「海外大学への出願では、本人がPDFをアップロードしてもよい?」
「退学後でも英語の成績証明書を発行してもらえる?」
インターナショナルスクールから別の学校へ転校するときや、海外大学へ出願するときに必要になるのがTranscriptです。
日本語では一般的に「成績証明書」と訳されますが、学期ごとに家庭へ配られる成績表と、まったく同じ書類とは限りません。
トランスクリプトには、在籍中に履修した科目、取得した成績、単位数などがまとめられ、学校が内容を正式に証明します。
一方、普段のReport Cardには、教師からのコメント、学習態度、課題の達成度など、家庭へ学習状況を伝えるための詳しい情報が含まれることがあります。
先に結論をお伝えすると、トランスクリプトを準備するときは、次の4点を確認する必要があります。
- 転校先や大学が求める期間
- OfficialとUnofficialのどちらが必要か
- 誰から誰へ送る必要があるか
- 学校の発行日数と締め切り
この記事では、トランスクリプトの記載内容、成績表やIB Transcriptとの違い、申請から提出までの流れを解説します。
トランスクリプトとは正式な学習記録
トランスクリプトは、生徒が学校で履修した科目と成績をまとめた正式な記録です。
名古屋国際学園では、高校生のTranscriptを、履修科目、成績、取得単位を記載した1ページの書類と説明しています。(nis.ac.jp)
一般的には、次の情報が記載されます。
- 生徒の氏名
- 生年月日や生徒番号
- 学校名
- 在籍期間
- 学年
- 履修科目
- 学期・年度ごとの成績
- 取得単位
- 累積単位
- GPA
- 卒業日または卒業予定日
- 学校の署名・印章
- 発行日
ただし、記載項目は学校によって異なります。
たとえば、名古屋国際学園の高校Transcriptには科目、成績、単位が記載されますが、GPAは受け取った学校側が計算すると案内されています。(nis.ac.jp)
つまり、トランスクリプトにGPAが書かれていないからといって、不完全な書類とは限りません。
成績表・トランスクリプト・IB Transcriptの違い
インターナショナルスクールでは、似た書類が複数あるため、目的を分けて考えましょう。
| 書類 | 主な目的 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Report Card | 家庭へ学習状況を伝える | 成績、教師コメント、学習態度など |
| School Transcript | 転校・大学出願で学校歴を証明する | 科目、成績、単位、GPAなど |
| IB Transcript | IBの正式な最終結果を証明する | IB科目別成績、合計点、取得結果 |
| Certificate of Enrollment | 現在または過去の在籍を証明する | 在籍期間、学年など |
| Graduation Certificate | 卒業したことを証明する | 卒業日、課程など |
既存のインターナショナルスクールチョイスの記事では、IBの評価基準や教師コメントなど、成績表の読み方を解説しています。本記事で扱うトランスクリプトは、家庭向けの学習報告というより、ほかの教育機関へ提出する公式記録です。(schoolchoise.com)
IB Transcriptは学校のTranscriptと別物
IB Diplomaを履修している場合、学校が作成する高校Transcriptとは別に、IBが正式な結果を証明するTranscriptがあります。
IBのTranscriptは、MYP、DP、CPの公式成績記録であり、原則としてIBから大学などの高等教育機関へ直接送付されます。生徒本人や一般の組織へ送る書類ではありません。(ibo.org)
大学によっては、次の両方を求めます。
- 学校が発行する高校Transcript
- IBが発行する最終結果のTranscript
「IBの成績を送ったから高校の成績証明書は不要」と自己判断せず、出願要項を確認しましょう。
Official TranscriptとUnofficial Transcriptの違い
トランスクリプトには、OfficialとUnofficialがあります。
Official Transcript
学校が正式に発行し、内容が改変されていないことを確認できる書類です。
一般的には、次の方法で提出されます。
- 学校から提出先へ直接送付
- 学校担当者が出願システムへアップロード
- 封印された封筒で提出
- 認められた電子送付システムを利用
名古屋国際学園では、高校のOfficial Transcriptを出願元の学校から直接送るか、学校が封印した未開封の封筒で提出するよう求めています。必要書類が適切に届かない場合、入学審査が遅れる可能性があります。(nis.ac.jp)
Unofficial Transcript
生徒や保護者が内容確認に使うコピーです。
PDFのダウンロード、保護者ポータルの画面、封印されていないコピーなどが該当します。
出願の初期段階ではUnofficial Transcriptを受け付ける学校もありますが、合格後や入学前にはOfficial Transcriptを求められることがあります。
本人から送るとOfficialにならない?
