インターナショナルスクールのIBのPredicted Gradesとは?

こんな人向けの記事です
  • IBのPredicted Gradesは、模擬試験の点数だけで決まるの?
  • 予測スコアが志望大学の条件に届かなかったら出願できない?

「先生に相談すれば、Predicted Gradeを上げてもらえる?」

「予測成績と最終試験の結果が違ったら、大学の合格はどうなる?」

IB Diploma Programmeで大学進学を目指す際に、重要になるのがPredicted Gradesです。

日本語では「予測成績」「予測スコア」「見込み成績」などと呼ばれます。

IBの最終試験結果は、大学への出願時点ではまだ発表されていないことがあります。そのため、学校の教師が「この生徒は最終的にどの成績へ到達すると考えられるか」を予測し、大学出願に使用します。

ただし、Predicted Gradesは、生徒の希望点や直近の試験結果をそのまま提出するものではありません。

IB公式は、Predicted Gradeを、これまでの学習成果に関するすべての証拠と、教師のIB基準への理解をもとに予測する成績と定義しています。過大評価・過小評価を避け、可能な限り正確に判断することが求められています。

この記事では、Predicted Gradesの決まり方、大学出願での使われ方、最終成績との違い、予測を改善するためにできることを解説します。

Predicted Gradesとは最終成績ではない

Predicted Gradeは、教師が現時点の証拠から予測する、IB最終成績の見込みです。

科目ごとに1〜7の成績が予測され、Theory of Knowledge(TOK)とExtended Essay(EE)についても予測評価が作成されます。

IB Diplomaの最終成績は、6科目で最大42点、TOKとEEによるCore Pointsを含めて最大45点です。

学校によっては、科目別の予測に加えて、

Predicted IB Score:38/45

のように、大学出願用の合計予測スコアを示します。

ただし、Predicted Gradesと最終結果には次の違いがあります。

成績主な意味
School Report Grade学校内の授業・課題・試験に対する成績
Predicted Grade教師が予測するIB最終成績
Final IB GradeIBの外部試験・内部評価などをもとに決まる正式成績
University Offer Condition大学が入学条件として指定する必要成績

学校の成績表でAを取っていても、自動的にIB Grade 7が予測されるわけではありません。

反対に、一度の試験で低い点数を取っても、それまでの学習成果や改善傾向を含めて判断されることがあります。

Predicted Gradeは「この点数を必ず取れる」という保証ではなく、現時点で最も妥当だと考えられる予測です。

Predicted Gradesは何をもとに決まる?

学校ごとに細かな計算方法は異なりますが、一般的には次のような証拠が使われます。

  • 授業内の課題やテスト
  • 学期末試験
  • Mock Exam
  • Internal Assessment(IA)
  • Oral・Presentation
  • 実験レポート
  • 過去のReport Grade
  • 最近の成績推移
  • IBのGrade Descriptors
  • 教師が把握している学習状況

IBのGrade Descriptorsは、Grade 7・6・5などに相当する学習成果の特徴を示したものです。教師が成績を報告したり、最終成績を予測したりする際にも使用されます。

Mock Examだけで決まるわけではない

Mock Examは、本番と近い環境で現在の実力を確認できるため、重要な証拠の一つです。

しかし、IB公式の定義では、Predicted Gradeは生徒の学習成果に関する「すべての証拠」をもとに判断します。

実際にInternational School of The Hagueでは、授業内の成果、IA、総括的評価、校内試験、Report Gradeなどを使って予測し、その後のMock Examや正式な評価結果を踏まえて再確認すると説明しています。

日本のMarist Brothers International Schoolが公開しているIBDP Handbookでも、2年間の学習成果、Mock Exam、校内試験、IB Grade Descriptorsなどを予測の根拠として挙げています。

