幼児期に英語を学ぶことには、多くのメリットがあります。小さな子どもは耳が柔軟で発音をそのまま真似しやすく、ネイティブに近い発音やイントネーションを習得しやすいとされています。
また、幼い頃から英語に触れておくことで言語への抵抗感が少なくなり、将来的に本格的に学習を始める際の土台づくりにもなります。
では、子どもに英語を身につけさせたいと考えたとき、自宅での学習とインターナショナルスクールのどちらが効果的なのでしょうか。家庭でオンライン英会話やアプリを使って学ぶ方法と、英語漬けの環境であるインターナショナルスクールに通う方法では、それぞれ特徴や得られる効果が異なります。本記事では、自宅学習とインターナショナルスクールそれぞれの英語習得効果の違いを比較し、幼児の英語学習にどちらが適しているかを考えてみます。親御さんが英語教育方法を選ぶ際のヒントになれば幸いです。
自宅学習とインターナショナルスクールの違い
違いを三つのポイントに分けてそれぞれ解説します。
- 学習環境の違い
- 学習の効率性
- 子どもの負担と適性
学習環境の違い
まず大きく異なるのは、子どもを取り巻く学習環境です。自宅学習の場合、基本的に日本語が主体の生活環境の中で、オンライン英会話レッスンや英語アプリ、親御さんとのやり取りを通じて英語に触れることになります。
日常生活の合間に英語の時間を作る形になるため、意識して環境を整えないと英語に触れる機会が限られがちです。
ただし家庭では子どものペースに合わせて進められる柔軟性があり、親子で楽しく遊びながら学ぶ工夫もしやすいでしょう。
一方、インターナショナルスクールでは生活そのものが英語に囲まれています。授業や遊び、先生との会話も友達とのやり取りもすべて英語で行われ、まさに英語漬けの毎日です。
このような環境では子どもは日常的に英語を使わざるを得ないため、リスニングやスピーキングの力が自然と磨かれていきます。
特に幼児期から通えば、耳が英語に慣れて発音もネイティブに近い形で身につきやすくなると言われています。さらにインターナショナルスクールには多国籍な友達が集まることが多く、異文化に触れながら英語を学べる点も特徴です。
このように、家庭と学校では英語に触れる量と質が大きく異なるため、学習環境から得られる効果にも違いが出てきます。
学習の効率性
次に、英語習得の効率性という視点で比較してみましょう。自宅学習の利点は、子どもの習熟度や気分に合わせて柔軟に進められる点です。
例えば理解が早ければどんどん先に進めますし、飽きてしまったら休憩して別のアクティビティに切り替えることも容易です。家庭にいながらオンライン教材などを活用すれば、送り迎えの時間も省けて効率的です。
ただし、自宅での学習は継続が大きな課題になります。子どもは興味が移り変わりやすいため、親がある程度計画を立てて習慣づけをしないと、せっかく始めても長続きしない恐れがあります。「今日は忙しいからお休み」といった日が続くと英語に触れる機会が減り、効果も上がりにくくなるでしょう。
つまり、家庭学習では自発的に学ぶ姿勢を引き出し、いかに継続するかが効率よく身につける鍵となります。
一方でインターナショナルスクールは、半強制的にでも毎日英語を使う場に身を置けるため学習効率は高いと言えます。日々の授業や遊びの中で常に英語を耳にし口にするので、特別な勉強時間を設けなくても自然と英語力が育まれます。
特にスピーキングやリスニングといった技能は、使わざるを得ない環境にいることで着実に伸びていきます。ただし、効率が良い反面費用の面でハードルがあります。インターナショナルスクールは年間の学費が数百万円にのぼるのが一般的であり、経済的コストを考えると必ずしも誰もが気軽に選択できる方法ではありません。学費に見合った効果が得られるか、家計とのバランスも考慮する必要があります。
また、一日中英語環境とはいえ学校ですので、英語の習得自体は授業カリキュラムに沿って進むため、個々の子どものペースや興味に完全に合わせられるわけではありません。その点、自宅学習なら子どもの興味に沿った教材や進め方を工夫できるメリットも再確認できます。総じて、時間効率や習得スピードではインターナショナルスクールが有利なものの、費用対効果や家庭状況によっては自宅学習の方が現実的・効率的というケースもあるでしょう。
子どもの負担と適性
最後に、子ども本人への負担や適性という観点です。まず自宅学習は、子どもにとって馴染みのある家庭内で進められるので心理的な負担が少ない傾向にあります。パパやママと一緒にゲーム感覚で始められれば、子どもは「勉強」より「遊び」の延長として英語に触れることができます。いつものおうちでリラックスしながら取り組める分、緊張やストレスが少なく、英語嫌いになりにくい利点があります。ただし飽きっぽい年頃でもあるため、楽しさを維持する工夫をしないと途中で嫌がってしまう可能性もあります。「今日は歌で英語、明日は絵本」といったように変化をつけたり、頑張ったらシールを貼るなどご褒美を用意したりして、継続意欲を引き出す仕掛けが有効です。
一方、インターナショナルスクールは本格的に英語漬けの環境に飛び込むため、子どもにとっては大きなチャレンジです。コミュニケーションの大半を英語で行うので、積極的に話せる子や新しい環境が好きな子には刺激的で楽しい場となるでしょう。毎日英語を使って成功体験を積むことで自信にもつながります。しかし、内気で慎重な性格のお子さんだと、最初は戸惑いやストレスを感じるかもしれません。インターナショナルスクールでは自己表現の積極性が求められる場面も多く、恥ずかしがり屋の子どもだと馴染むまでに時間がかかる場合があります。