提出先の規定によりますが、生徒本人からメールで送ったPDFはOfficialとして認められないことがあります。
Common Appでは、Official Transcriptは原則として学校のカウンセラーがSchool Reportの一部として提出します。生徒がCourses & Gradesへ成績を自己入力する大学でも、カウンセラーによる正式なTranscriptの提出は必要です。(commonapp.org)
提出先が「学校から直接送付」と指定している場合は、保護者が受け取ったPDFを転送しないようにしましょう。
小学生や中学生にもトランスクリプトはある?
高校生のような単位制のTranscriptが、すべての学年にあるとは限りません。
小学生・中学生の転校では、次の書類が使われることがあります。
- 過去2〜3年分のReport Card
- 現在学期のProgress Report
- 在籍証明書
- 出席記録
- 標準テストの結果
- 教師の推薦状
- 学習支援・英語支援の記録
名古屋国際学園では、幼児部からGrade 5までの児童とGrade 6〜8の生徒について、過去3年分のReportを正式なスタンプ付きでまとめ、退学時の最終記録として提供しています。高校生には、科目・成績・単位をまとめた1ページのTranscriptを発行しています。(nis.ac.jp)
比較の視点
学校選びでは、トランスクリプトがあるかどうかだけでなく、転校先が理解できる形で学習履歴を説明できるかを確認することが重要です。
特にPYPや探究型学習では、数字の成績が少なく、教師コメントや評価基準が中心になることがあります。
その場合は、次の資料も転校先の判断に役立ちます。
- カリキュラム概要
- Grading Scale
- 学年の対応表
- 学習ポートフォリオ
- MAPなど外部テストの結果
- EALやLearning Supportの記録
成績の数字だけでなく、どのカリキュラムで何を学んだかまで伝えられる学校は、国をまたぐ転校でも学年配置や履修判断を進めやすくなります。
トランスクリプトが必要になる主な場面
インターナショナルスクールへの転校
転校先は、現在の学年、学力、履修内容を確認するために過去の学校記録を求めます。
名古屋国際学園では、面接前に過去2年間のTranscriptや学校記録を提出するよう案内しています。高校志願者にはOfficial Transcriptが必要です。(nis.ac.jp)
海外大学への出願
大学は、科目ごとの成績、履修難易度、単位、成績の推移を確認します。
Common Appでは、学校のカウンセラーがTranscriptとSchool Profileを提出します。School Profileには、カリキュラム、成績評価方法、履修できる上級科目などが記載され、大学が成績を学校の環境に沿って理解するために使われます。(commonapp.org)
日本の大学への出願
日本の大学でも、インターナショナルスクール出身者に英文または和文の成績証明書を求める場合があります。
必要な学年、原本の提出方法、厳封の有無、翻訳の条件は大学・入試方式によって異なります。
転居・ビザ・会社手続き
転居先の学校への登録、教育費補助、在籍履歴の確認などで必要になることがあります。
ただし、在籍していた事実だけを証明する場合は、TranscriptではなくCertificate of EnrollmentやCertificate of Attendanceが適していることもあります。
発行にはどのくらい時間がかかる?