そのため、模擬試験の点数がそのままPredicted Gradeになるとは限りません。

一方で、Mock Examで本番形式の問題に対応できない場合、教師が高い成績を予測するための証拠が不足する可能性があります。

学校によってPredicted Gradesの運用は異なる

Predicted Gradesについて、特に学校差が出やすいのは次の項目です。

比較項目学校による違い
予測を作成する時期DP1終了時、DP2開始時、出願直前など
更新回数1回のみ、複数回更新
重視する評価Mock、IA、校内試験、授業成果など
生徒への開示開示する、面談時のみ共有、非公開
修正の相談新しい証拠があれば検討、原則変更なし
大学への提出方法カウンセラー、推薦者、学校事務局など

たとえばZurich International Schoolでは、Predicted Gradesを複数の時期に作成し、生徒の学習の進展を反映させる運用を公開しています。予測は単純な平均ではなく、学習の軌跡を踏まえたEvidence-based Projectionと説明されています。

つまり、同じIB認定校でも、いつの成績が大学へ提出されるかは異なります。

DP開始時には、次の内容を学校へ確認しましょう。

  • 最初のPredicted Gradesはいつ作られるか
  • 大学出願用の成績はいつ確定するか
  • Mock Examはどの程度重視されるか
  • Predicted Gradesを生徒へ開示するか
  • どのような場合に再検討されるか
  • 日本・英国・米国で提出方法が異なるか

Predicted Gradesは大学出願でどう使われる?

英国大学への出願

UCASでは、学校やカレッジが、受験生が通常または良好な状況で達成すると考えられる成績をPredicted Gradesとして提出します。

大学はPredicted Grades、学校からのReference、これまでの成績、志望理由などを使って審査します。

ケンブリッジ大学も、未受験の資格についてPredicted Gradesを確認し、出願者の将来的な可能性を理解するために使用すると説明しています。

合格時には、次のようなConditional Offerが出る場合があります。

IB 40 points overall, with 776 at Higher Level

これは「最終結果で総合40点、HL科目で7・7・6を取ること」などを条件とする合格です。

Predicted Scoreが42点で合格しても、大学の条件が40点なら、最終結果で満たすべきなのは原則として大学から提示された条件です。

日本の大学への出願

日本の大学でも、IB最終結果の発表前に出願する場合、Predicted Gradesの提出を求めることがあります。

IBは、日本の大学へ出願する生徒を支援するため、Predicted Gradesを提出する標準テンプレートを用意しています。

ただし、大学・学部によって、

  • Predicted Gradesで出願できる
  • 最終IBスコアが必要
  • 条件付きで合格を出す
  • 入学までにDiploma取得証明が必要
  • 学校の成績表や英語試験も必要

などの違いがあります。

「IB利用入試」と書かれていても、Predicted Gradesを受け付けるとは限りません。出願年度の募集要項を確認しましょう。

国や大学によって重視度が違う

Predicted Gradesは重要な資料ですが、すべての大学が同じ方法で使用するわけではありません。

大学によっては、次の情報も重視します。

  • Grade 9〜11までのTranscript
  • School Report
  • 推薦状
  • SAT・ACT
  • IELTS・TOEFL
  • Personal Statement・Essay
  • 面接
  • 課外活動
  • 志望学部に必要なHL科目

IBは、大学ごとのIB認定方針、必要科目、必要スコアを確認できるデータベースを公開しています。

Predicted Scoreだけで出願先を決めず、大学ごとの審査方法を調べることが重要です。

Predicted Gradesは後から変更できる?

学校が大学へ提出する前であれば、新しい学習成果を根拠に、予測が再検討される場合があります。

ただし、「志望大学の条件に足りないから」という理由だけで、成績が上がるとは限りません。

IBはPredicted Gradeについて、保護者や生徒を満足させるための数字、過去のGrade Boundaryを機械的に当てはめる計算、特別な事情を補償するための点数ではないと説明しています。

UCASへ出願を送信した後は、UCAS上でPredicted Gradesを追加・削除・変更できません。修正が必要な場合は、出願先の大学へ相談する必要があります。

