・UCバークレー・オックスフォード大学・東京大学など世界のトップ大学が並びます。
「毎年確認できる実績がある」という安心感は、新設校には出せないものです。特に北米大学(カナダ・アメリカ)への進学ルートに強みがあり、卒業生進路の56%が北米という分布は「本当にカナダ・アメリカに送り出したい」という家庭には圧倒的な選択肢です。
OIS:IBのパイオニア的地位と30年超の蓄積
OISは1991年設立、関西で30年以上IBの教育実績を積んできた学校です。IB取得率96%・毎年卒業生全員が多言語話者・20%以上が40点超(世界上位8%)というデータが示す学力水準は、関西のIB校の中でも安定した高水準として評価されています。関西学院大学とのSIS(Two Schools Together)体制も持ち、大阪・箕面という立地で在籍約250名の小規模コミュニティを維持しています。
NLCS Kobe:期待値は世界最高水準だが実績はこれから
NLCS(ノースロンドン・カレジエイト・スクール)の本校は1850年創立、英国のIBDP平均スコアランキングトップを誇り、2023年度は45点満点中41.53点という世界最高水準の実績を持っています。韓国・済州のNLCS Jejuはオックスブリッジへ毎年5〜6名を輩出するなど、海外校も同水準の教育を維持している点が評価されています。
ただし神戸校は2025年9月1日に開校したばかりで、初年度の生徒数は約70名。IB認定も現時点では未取得であり、DPの卒業生が出るのは最短で5年以上先です。初代校長のマット・ウィリアムズ氏自身が「この学校は10年の歩み」と語っており、「今すぐIBの実績を確認したい」という家庭には向きません。
比較②:学費と費用感──「関西最高額」から「教育移住コスト」まで
3校の学費水準を正直に並べます。
カナディアンアカデミー:神戸IB校の最高額クラス
カナディアンアカデミーの年間授業料は約260万円(神戸のインター最高水準)。施設費・IT設備費・イヤーブック代が別途加わり、実質的な年間負担は300万円超になるケースも多いです。寮(Gloucester House)を利用する場合はさらに費用が増えます。
「神戸で学費ランキング1位(NLCS Kobe開校前まで)」という位置づけでしたが、現在はNLCS Kobeが280〜310万円台と上をいっています。
NLCS Kobe:学費は3校最高額だが「保護者英語力不要」という逆転メリット
NLCS Kobeの年間学費は280〜310万円台(2024/25年度公開情報)で、3校の中で最も高額です。ただしNLCS Kobeには他の2校にない大きな特徴があります。「保護者に英語力は必要ない」という公式スタンスです。
カナディアンアカデミーとOISでは書類・連絡・保護者会がすべて英語で、保護者に相応の英語力が求められます。NLCS Kobeは開校にあたって日本語対応を含む充実したサポート体制を整備しており、英語が苦手な日本人保護者家庭でも入学のハードルが下がっています。
OIS:非公開だが相場は150万円台後半〜
OISの年間授業料は非公開ですが、大阪・箕面という立地とインターの相場から、カナディアンアカデミーより低めの水準とみられています。関学大学との連携や独自の奨学金制度もあり、費用面ではいちばん柔軟性があるとされています。ただし寮がなく、箕面という郊外立地なので通学コストは考慮が必要です。
比較③:カリキュラム設計──「IB一貫教育の完成度」で見る
3校ともIBのDPを最終目標に置いていますが、「幼稚部からの一貫性」と「IB認定の現状」で差があります。
OIS:日本初のIB三認定(PYP・MYP・DP)を30年以上維持
OISは関西でIBのPYP・MYP・DPの三認定を持つ数少ない学校のひとつです。1994年にIBのDPを導入し、その後PYP・MYPの認定を重ね、現在は幼保から高等部まで完全なIB一貫教育を提供しています。また、SIS体制(関学大学との「Two Schools Together」連携)を活用したバイリンガルディプロマ取得者が卒業生の約24%を占めるという独自の実績があります。
カリキュラム上の特徴として、単なるIB一貫ではなく「日本語教育」「日本文化・伝統」の統合が実質的に組み込まれている点があります。英語と日本語の両方を育てるアプローチは、「英語だけのインター」に抵抗を感じる日本人家庭に評価されています。
カナディアンアカデミー:IB三認定+米国高校卒業資格のダブルオプション
カナディアンアカデミーもPYP・MYP・DPの三認定校で、加えてアメリカ式高校卒業資格(U.S. High School Diploma)の取得も可能です。IBを取らない選択肢も設けており、北米大学を目指す多様な生徒に対応できます。また、APAC(アジア太平洋アクティビティカンファレンス)の創設メンバーとして、スポーツ・演劇・音楽など課外活動の国際舞台も整っています。
NLCS Kobe:IB未認定・段階的開校中の「期待の新星」
NLCS Kobeは2025年9月にジュニアスクール(Year 1〜6)で開校し、2026年以降にYear 7、2027年にYear 8、2028年以降にYear 9〜12と段階的に学年を追加していく計画です。現時点でIB認定は取得していませんが、NLCSの全世界の海外校がIB認定を受けていることを踏まえると、認定取得は既定路線と見られています。