発行日数は学校や時期によって異なります。
Saint Maur International Schoolでは、卒業生・退学者がTranscriptを申請する場合、希望期限の10営業日以上前にフォームを提出するよう案内しています。12月中に受け付けた申請は、休暇のため翌月に処理されます。(stmaur.ac.jp)
名古屋国際学園では、退学時に書類を受け取るため、最終登校日の約1週間前からCheckout Formの確認を進めます。過去3年を超えるReportが必要な場合も、少なくとも1週間前の依頼が必要です。(nis.ac.jp)
出願締め切りの直前ではなく、次のような日数も見込んで準備しましょう。
- 学校内での発行・承認
- 校長やRegistrarの署名
- 翻訳
- 郵送
- 電子システムへの登録
- 提出先での受領処理
- 不備があった場合の再発行
特に夏休みや年末年始は、学校の事務室が閉まる可能性があります。
発行を止められるケースに注意
学校によっては、未払い費用や未返却物があると、トランスクリプトを発行しない規定があります。
ASIJでは、学費などの支払いが滞っている場合、成績、Transcript、在籍記録などの発行を制限できるとしています。(asij.ac.jp)
名古屋国際学園でも、紛失・破損した教科書、図書館の本、IT機器、未払い料金などがある場合、支払いが確認されるまで学校記録やTranscriptは発行されません。(nis.ac.jp)
退学や転校時には、次の項目を早めに確認しましょう。
- 授業料・バス代・給食費の未払い
- 図書館の本
- 学校貸与端末
- 充電器や付属品
- スポーツユニフォーム
- ロッカーキー
- 破損した教材の費用
学期途中の退学では最新成績が載らないこともある
学期の途中で退学する場合、その学期の正式な成績がまだ確定していない可能性があります。
名古屋国際学園では、現在学期のReportは学期終了後に発行され、早期発行はできないと案内しています。高校のTranscriptにも、正式に確定した科目・成績・単位が反映されます。(nis.ac.jp)
転校先が最新の学習状況を必要としている場合は、次の書類を発行できるか相談しましょう。
- Interim Report
- Progress Report
- Current Grade Report
- Current Course List
- Teacher Comment
- Unofficial Transcript
正式なTranscriptと、現在の途中経過を示す書類を組み合わせることで、空白期間を説明しやすくなります。
成績証明書の提出は紙から電子へ
現在は、紙の厳封書類だけでなく、学校や試験機関から提出先へ直接送る電子Transcriptが広く使われています。
Common Appでは、学校カウンセラーがTranscriptをSchool Reportへ添付して大学へ提出します。(commonapp.org)
IBも、大学側が安全なシステム上で公式Transcriptを受け取れる仕組みを提供しています。結果発表前は学校のIB Coordinatorなどを通じて申請し、結果発表後は卒業生本人がIBの申請サービスから大学への送付を依頼できます。(ibo.org)
電子送付であっても、保護者や生徒がPDFをメールする方法と、学校・IBから正式に送付する方法は異なります。
提出後は、出願ポータルで「Received」「Complete」などの表示を確認しましょう。
口コミ・評判から見える生徒と保護者の悩み
大学出願や転校に関するオンライン相談では、トランスクリプトについて次のような悩みが見られます。
- 過去に通った学校の成績が提出されていなかった
- Counselorが期限までに書類を送ったか確認できない
- 自分で印刷したIB結果がOfficialとして使えるか分からない
- 転校前の学校と現在の学校のどちらへ依頼するか迷う
- 大学側のポータルで未着のままになっている
- 申請から送付までの日数を見落としていた
最近の海外大学出願に関する投稿では、以前の学年のTranscriptが大学へ届いていなかったことを、審査後に知ったという相談がありました。また、IBの結果画面を印刷すればOfficial Transcriptになるのか迷う生徒の相談も見られます。(reddit.com) (reddit.com)
これらは個別の投稿であり、すべての出願に当てはまるものではありません。
一方で、「学校へ頼んだから終わり」ではなく、提出先が正式に受領したかまで確認する必要があることが分かります。