そのため、「出願直前に先生へ頼めば変えられる」と考えず、学校の確定期限より前に、成績の根拠を積み上げる必要があります。

Predicted Gradesを上げるためにできること

Predicted Gradeを上げる最も確実な方法は、教師へ点数の変更を依頼することではなく、より高い成績を予測できる新しい証拠を示すことです。

学校の決定ルールを確認する

まず、次の情報を確認します。

  • 予測成績の確定日
  • 使用される評価
  • 各評価の比重
  • Mock Examの日程
  • IA・EE・TOKの締め切り
  • 再検討を依頼できる時期

学校のルールを知らないまま学習していると、出願用の成績が確定した後に成果を出しても反映されない可能性があります。

Grade Descriptorsとの差を確認する

教師へ「どうすれば7になりますか」と聞くだけではなく、

Which parts of the Grade 7 descriptor am I not demonstrating consistently yet?

Grade 7の基準のうち、現時点で継続的に示せていない部分はどこですか?

と具体的に質問します。

「知識が足りない」「分析が浅い」「設問への対応が弱い」「時間内に完成できない」など、改善すべき内容を明確にしましょう。

IAを後回しにしない

Internal Assessmentは、科目によって形式や比重が異なりますが、最終成績を構成する正式な評価の一つです。IBのDPでは、外部評価と教師による内部評価の両方が使われます。

IAの進捗が悪い状態では、教師が高い最終成績を予測しにくくなる可能性があります。

締め切り直前に完成させるのではなく、リサーチ、下書き、フィードバック、修正の時間を確保しましょう。

Mock Examは「結果」より原因を分析する

Mock Examの点数が低かった場合は、単純に問題数を増やすだけではなく、失点原因を分類します。

  • 知識不足
  • 設問の読み違い
  • 時間不足
  • 評価基準に合わない書き方
  • 計算ミス
  • 引用・根拠不足
  • 英語表現に時間がかかった

教師に答案を見てもらい、本番までに修正できる課題を整理しましょう。

6科目全体のバランスを見る

Predicted Scoreを1点上げるために、Grade 5を7にするより、Grade 5を6にする方が現実的な場合があります。

得意科目だけに時間を使いすぎず、現在Grade Boundary付近にいる科目を確認しましょう。

ただし、志望学部がHL Mathematicsで6以上など、科目別条件を指定している場合は、その科目を優先する必要があります。

予測精度を高める動きが進んでいる

IBが2026年5月に公開した評価原則の資料では、Predicted Gradeを重要な評価データと位置づける一方、教師がすべての生徒を完全に予測するのは難しいことも認めています。

そのうえで、学校ごとの予測と実際の結果に大きな差がある場合、追加の品質確認を行う仕組みが説明されています。

英国のUCASも、学校が提出したPredicted Gradesと実際の成績を比較できる個別レポートの試験運用を開始しています。1,000校以上を対象に、予測の傾向を把握し、生徒の進路選択を支援する取り組みです。

今後は、単に高い予測を出す学校よりも、実際の結果とのずれを検証し、予測精度を改善できる学校がより重視されると考えられます。

保護者・生徒の声から見える悩み

IB生のオンライン上の相談では、Predicted Gradesについて次のような不安が見られます。

  • Mock Exam一回で決められるのではないか
  • 担当教師によって評価が厳しく感じる
  • 学校が予測成績を生徒へ教えてくれない
  • これまで7だった科目が突然5と予測された
  • 最終結果が予測より大幅に低かった
  • 学校の予測が高すぎて大学の条件を満たせるか不安
  • 予測成績に納得できないが、教師へ相談しづらい

実際に、Mock Examが公式予測へどの程度影響するのか、学校からPredicted Gradesを開示してもらえないこと、教師による評価差などに悩む投稿が確認できます。

これらは個別の体験談であり、すべてのIB校に当てはまるものではありません。

しかし、評価基準や確定時期が十分に説明されていないと、生徒や家庭が不公平感を持ちやすいことが分かります。

学校には点数の交渉ではなく、次の内容を確認しましょう。

  • どの証拠が使われたか
  • IB Grade Descriptorsのどの段階にいるか
  • 次回の更新機会はあるか
  • 改善を示すために必要な課題は何か
  • 大学出願先をどのように調整すべきか