実際、「最初の半年は全く話さなかったけれど徐々に笑顔が増えた」という声も聞かれるように、環境に慣れるまでは精神的負担が大きくなる可能性も否定できません。加えて、言語だけでなく生活習慣や文化の違いにも適応する必要があるため、小さな子どもにとっては見えない疲れが溜まることもあります。そのため、子どもの性格や様子をよく観察し、必要に応じてフォローすることが大切です
以上のように、自宅学習とインターナショナルスクールそれぞれにメリット・デメリットが存在します。学習環境の違いや効率性、子どもの適性などを踏まえ、ご家庭の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
自宅学習を効果的に進める方法
インターナショナルスクールには魅力的な点が多いものの、経済的・時間的な理由から「まずは自宅で英語をやらせてみたい」と考える親御さんも多いでしょう。自宅学習で効果を上げるためには、いくつかのコツがあります。ここからは、家庭で幼児の英語学習を進めるうえで効果的な方法を３つ紹介します。
- オンライン英会話の活用
- アプリを活用した学習法
オンライン英会話の活用
幼児向けのオンライン英会話サービスを利用するのは、自宅でできる学習法として非常におすすめです。オンライン英会話とは、インターネットを通じて英会話レッスンを受けられるサービスのことで、パソコンやタブレットで外国人講師とリアルタイムに会話練習ができます。最近は3歳や4歳でも受講できる子ども専用のオンライン英会話も増えており、歌やゲームを交えたレッスンで楽しませてくれる工夫があります。マンツーマンのレッスンが基本なので、シャイなお子さんでも周りを気にせず参加でき、講師も子どものペースに合わせてくれるところが多いです。
オンライン英会話のメリットは、なんといっても手軽さと続けやすさです。自宅にいながら好きな時間にレッスンを予約できるため、送り迎えの負担がありません。
また費用も月額数千円程度からとインターナショナルスクールに比べて格安で始められるものがほとんどです。
毎日ではなく週に数回からでも利用できる柔軟さも魅力でしょう。一方で効果を出すためには、子どもが積極的に話すようサポートすることが大切です。
小さい子は初めは画面の向こうの先生に戸惑うかもしれません。親御さんがそばで声がけしたり、「先生に〇〇って言ってみよう！」と促したりすると、徐々に慣れて笑顔で話せるようになることが多いです。レッスンを嫌がるときは無理強いせず、好きな教材（例えばお気に入りのぬいぐるみを見せてあげる等）を使って講師とコミュニケーションしてみるのも良いでしょう。継続のコツとしては、レッスンの時間を習慣化することです。例えば毎週○曜日の○時は英会話、という風に決めてしまえば子どももリズムをつかみやすくなります。また、お気に入りの講師を見つけて固定予約することで人見知りを避け、安心して受講できるようになります。オンライン英会話は継続すればするほど効果が出やすいので、楽しみながら長く続けられる工夫をしてみてください。
アプリを活用した学習法
次に、英語学習アプリの活用です。スマートフォンやタブレット向けの子ども向け英語アプリは年々充実してきており、遊び感覚で英語に親しめるものがたくさんあります。例えば、アルファベットの形と音をパズルで覚えるゲームや、簡単な英単語を聞いて当てるクイズ、英語の歌に合わせてタップするリズムゲームなど、多彩なアプリが存在します。「ゲームで遊んでいたらいつの間にか英語も覚えていた！」という理想的な体験ができるのがアプリ学習の強みです。実際、最近の英語アプリは英語初心者のキッズでも直感的に遊べるよう工夫されており、親の手助けがなくても取り組めるものも増えています。
言い換えれば、小さなお子さんでも機嫌がいいときに自分から進んで触ってくれる可能性が高いのです。
では、アプリ学習を効果的に行うにはどうしたら良いでしょうか。まず大切なのはアプリの選び方です。対象年齢や学習内容を確認し、お子さんの興味に合いそうなものから試してみましょう。最初はカラフルな絵や音が出るだけでも子どもは楽しめるので、アルファベットや数字に触れる入門的なものでも十分です。慣れてきたら簡単な単語やフレーズを学べるもの、フォニックス（英語の発音ルール）に触れられるものなど段階的にステップアップしてみてください。無料で使えるお試し版があるアプリも多いので、いくつか試して子どもが夢中になれるものを見つけると良いでしょう。
アプリ学習のポイントは、遊びの延長にすることです。「勉強しなさい」と言われると嫌がる子でも、タブレットでゲームとなれば喜んで取り組むことがあります。例えば毎日寝る前の10分間をアプリで遊ぶ時間にすると習慣化しやすいですし、「今日もパズルやってみる？」と声をかけて自発的に起動させるよう促すのも効果的です。保護者の方は内容をときどき見守り、「すごいね！○○できたね」と成果を褒めてあげてください。たとえ親御さんが英語に自信がなくても、アプリ上達を一緒に喜ぶ姿勢が子どものモチベーションにつながります。注意点として、画面の見すぎにならないよう時間を決める、操作や課金の管理を大人がしっかり行うことも忘れずに。上手に活用すれば、アプリは強力な家庭英語の先生になってくれるでしょう。
自宅学習とインターナショナルスクール、それぞれの特徴と効果を見てきましたが、結局のところ「どちらが良いか」は家庭の状況や子どもの性格によって異なります。
経済的・時間的に無理のない方法を選ぶことはもちろん大切ですし、お子さん自身がその環境を楽しめるかどうかも重要なポイントです。無理なく続けられる英語教育を実践していきましょう。