日本語と日本文化の独自カリキュラムをNLCS Kobeが独自に開発している点も特徴で、英国名門校の教育内容に「日本的な視点」を融合させるという設計です。2026年4月にはキンダーキッズインターナショナルスクール(全国展開のプリスクール)とMOUを締結し、関西の教育連携を広げています。
比較④:最新トピックで見る「今の3校」
最新の動きを踏まえると、3校の「現在地」がより鮮明に見えてきます。
OIS:IB取得率96%・2025年卒業生全員多言語話者という安定
OISの最新情報として注目すべきは、毎年の安定した実績の維持です。2025年卒25名全員が多言語話者という実績は、「数年に1度の外れ」ではなく「毎年の標準」として機能していることを示しています。在籍250名という規模の中で一人ひとりに手が届くコミュニティを維持しながら、IBの高い達成率を出し続けていることがOISの最大の特徴です。
カナディアンアカデミー:寮リノベーション完了と2024年進学実績
カナディアンアカデミーでは最近Gloucester House(寮)のリノベーションが完了し、寮機能が強化されました。2024年の進学先には早稲田大学(12名)・トロント大学(12名)・ICU(7名)・スタンフォード・コロンビア・オックスフォードが含まれており、在籍675名という関西最大規模のインターとして着実な実績を出しています。
NLCS Kobe:2025年9月1日開校・初年度70名・2028年六甲山新校舎へ
NLCS Kobeは2025年9月1日に六甲アイランドのAsia One Centerで正式開校しました。東京や海外から「NLCS Kobeのために移住してきた」家庭も含む初年度生徒約70名でスタート。2028年には六甲山国立公園内に新校舎を建設し、全寮制のシニアスクールを開校する計画が進行中です。神戸市長も開校式に登壇し、2025年の神戸空港の国際線就航との相乗効果に期待を示しました。
比較⑤:こんな家庭にはどの学校が向いている?
ここまでの比較を踏まえ、編集部なりの「家庭タイプ別の適合度」を整理します。
OISが向いている家庭
「小規模なコミュニティで手の届くIB教育を受けさせたい」「日本語教育と英語教育を両立させたい」「IBの実績が確認できる学校でないと不安」という家庭に最も向いています。在籍250名という規模は、先生と生徒の距離が近く、一人ひとりへの対応が手厚い環境を生み出しています。SISの関学大学連携という珍しい教育環境も、「日本の大学も視野に入れながらIBで育てたい」という家庭のニーズに応えています。
カナディアンアカデミーが向いている家庭
「北米大学(カナダ・アメリカ)に将来進学させたい」「110年の歴史と毎年の進学実績で学校を選びたい」「規模の大きい学校で多様な課外活動(APACなど)を経験させたい」という家庭向けです。スタンフォード・コロンビアへの実績は毎年出ており、「英語圏で活躍する人材に育てたい」という明確な目標を持つ家庭にとって、関西で最も信頼できる選択肢です。ただし学費260万円以上・保護者英語力が求められるという条件はしっかり確認が必要です。
NLCS Kobeが向いている家庭
「NLCSという世界トップクラスの教育ブランドに期待している」「保護者が英語を話せないが世界標準の教育を受けさせたい」「10年単位で成長する学校のコミュニティを一緒に作っていきたい」という家庭に向いています。ただし現時点でIB認定はなく、DPの実績も出るのは5年以上先という現実は正直に受け止める必要があります。初代校長自身が「10年の歩み」と語っているように、「今の実績より未来のポテンシャル」に賭ける家庭向けです。
編集部の一言:「実績のOIS・CA」vs「ポテンシャルのNLCS Kobe」という構図が関西IB教育の2025年
関西のIB教育を2025年時点で俯瞰したとき、この3校が示す構図は明確です。
OISとカナディアンアカデミーは「すでに実績が出ている学校」として、IBの進学実績を確認してから選べる安心感があります。OISはIB取得率96%・カナディアンアカデミーはIBDP平均33.8点という数字が毎年更新されており、「今入学しても同水準の教育が続く可能性が高い」という信頼性があります。
一方NLCS Kobeは「英国最高峰のIBDPスコア(41.53点)を持つ名門校ブランドが関西に来た」という期待値の高さで他2校にない魅力を持っています。保護者の英語力不要というアクセスしやすさ、2028年の六甲山寄宿学校という将来設計も、長期的な視点で考える家庭には刺さります。ただし今入学する家庭はいわば「初期ユーザー」として、学校の成長と一緒に走ることになります。
どちらが優れているかは「家庭の教育観と許容できるリスク感覚」次第です。実績で選ぶならOIS・CA、ポテンシャルで選ぶならNLCS Kobe。その選択に正解はありません。
おわりに
今回は関西のIB校3校──OIS・カナディアンアカデミー・NLCS Kobe──を、歴史・学費・カリキュラム・最新情報・家庭タイプ別の適合度という5軸で比較しました。
どの学校も見学会・説明会を定期的に開催しています。まずは気になる学校から実際に見学し、「子どもがここで過ごす姿が想像できるか」という直感を大切にしてください。数字や実績よりも、子どもが「ここで学びたい」と感じるかどうかが、最終的な判断基準になります。
皆さんのスクール選びの参考になれば幸いです!