編集部の一言|高い予測を出す学校が良い学校とは限らない

Predicted Gradesが高ければ、出願できる大学の選択肢は広がります。

しかし、実力より大幅に高い予測で条件付き合格を得ても、最終試験で大学の条件を満たせなければ、入学できない可能性があります。

編集部として学校比較で注目したいのは、予測スコアの高さではなく、次の点です。

  • 決定方法が明文化されているか
  • 一度の試験だけに依存していないか
  • 複数の教師やIB Coordinatorによる確認があるか
  • 生徒へ改善点を具体的に説明するか
  • 予測と最終結果の差を検証しているか
  • 大学条件に応じた出願戦略を相談できるか
  • 高すぎる予測・低すぎる予測の両方を防いでいるか

学校説明会では、次のように質問してみましょう。

How are IB predicted grades determined and moderated across subjects?

IBのPredicted Gradesは、科目ごとにどのように決定・調整されていますか?

How closely have the school’s predicted grades matched final IB results in recent cohorts?

近年の卒業生では、予測成績と最終IB結果はどの程度一致していますか?

When are predicted grades finalised for university applications?

大学出願用のPredicted Gradesはいつ確定しますか?

「平均IBスコア」だけでなく、予測の透明性と進路指導の質まで比較することが大切です。

家庭で作りたいPredicted Grades管理表

家庭では、科目ごとに次の内容を一覧にしておくと、感覚ではなく証拠をもとに学習計画を立てられます。

科目現在の予測目標根拠となる評価次の重要課題
English A HL56Essay・Mock分析と時間配分
Math AA HL66Test・IAIA完成
Economics HL56Paper 1・IA評価語の使い方
Chemistry SL66Test・Lab計算ミス対策
Japanese B SL67Oral・Writing語彙と構成
Visual Arts SL56Portfolio作品分析

数字だけでなく、「なぜ現在の成績なのか」「次に何を提出すれば改善を示せるか」を記録しましょう。

よくある質問

Predicted Gradesは生徒に必ず公開されますか?

必ずしも公開されません。

IBは、学校がPredicted Gradesを生徒へ共有するかどうかを選択できると説明しています。

学校の方針を確認しましょう。

Predicted Scoreが40なら、最終結果も40になりますか?

保証されません。

最終結果は正式なIB評価によって決まり、Predicted Gradesより上がることも下がることもあります。

先生へ成績を上げてほしいと頼んでもよいですか?

点数の変更を求めるのではなく、判断の根拠と改善に必要な証拠を確認しましょう。

新しい学習成果が出願用成績へ反映されるかは、学校の規定と確定時期によります。

Predicted Gradesが大学の条件より低くても出願できますか?

出願自体は可能な場合がありますが、合格可能性や大学の判断はコースによって異なります。

必要成績との差が大きい場合は、挑戦校、適正校、安全校を分けて出願することをおすすめします。

最終結果がConditional Offerを下回ったらどうなりますか?

大学が条件未達として不合格にする場合もあれば、空き状況やほかの成績を確認して受け入れる場合もあります。

結果発表後は、学校のカウンセラーとともに、大学からの正式な案内を確認してください。

おわりに

IBのPredicted Gradesは、教師がこれまでの学習成果とIBの評価基準をもとに予測する、最終成績の見込みです。

主に次の証拠から判断されます。

  • 授業内の成果
  • 校内試験
  • Mock Exam
  • IA
  • 過去のReport Grade
  • 成績の推移
  • IB Grade Descriptors

Predicted Gradesは大学出願で重要ですが、希望点や最終結果の保証ではありません。

改善するためには、教師へ点数を交渉するのではなく、学校の確定期限までに、より高い成績を予測できる学習成果を示すことが重要です。

学校選びでは、平均IBスコアだけでなく、Predicted Gradesの決定方法、予測精度、説明の透明性、大学カウンセリングの体制まで確認しましょう。

皆さんのスクール選びとIB大学出願の参考になれば幸いです!