家庭で作りたい学校記録ファイル
転校や大学出願の予定がなくても、毎年の学校記録を家庭で保存しておきましょう。
保存する書類
- Report Card
- Unofficial Transcript
- Official Transcriptのコピー
- 在籍証明書
- 出席記録
- MAPなど標準テストの結果
- IB・IGCSE・APなどの結果
- EAL・Learning Supportの記録
- School Profile
- Grading Scale
- 履修科目と単位の一覧
ファイル名の例
- Grade9_Semester1_Report.pdf
- Grade10_Official_Transcript.pdf
- School_Profile.pdf
- IB_Predicted_Grades.pdf
- Enrollment_Certificate.pdf
学校ポータルへ退学後もログインできるとは限りません。
成績表や作品、カリキュラム資料は、在学中に家庭のクラウドや端末へ保存しておきましょう。
編集部の一言|学校選びでは「記録を持ち運べるか」も確認しよう
インターナショナルスクールでは、家庭の転勤や海外移動によって、学校をまたぐ可能性があります。
そのため、教育内容だけでなく、学んだ内容を次の学校や大学へ正確に伝えられるかも重要な比較項目です。
編集部として確認したいのは、次の点です。
- 英文のOfficial Transcriptを発行できるか
- 発行までの日数が明確か
- 学校から提出先へ直接送付できるか
- 紙と電子の両方に対応しているか
- School Profileを作成しているか
- 転校前の成績も引き継いで管理しているか
- 小中学生には何を正式記録として発行するか
- 卒業・退学後も申請できるか
特に独自カリキュラムを採用している学校では、数字の成績だけでは、転校先が学習内容を判断しにくい場合があります。
Transcriptに加えて、カリキュラム概要、評価方法、履修時間、School Profileまで提供できる学校は、生徒の学習歴を国を越えて説明しやすいといえるでしょう。
よくある質問
成績表のコピーを転校先へ送ればよいですか?
転校先がUnofficialな書類を認めていれば、審査初期に使える場合があります。
ただし、Official Transcriptや学校が厳封した成績表を求められた場合は、現在の学校から正式に提出してもらう必要があります。
トランスクリプトは日本語に翻訳する必要がありますか?
提出先の条件によります。
日本語訳、英語訳、学校による証明、翻訳者による証明など、指定が異なります。自分で翻訳する前に募集要項を確認しましょう。
退学後でも発行してもらえますか?
多くの学校では卒業生・退学者向けの申請窓口がありますが、発行日数や料金が設定される場合があります。
連絡先が変わる可能性もあるため、退学前にRegistrarやAcademic Officeの連絡先を保存しておきましょう。
IBの結果画面を印刷すればOfficial Transcriptになりますか?
通常、本人が印刷した結果画面は、大学へ直接送られるIBのOfficial Transcriptとは異なります。
提出先が正式書類を求める場合は、IBの指定手続きで送付を依頼してください。
転校を繰り返した場合、すべての学校の成績が必要ですか?
提出先によって異なります。
現在の学校のTranscriptに過去の成績がすべて含まれている場合と、各学校から別々に送る必要がある場合があります。出願先へ確認しましょう。
おわりに
インターナショナルスクールのトランスクリプトは、転校先や大学へ学習履歴を正式に伝える成績証明書です。
普段の成績表とは異なり、主に次の内容がまとめられます。
- 履修科目
- 学期・年度ごとの成績
- 取得単位
- GPA
- 在籍期間
- 卒業・修了情報
申請時には、次の点を確認しましょう。
- 必要な学年・期間
- OfficialかUnofficialか
- 学校から直接送付する必要があるか
- 紙・電子のどちらで提出するか
- 発行日数と手数料
- 学期途中の成績をどう補うか
- IB Transcriptも別に必要か
- 提出先で受領されたか
トランスクリプトは、単に過去の点数を並べた紙ではありません。
子どもがどの学校で、どのカリキュラムを学び、どの単位を取得したかを、次の教育機関へ引き継ぐための重要な記録です。
転校や出願の直前に慌てないよう、毎年の成績表と学校記録を家庭でも保存しておきましょう。
皆さんのスクール選びと進路準備の参考になれば幸いです!

